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【年金問題】どう考えても定年は若すぎる。

政治・経済

さて、ようやく年金の話。この話をするために消費税の話を経由しました。

発端は金融庁の報告書。仕事をリタイヤした後の高齢者夫婦には2000万円の現金資産がないと生活できないよってヤツですね。

するとにわかに人が集まって「年金返せ!」デモ発動。それにイラついたホリエモンが彼らのことを「税金泥棒」呼ばわりして炎上したと。

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ホリエモンの主張の整理

後から本人がフォローツイートしていますが、ホリエモンがイラついているのは、年金受給額が多少上下しようが、お前ら庶民は支払うよりもらう方が多いんだから、文句言うヒマがあったら納税しろや!ってことですね。

年金に限らず、政府(政治)の存在理由のひとつに、「富を再分配する機関」としてというのがあるわけです。高額所得者からたっぷりと税金を取って、直接的分配、あるいは何かしらの行政サービスとして還元する。だから低所得者であっても基本的人権の範囲でそれなりに食っていけるわけです。

そういった事実に感謝するどころか、なんかあったら文句ばっかり言いやがって!とホリエモンは言いたいわけですね。

でもね、ホリエモン

それは言っちゃあいけないんですよ。なぜなら、金持ちが金持ちになれるのは、安い労働力があってこそであって、その時の対価=賃金が適正だったかどうかはなかなか判定できるものではありません。

それに、金持ちになるまでの経緯も多分に偶然的要素に依存します。事業がたまたま成功しただけかもしれないし、その事業の成功が必然であったとしてもそういう頭脳を持ったことや、あるいは高学歴取得が可能なほど裕福な家に生まれたことは偶然的要素です。

大きな力には大きな責任が伴う。だから私は、こういうホリエモンの主張に共感できるところはあるにしても、諸手を上げて賛同はしないのです。

だからと言ってデモに参加する連中よ

だからと言ってですね、私はデモに参加する連中に全くシンパシーを覚えないんですよ。むしろホリエモン同様に軽蔑の対象ですらある。

彼らに問いたいのは、
「お前ら、年金制度に問題があるって今分かったのか!?」
と言うことです。金融庁に教えてもらう前は知らなかったのか?どんだけおめでたいんだ!と。

数か月前にツイッターに投稿した私のツイートのまとめです。

読みました?あ、読んでない?面倒くさい?じゃあ一旦ここでまとめ直しますね。

人間は本来、死ぬまで働くものだった

本来ですね、定年退職年齢、年金受給開始年齢、平均寿命というのはほとんど一致してたんです。

これらの制度が出来たのが明治時代で、その時の平均寿命が40代半ば。乳幼児死亡者数を除いた実質平均寿命でも50歳いくかどうかで、定年も年金受給開始は50歳でした。

わかりますか?本来、定年とは平均寿命あたりに設定され、年金は平均寿命より長く生きた人のためにあるものだったのですよ。

つまり、「働かざる者食うべかざる」が基本にあって、それでも平均寿命を過ぎた、明らかに「お年寄り」と呼ぶべき人まで働く必要はないだろう、ということで、定年の設定や年金の受給があるわけです。

今はどうでしょうか。

定年が60歳で、平均寿命が80歳超え。そのギャップ20年以上は何の生産もしない、ただ消費するだけの日本人となります。その20年分を若者が食わせてやることになるわけですよ。

さらに、その若者は少子化で物凄い勢いで減って行ってるわけです。その数の少ない若者が年寄りの面倒を見るというのは、相当な生産性の向上がないと無理な話であって、年金制度がまともに機能するわけがないことは小学生レベルの算数で分かることなんですよ。

じゃあ積み立てればいいじゃない?

共産党の議員にはそれこそおめでたいレベルの経済理論を披露する人もいます。

「マクロ経済スライドは廃止できる」というのは、まるでマクロ経済スライドが悪いもののような印象を受けますが、物価が急激に上昇しても年金給付が昔の基準のままだと生活できません。

こちらをご覧ください。

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銀行員大卒初任給の推移が書かれています。
大卒で銀行員になった人がいくらもらっていたか?

終戦の昭和20年には80円だったのが、たった10年後には5600円。その2年後には100倍を超えて12700円となっています。これ、12年間の話です。

労働者の現役期間は40年あるんですよ。その後、物価上昇は緩やかになるものの、その30年後にはさらに10倍ほどになります。さて、80円のうち何円かを年金として積み立てて、何の意味があるんでしょうか?この人が必要な年金受給額は現役最終年の6割としても30万は下らないでしょう。

それは終戦直後の極端な物価上昇期間を切り取ってるから?もちろんそれもあります。経済的に成熟した国家でこれほど物価が変わることはそうそうありません。が、変わらないわけではありません。

まずは金融緩和という能動的なインフレがあり得ます。というか、ないと困ります。2%ずつ上昇したとしても40年で2倍以上になります。

これだけならまだ良いんですが、外的要因によるインフレは怖いですよ。例えば中東で大規模な戦争が起きたら?石油価格が急騰することになります。石油が上がればあらゆる物価は上昇します。

あるいはまた、首都を襲う関東大震災で壊滅的なダメージに見舞われたら?生産力が極端に低下して、これまた悪いインフレによる経済的混乱がもたらされるかもしれません。

「円は安定している」と言うのは決して普遍的なことではなく、資産を円だけで持っておくというのは結構高いリスクなんですよ。

お金は腐ります

世界経済は概ね3~4%の間でほぼ間違いなく毎年成長します。ということは、日本を含む世界の企業に分散投資しておけば、ほぼ間違いなく3~4%の利息がつくということなんです。

投資に消極的で、かつ物価が良くも悪くも非常に安定している日本においては「株式投資=ギャンブル」という等式が頭にこびりついている人が多いと思いますが、本当の金持ちが自分の資産を減らさないためにやることは「分散投資」なんです。

100万円を100万円のまま持っておけば減りようがないじゃないか!

その通りです。お金は変わりません。お金は、ね。
でもその100万円で何が買えるかという状況はいつどのような要因で変わるかは分からないことは先述の通りです。つまり、(経済が正常と言う前提においては)100万円そのものは減らないけど100万円の価値は減るのです。そもそも、年金保険料を年金給付にそのまま使うのは「活用」ではありません。

根本的原因は年金制度そのものではない

人間は死ぬまで生きておく必要があります。おっと、日本語がおかしい。生理的寿命が来るまで文化的な生活を送ることがこの国では保障されています。このことは、60歳で引退してもその後の20年以上の生活費を、本人か他人かわかりませんが、誰かが稼ぎ出さないといけないということを意味します。

当初の年金制度の成立条件ががらりと変わってしまった今日、これを解決する方法は大きく3つです。

(1)本人が死ぬまで働く
(2)他人に養ってもらうなら、日本人の労働生産性を向上させる
(3)あるいは子供を増やす

基本的にはこのいずれかしか解決法がないのが現実なんです。

「年金返せ」デモに参加する連中がバカなのは、「今騒いでどうする」ってことなんですよ。年金制度の問題は非常に長期的でかつ根深いものであって、今の政権を批判してもそれはただの八つ当たりでしかないのです。

年金保険料余剰分をグリーンピアみたいな事業に投資したバカや、少子化対策をやってこなかったかつての政権をこそ批判すべきなのです。そしてそういう政治を選んできたのは、他ならぬ国民なんですよ。その時だって、今般のデモ参加者のように、「目の前のことにしか反応できないカエル脳」の持ち主が国民の多勢を占めていたのです。

実際、年金問題は解決できるのか?

さて、それぞれの解決法の実現可能性です。

(1)死ぬまで働く

「死ぬまで」ってことは無理にしろ、70歳超えてもピンピンしてる老人なんていくらでもいるんだから、何かしらの生産に携わることは可能ですよね。実際、働いている老人はたくさんいます。この様子を「老人までが働かなくてはいけない」という悲劇に仕立て上げようとする人がいますが、元々それが当たり前であって、過去のほんの少しの期間、たまたま「老人が働かなくても豊かな生活ができていた」と考えるべきです。

問題は、労働力としてどの程度需要があるか、です。労働力不足で外国人に頼ろうとしている今、タイミングとしては物凄く重要です。

(2)生産性を上げる

労働の生産性はこれまでも著しく向上してきましたが、ここからどうなるかという話。いや、間違いなく向上するんですよ。AIとロボット技術の向上とともにね。それが老人の扶養分に追いつくかという点と、生産性向上による格差拡大をどう解決するかが問題です。

(3)子供を増やす

一番の問題ですよ。

もう過去に書いてますから詳しくは書きませんが、実質何もしてませんからね。安保より年金より、とにもかくにも少子化を何とかしないといけないのです。

逆に、「こども国債」かなんかをドーンと発行してそれを子作り・子育て支援に充てれば、景気浮揚と少子化が一気に片付くんです。今の景気が良くなり、かつ子供が増えるということは、年金問題も乗数的に解決に向かうことになります。

なんでやらないかと言うと、有権者の最大支持勢力であるジジババにウケが悪いからでしょうね。

(4)ベーシックインカム

あれ?4つ目?
そうです。ベーシックインカムなんですよ。社会保障を抜本的に解決するのはこれが最も手っ取り早い。そしてこれこそ、他らなぬホリエモンが推奨している政策なんです。

あ、ベーシックインカムが分からない?ではザックリ説明します。

ベーシックインカムを和訳すると、「基礎所得」とでもなるでしょうか。これは、何の名目もなく、そして一切年齢も関係なく、国民1人ずつに毎月定額の現金を給付する政策のことです。

例えば1人当たり8万円と決めてしまえば、夫婦+小学生+赤ちゃんの4人で32万円が支給されることになります。これだと働かなくても食ってはいけますね。

その代わり、年金も生活保護も一切廃止。こども手当とか失業保険なんて細かくゴチャゴチャしたものもなくなります。

え、そんなことして大丈夫なの?日本人働かなくならない?財源は?という疑問についてはここでは語りません。大事なことは、これが相当有効な解決法……かもしれない!ということです。

まとめ

有権者がバカなら、政治家はそのバカに投票してもらえるようなことしか言いません。そういう民主主義の負の側面が連綿と受け継がれてきた結果が、今の少子化、長期不景気、年金問題です。今の政権だけを批判したところで、結局政治家はそのバカを鎮めようとするためだけの政策しか打たないでしょう。

そのためには、有権者である国民が文句を言うだけではなく、知る努力をし、政治家あるいは立候補者に圧力をかけ、50年後100年後の日本を考えてくれる政治家を作り出していくしかないでしょう。

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