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大阪万博のメタンガスの安全性を考えてみる

政治・経済

大阪関西万博開幕前のテストラン期間中、日本共産党某市議がメタンガス検知器を持ち込んでマンホール内のメタンガス濃度を調べたところ、燃焼下限界以上のメタンガスが検出されたということで、全国的なニュースになりました。

さて、このニュースが何を意味するのか、三流私大文系卒の私が、科学的かつ論理的に考えてみます。

 

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爆発が起きる「可能性」とは

まず、この記事にある「着火すれば爆発を起こしうる濃度を超えた」と言う表現ですが、これが本当か嘘かで言うと、「本当」です。なぜなら、「絶対に爆発しない」と言える根拠がないからです。大事なことは、「絶対に爆発しないという空間」は地球上のどこにも存在しないということです。論理的に考えるということは、「ゼロでないなら『可能性はある』と言わざるを得ない」ということ。そのレベルにおいてこの表現は「嘘」ではないことになります。悪意のある人がよく使う詭弁手法のひとですね。

ではこのニュースは実質的に嘘なのか?…という話は後回しにして、ちょっと基本的なところから語りましょう。

いや、本当に私は科学に疎いし専門家でもなんでもないのでそのつもりで読んでください。ま、普通はこうなってるはずだ、程度のものです。

 

あの検知の方法で危険度は測れるのか

くだんのマンホール内の配管を、配管の方向に沿って切断すると、以下のような断面図になると思います。例によってイラストの雑さにケチを付ける人には不幸が訪れますので、気を付けてください。

「メ」はメタンガス分子であって、無数のヤギが行進しているわけではありません。電気設備用の配管だと聞きました。

さて、夢洲がゴミの島である以上、メタンガスは常に発生し続けています。「メタンガスが出なくなったから安心して万博が開催できる」のではなく、「発生し続けるメタンガスを希釈・排出し続けているから安心」なのです。図では、配管内のメタンガスが混じった空気が右から左に流れていると考えてください。

この配管本体に流れる空気にメタンガスが含まれているとしても、(万博運営を信用するなら)それは燃焼下限界濃度以下なので何も問題がありません。しかしながら、マンホールは、人間がアクセスするために【垂直方向に】作られた穴です。配管本体内の空気が水平方向に動いているとしても、空気よりはるかに軽いメタンガスは上方に向かい、マンホールの蓋直下では「小さな淀み」を作ると考えられます。

で、共産党の某市議さんが検知器を突っ込んで調べたのは、おそらくAポイントですよね。重要なのは配管本体であるBポイントです。

担当職員による定期検査がどうやってたかは知りません。

Cポイントは何かというと、マンホールのようなメタンガスの「溜まり場」になりそうな空間対策として、ここに垂直方向にファンを取り付ければ良いだろうというポジションです。

 

問題はメタンガスの絶対量

「マンホール蓋直下だからといって、高濃度メタンガスが検出されても問題ないと言うのか!」

と言いたい人だっていますよね。その通りです。

思い出すのが『探偵!ナイトスクープ』で大昔にやってた「おならは燃えるのか」という依頼です。ウンコやおならが大好きなナイトスクープを象徴するようなアホネタでしたが、肛門直前まで火を近づけておならをすると、これが見事に発火。爆笑してしまいました。

さて、このおなら。検知器で測定すると燃焼下限界以上のメタンガスが検出されたはずです。しかしながら、火を近づけても家が爆発するどころか、メタンガスの発生源である北野探偵も爆発することはありませんでした。

同様のアホな実験は他の人もやっているので是非ご覧ください。

そんなものは文字通り「屁」理屈だ!おならと今回の件ではいくらなんでもメタンガスの量が違うだろ!

はい、仰る通りです。大事なことは、「点」だけで測定されるメタンガス濃度ではなく、ある空間全体のメタンガス濃度(メタンガスの絶対量)なのですよ。

そして、今回の某市議による検知では、そこが全く分からないのです。

 

もしそこに火種があったら?

さて、マンホール内の構造とメタンガスの分布が私の想像通りだったとして、では爆発の危険性はどのくらいあるかって話を。

まず、マンホールの蓋が完全に密閉されたものであれば、その上に火種を持ってきても関係がありません。燃えるものがないからです。

次に、Aポイントで(ちょっと考えられませんが何か不思議な力で)火種が発生したとします。すると、爆発と言うレベルかどうかは分かりませんが、燃焼下限界以上のメタンガスが存在する以上「燃焼」はします。ある程度以上の量であれば規模はどうあれ「爆発」っぽい現象も起きるかもしれません。が、配管本流の空気が常に流れているのであれば、事故レベルの爆発はあり得ないでしょう。仮に奇跡的に発火があったとしても、その小さな爆発は大量の空気がクッションになって大した衝撃にもならないと思われます。ちょいちょい聞くメタンガス爆発事故は、図で言えばBポイントでも一定濃度のメタンガスが存在するケースでしょう。

 

マンホールの蓋の穴は誰が開けた?

こちとらど素人なものでよく知らなかったのですが、くだんの市議さんが検知器を差し込んだ穴は元々開いているものではなく、定期検査用に開けられているもので普段は専用テープで封印されているのだとか。

何とも物騒な話です。あの共産党の市議さんいわく、「元々テープが剝がれていた」とのことですが、ではどこで使うつもりでメタンガス計測器を持ち込んだんでしょうね。何とも都合よくテープが剥がれいたものです。いや、別に疑っているわけではありませんよ。

 

安全性についての結論をズバリ言うわよ

で、結局万博会場は安全なのか危険なのかって話なんですが、答えは「分かりません」になります。

先述の通り、局所的に燃焼可能なレベルのメタンガスが検出されたところで、そりゃ夢洲全体がメタンガス発生装置になってるんだからあり得るよね、と。では「爆発する可能性」はどうかと言えば、【常識的に考えれば】まずあり得ません。

しかしながら、怖いのは万博運営側(吉村大阪府知事)の対応です。

今回の共産党市議さんの指摘を受けて、運営は「マンホールの蓋を開ける」という措置を採りました。

「措置を採った」ということは、すなわち「問題があった」ということになります。

では、その「問題」とは何なのでしょうか?

ここが一番大事なところです。

吉村さんは会見でこのメタンガス問題に答えてはいるのですが、全く内容がありません。

「メタンガスは軽いので自然換気で対応できる」

なら、なんで今までそれをやってなかったのですか?
今までは危険だったということですか?
開幕直前に第三者の調査によって発覚するということは、まだ未知の危険があると言うことではありませんか?

吉村さんはちょいちょいこういう「時制の変換」で大事な問題をはぐらかす癖があります。

もし危険な状態だったのならそれを認めて謝罪するべきだし、場合によっては万博開催延期だって考えないといけないでしょう。

しかしながら、私の想像ではそんな危険はありません。

問題があるとするなら、「どういうわけか点検用ピットが開いていた」ということです。

 

俺ならこう説明する

例えば。(前提となる事実が私の想像通りだとして)

今回、テストラン中にマンホール直下から基準値以上の濃度のメタンガスが検出されたことについてですが、あくまでマンホール空間の局所的なものであり、配管本体は常時喚起しており濃度も基準値以下です。また、基準値濃度を超えるメタンガスがあったとしても火種がない限りは、そもそも火が点きません。例えば、一般的なご家庭にあるガス管内には高濃度の可燃ガスが通ってますが、それが爆発しないのは、外界と遮断されているからです。

しかしながら、今回問題があったのは、本来封印されているはずのマンホールの点検口が、人為的なものか自然にかは分かりませんが、開封されてしまっていたことです。この状態では、悪意さえあれば万が一のことだって起きる可能性もあります。

よって、さしあたっては全てのマンホールの蓋を開けた状態にし、確実な換気を行うこととしました。これであれば、人為的に火種を投げ入れても爆発は起こりようがありません。

ただし、この状態は見た目があまりよくない上に、人が入れないスペースを作ることにもなり、さらには水やゴミが入るというデメリットも生じます。点検口に完全なロックができる蓋、あるいは煙突状の排気口を取り付けた蓋にするというやり方もありますが、それは今後考えていきます。再度蓋をする際は、念には念をで、マンホール内に垂直方向のファンを取り付けることになると思います。

とでも説明すれば、納得されるのではないでしょうか。

ただし、何度も言いますが、確実なことが言えないのは情報が足りないからです。例えば、「基準値以上のメタンガスが検出されたが、換気を始めて30分後には基準値以下になった」という表現は、「30分後に再計測したら基準値以下だった」のか「計測し続けて基準値以下になるまで30分かかった」のかが分かりません。後者だったら結構な量のメタンガスが溜まっていた(あるいは湧出していた)ことになります。

まずないとは思いますが、なんせ万博工事中に実際にメタンガス爆発事故を起こしたという実に間抜けな前科がある上に、チケット予約システムのドタバタなんかを見ていると、大阪府知事、大阪市長および万博協会には詰めの甘さと深刻なレベルの発信不足という問題が孕んでいます。

 

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