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日本人がiPhoneを買えなくなる日

政治・経済
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かつて、日米2か国で世界経済の半分近くを占めていた時代があった

Windows95が発売されて、パソコンとインターネットの爆発的普及が始まろうとしていた1995年、日本とアメリカを合わせたGDPの世界シェアは実に43%に達していました。世界には190以上の国があるにも関わらず、たった2国で世界の生産の半分近くを担っていたことになります。

それから30年弱経った2023年、この2国の経済世界シェアはどうなったかというと、なんと30%にまで低下しています。

「中国や東南アジアの台頭で日本もアメリカも相対的に弱くなったんだな~」

とか思ってる貴方、全くの勘違いですよ。

1995年も2023年も、アメリカは世界シェア25%ちょいでほとんど変わっていません。どれだけ発展途上国が台頭してきても、アメリカは常に世界経済の4分の1を担い続けているのです。

となると変わったのは日本ということになります。

グラフを見れば一目瞭然ですね。かつて日本は1国で約18%のシェアを持っており、ルクセンブルクという特殊な国を除けば、1人当たりのGDPも世界一でした。それが2023年には4分の1以下の4%となり、日本より人口がかなり少ないドイツにGDP総額で負け、1人当たりのGDPでは韓国にも負けているという悲惨な現実があります。この1人当たりGDPはG7の中で今や再開、G20でも下半分に入ります。

 

経済成長はゼロだったら現状維持?

こちらのサイトからグラフを引用させて頂きます。

主要国の名目GDPの推移を表しています。欧米が着実に成長する中、日本だけは限りなく水平に近い線を描いています。

「それでも一応成長はしてるんね、よかったよかった♪」

なんて言っててはいけないのですよ。これ相当恐ろしいことなんです。

分かりやすいのが、自動車やIT機器など国際的に全く同じ商品が流通する産業です。例えば、プリウスはハンドルが右か左かの違いだけであって基本的にモノとしては同じです。仮にプリウスが国内で300万円だとすると、関税を考えなければ、外国でも300万円になります(短期間の為替レートの変動は考慮しないとして)。

その300万円を稼ぎ出すためにその国の国民がどれほどの労働力を提供しなければいけないかを考えます。日米で比較すると、所得の中央値は3倍近く違います。マクドナルドの時給も東京では1200円前後ですが、カリフォルニアはそもそも最低賃金が3000円を超えているので、やはり3倍程度の労働賃金格差があるわけですね。

で、サラリーマンだと(収入を他に一切使わないと仮定して)アメリカでは3カ月ほど働けばプリウス1台を買えるのに対し、日本では8~9カ月働かないといけません。これはPS5でもiPhoneでも同じです。

これらの商品のコストも販売価格も国際的な市場から決定されます。

任天堂の『Switch2』については例外的で、日本向けと感慨向けで明確な販売価格の差が設けられています。これは任天堂の日本への思いやりや感謝の気持ちであろう一方で、ひろゆき氏いわく、WTO違反を指摘される可能性もあるのだとか。

当然ながら、これらの商品は利益を最大化するため、わざわざ日本の経済レベルに合わせてはくれません。日本人が最新のiPhoneを買えるかどうかの問題になります。

 

日本はもうすぐiPhoneも買えない国になる

経済成長がたとえゼロでもマイナスでさえなければこれまでの生活水準は維持できる、と思い込んでる人も結構いそうですが、そうはならない理由がこれです。

我々日本人が今まで通りiPhoneの最新機種を、それまでと同じ程度の負担で手にしたいのなら、アメリカをはじめとする先進国の成長に合わせて日本も成長する必要があるのです。仮に先進国平均が成長率3%だとしたら、日本も3%でランデブーしていかないと、車は格下げ、iPhoneは2世代前、なんてことになります。

しかもこの経済成長率格差は現在進行形で広がっていますから、いずれ「車を持っているだけでセレブ」なんて時代も冗談ではなく来るでしょう。

ちなみに、アップル社のiPhoneもかつては蓋を開けると、その部品の大部分を日本の企業が担っていた時代もありましたが、今では8割が中国なんだとか。つまり、昔だったらアメリカ製の商品だって売れたら売れたで日本人にも恩恵があったのですが、今の日本人は「純然たる消費者」であって、iPhoneを買うと、それは「富の海外流出」ということになるわけです。

 

なぜトランプの一言は世界の株式市場を動かせるのか

さて、話を元に戻します。アメリカが世界経済シェアの4分の1を占めているということは、世界全体をひとつの株式会社だと見做した場合、アメリカは株式の25%以上を持つ圧倒的大株主ということになります。

トランプ氏のような無茶苦茶な(決して貶しているわけではありません)人もアメリカのトップに立って「関税かけまくることにするわ!」と言えば、その言葉には地球4分の1個分の超重量が乗っかり、世界の株式市場を乱高下させることになります。

同じことを日本がやったら……?たしかに今でも世界4位の経済大国ではありますが、それでも4%ですからね。何より軍事的な足腰もない上に、そもそも日本は資源がめちゃくちゃ乏しい国で貿易無しでは生きていけない国です。総理大臣がそんなことを言い出しても「気が狂ったのか」としか思われないでしょう。

 

貿易が止まると日本人はたちまち飢え死にする

資源の話をすると、アメリカは「一切の貿易なしでも自前資源でなんとかなってしまう稀有な国」と言われています。レアメタルなどアメリカでは乏しい資源もありますし、日本車のような低価格・低燃費の車を作る技術もないため、貿易をストップしてしまうと生活水準は大幅に下がるでしょう(トランプ関税発言で株価が暴落するのもこのため)が、飢え死にすることはまずないでしょう。

一方、日本の場合はエネルギー資源のほとんどを輸入に頼る国であり、その輸入を止められたら発電所も動きませんし、魚がいっぱいいても漁船を動かす燃料もありません。家畜を育てる飼料も多くが輸入ですし、コメを作る耕運機だって燃料がなければ動きません。電気や機械に頼らずに何とかなっていた江戸時代の人口は3000万人程度でしたから、1億人近くは飢え死にすることになるでしょう。石炭を採るために閉鎖した鉱山を再開するのも時間がかかるため、その間にもバタバタ人は死んでいくし、仮に炭鉱がフル稼働できたとしてもエンジン車を動かすことはできませんし、電気自動車を作るにも材料がありません。その石炭をすべて発電に回したとしても持つのは10年かそこらでしょう。

 

ということで、この後は「インバウンドのオーバーツーリズムは本当に問題か」「取り合いの話ばかりで生み出す話をしない日本の政治家」「介護サービスを受けられるのはセレブだけになる」なんて話をしたいのですが、長くなったので一旦ここで失礼します。

 

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