イタリア館予約チケット転売問題
大阪万博において、イタリアパビリオンとくら寿司の予約権利転売が問題になっています。くら寿司に関しては純然たる民間企業であり営利団体なので、ここでは取り上げません。問題はイタリア館です。
まずはニュース記事を貼っておきますが、
先に橋下徹氏のポストを引用します。氏のポストは2段に分かれておりまして、
【憤慨】大阪市長「法的措置なども含め…厳しい対応で臨む」万博で“予約枠の売買”相次ぐ 元々無料の「イタリア館」が2300円に「くら寿司」でも転売確認
➡︎うーん、転売って人間の知恵に基づく資本主義の基盤なんだけどなー。今の維新はそこを安易に否定する思想なのか。 https://t.co/XTyGjd7dNm— 橋下徹 (@hashimoto_lo) May 20, 2025
まずはこちら。
いわゆる転売についての考え方は私とほぼ全く同じ。法律や条例に引っかかるケースはあるものの、「安く仕入れて高く売る」と言うのは市場経済においては基本的に健全なムーブです。ただし、この脈絡においてそういう原理的な話を持ち込むのは不適当でしょう。
横山さんは、運営者側の責任を感じていないのか
次。
もし特定の理由で転売を禁止するなら、転売されないようにしっかりと対策を取るのは、市場価値ある財・サービスを供給した側の責任。
責めるべきは、転売した側ではなくて転売された側🟰運営者側。…— 橋下徹 (@hashimoto_lo) May 20, 2025
↑表示されているのは一部ですが、全くもって橋下さんの言う通りです。逐次引用していきます。
もし特定の理由で転売を禁止するなら、転売されないようにしっかりと対策を取るのは、市場価値ある財・サービスを供給した側の責任。 責めるべきは、転売した側ではなくて転売された側=運営者側。
横山さんは「けしからん」と言っていますが、そのけしからん状況を許したのは誰ですか?横山さんを含む万博協会の人達ですよね?
過去に何度も使った比喩ですが、「信号無視する車はけしからん」ということと「信号無視する車がいることを前提とした対策をとる」ことは別問題なんです。
ややこしい万博IDに意味はなかった?
万博入場チケット購入者に面倒な万博IDまで取得させてデジタルチケット化してるのに、予約枠が転売されてるなんて、これシステムが超アホ過ぎる。
そう、アホ過ぎるんですよ。このシステムを作ったのは?「万博協会」ということになるのでしょうが、その中心にいるのは、(役職としてはヒラ役員であっても)吉村大阪府知事と横山市長ですね。つまり、このお二方が「アホすぎる」のですよ。
とにかく万博のID取得とパビリオン予約はややこしくて、いわゆる”初見殺し”です。それでもある程度はやむなしと言わざるを得ないのは、この万博が「並ばない万博」をモットーとしているからです。なので私もシステムに文句は言いつつ、「それでもDXというのはおよそこういうものなので、何とか若い人に手伝ってもらって」と擁護もしてきました。腹が立つのは、運営者がガイド動画のひとつも上げないところです。システムが複雑になるのはやむなしだとしても、「皆さんこういう風に予約してくださいね」というガイドくらいはできるでしょう。「できる・できない」の問題ではなく「する・しない」の問題であり、運営者はやるべきことをやっていないのです。
あ、話が逸れましたが、そこまで苦労してIDを取得しているのに、全く有効活用されていないということがイタリア館問題で露呈してしまったのです。
なぜイタリア館は独自予約募集をしているの?
ダブルシステムでイタリア館やくら寿司が勝手に予約枠を発行していることが最大の原因で、まずそれを止めさせないとあかんのちゃうの?
くら寿司は「どうぞご勝手に」ですが、イタリア館が万博レギュラー方式以外に独自アプリで予約を募集していることについて、皆さんは違和感を感じなかったでしょうか。しかもこの予約アプリ(サイト)もまた雑で非常に分かりにくい。イタリア館は何を思ってこんなレギュラー枠以外の予約枠を設け、さらに万博運営側はこれを認めていたのでしょうか。
全くもって謎です。
そしてこのイタリア館独自予約枠、なんと万博IDと紐づけされていないのです。ID登録はありますが、別に免許証やマイナンバーカードを見せないといけないわけでもなく、捨てアドやGoogleの捨てアカを作っていくらでも予約し放題だし譲渡も自由にできてしまうわけです。
こんな「さあ、ほら、いくらでも転売してください」みたいな間抜けなシステムをイタリア館は作り、万博運営者が認めておいて、いざ転売が話題になると「けしからん」って、「アホすぎる」では表現が甘いくらい罵倒されるべきでしょう。
横山さんは転売屋の存在を知らなかった?
横山さんはひょっとして「転売屋」の存在を知らなかったんでしょうか。いくらなんでもそれはありませんね。常識として誰でも転売屋の存在は知っており、隙あらば商売をしようとします。だったら事前に対策を取っておくべきというのは子供でも分かりそうなものです。ここでも「やるべきことをやってない」わけですよ。
で、転売が問題になった途端「けしからん、法的措置も辞さない」などと言い始める。いやいや、法的措置でどこまで対処できるんですか?万博チケットに関しては転売が禁止されていますが、イタリア館の予約権利については明記されていましたか?されていたとして、捨てアドで取れてしまうような権利の転売履歴はどうやって確認します?確認できたところで刑事告発できますか?何より、転売が確認されたらその予約は取り消すんですか?
転売屋からいくらで買ったか分かりませんが、買った方も必死だった可能性がありますよね。遠方から家族で行きたいが、ダヴィンチのアトランティックコードだけは絶対に見たい!と。その予約が取れた日に合わせて万博チケットを予約し、仕事の調整もしたかもしれません。
その予約を取り消すんですか?取られた3000円は返ってこない上に予約が取り消されるんですか?
転売屋を責める前にまずは万博ファンに謝れ
ハッキリ言いましょう。
吉村、横山、そしてイタリア館、お前ら万博を楽しみにしている国民をバカにしてんのか!
万博の理念に反する?それは運営者側の都合であって、客の方は、iPS心臓を見たくて、等身大ガンダムを見たくて、ミャクミャクに会いたくて、イタリア館の美術品やダヴィンチの手書きメモを見たくて行くだけです。
まずは、こんな間抜けにもほどがあるシステムを作ってしまってごめんなさい、やろ!
万博IDと紐づけさえしていれば、あるいはパビリオン運営者に独自予約システムなんて認めさえしなえければ、こんなことにはならなかったのですから。
とにかく遠方からの客を丁重に扱え
……と、私がここまで怒り心頭なのは、私自身は通期パス勢であるにもかかわらず、
「遠方からの来場者を優遇せよ」
「目指すべきは黒字ではなく、行って良かったと言われる万博」
「来場者数はのべ人数ではなく実数を重視せよ」
ということをくどく主張してきたからです。
また、「並ばない万博」についても一ファンとして真剣に考え、(クソリプの嵐に耐えながら)発信してきました。※これについてはまた別の投稿で。
当然ながら万博の在り方を考え、こういった主張をするのは、大阪関西万博が文句なく価値のあるイベントだからです。特に子供のことを考えると、可能な限り多くの人に体験してほしいし、ちょっと無理してでも遠方から来てもらいたいという私なりの公共心です。
ところが運営者が間抜けばかりだとその神聖なイベントもこうやって粗末に扱われてしまう。結果として、先述の想像ような悲劇だっておそらく起こるでしょう。
橋下さんの言う通り、運営者は被害者ではなく加害者なのですよ。
維新について余計な一言
なるべく万博問題を政治や維新の話とは絡めないようにしているのですが、脈絡上触れる必要があると判断して少しだけ。
私はほとんど見限っている状態の「流動的維新支持者」なのですが、まだ首の皮一枚で繋がっているのは、維新の中に注目すべき政治家が複数いるからです。その私が明確に支持している維新の政治家が音喜多さん、柳ケ瀬さん、そして横山さんです。特に、次の維新の代表としては柳ケ瀬さんか横山さんがならなければ維新は本当に消滅するだろうと思っています。
しかしながら、私は何か(誰か)を支持しているとしても、「維新だからOK」「ダレダレだから正しい」という考え方は一切しません。どれほど支持していようと間違っていたら「ダメ」と言うし、どれほど嫌いなヤツでも正しいことを言ったら「正しい」と言います(書かなくても良いことを書くと、つい先日も足立康史さんのことを褒めています)。「誰が言ったか(やったか)」ではなく「何を言ったか」なんです。
怖いのは、今の維新と言う政党が所属構成員の良いところをそぎ落としていく組織に見えてしまっているところです。
私から見て横山さんについてはまだまだ未知数なのですが、今回の転売問題の対応は0点です。それが、やる気が空回りしていたり、しっかりやっていたつもりでも見落としてしまっていたりしたのなら「不手際」ですが、先述の通り、この問題は「無気力」「無責任」が起因する問題で、「無気力」「無責任」はまさに今の維新に充満している空気なのですよ。
この空気を支持者が変えたいと思うのなら、「維新だから」「ダレダレだから」で何を言っても(やっても)、あるいは何が起きても褒めるという「信者仕草」を見せる人がかなりいるようですが、ちょっと前まで維新にいたあの大先生の例から何かを学ばいといけないのではないでしょうか。
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