維新が公約に掲げたことを発端にTLが「ベーシックインカム」にまみれていたので、私もツイートを。以下、俺ツイートまとめ。最後に捕捉を入れます。
ベーシックインカムより負の所得税を
(1)私は、BI(ベーシックインカム)について、「やる」か「やらない」かで言えば「やる」べきだと思ってる。が、これだけだと無責任な賛成。BIによって何が犠牲になり、それをどうカバーするかという詰めの議論はもっとやるべき。
(2)なぜBIが必要かと言うと、現行の年金制度と生活保護制度のバランスが悪すぎるから。日本が「飢え死にしても自己責任」で済ませる国なら話は簡単だが、実際は憲法で生存権が認められているため、金持ってなかろうが年金払ってなかろうが、結局は税金で生かさないといけない。
(3)すると、よく言われるように、真面目に年金を払い続けるより生活保護の方が良い暮らしができる、みたいなとんでもない不公平が生じる。
(4)生活保護あるいはそれに準ずる制度は憲法上なくすわけにいかない。だったらなくすべきは年金で、制度のあり方に関わらず年金制度など廃止してしまえば良い。
(5)その代替手段になるのがBIなのだが、いかんせんBIは制度としては雑すぎる。日本が今後相当な高率で経済成長を続ける、あるいは毎年日銀が一定額のお金を刷り続けるということが前提になる。
(6)だったら必要な人に必要な分だけ給付できる給付付き税額控除=負の所得税というのがスマートだ。これだと金持ちにも定額給付なんてバカなことが起きない(死に金が発生しない)し、制度は今の税率を変えて「還付金」を「給付金」に修正すれば良いだけ。
(7)収入ゼロの人に十分食えるだけの給付をする必要はない。要生活保護レベルの人には、とりあえず現金月5万円なら5万円で給付して、あとは食料品・生活必需品などに使えるバウチャーをマイナンバーに紐づけして給付すれば良いのではないか。
年金は積立or賦課?という議論にあまり意味はない
(8)「年金は積立方式にすべき」と以前は私も思っていたが、先述の通り、年金を払っていようが払ってまいが、窮する人は生かさなくてはならず、結局それはは皆が払った税金から拠出されるという構図は変わらない。だから年金など要らない。
(9)昨年、菅総理はコロナ禍で窮する人に「そのために生活保護がある」と言ったが、生活保護ってそういう性質のものかどうか甚だ疑問だ。
(10)そもそもコロナがザコレベルの感染症だったからまだ良かったが、ガチ感染症だったらどうしてた?生保申請者1件1件審査して、親戚と言う親戚に手紙送るなんてことをその都度やるのか?
(11)生保申請したら親戚に救済可否確認するのって意味あるの?「わかった、面倒みよう」って言ってくれるような親戚がいたら、本人が直接言うんじゃないの?本人からしたら無意味にプライバシー侵害されるだけだわな。
(12)生保受給者にはろくでもないヤツがいるのも事実だろうが、真面目にやってて事業に失敗したり会社をリストラされたりして窮する人だっているわけで、そういう真面目な人に限ってこういった意味があるのかないのか分からない制度が壁になって申請できなかったりするわけでしょ。
BIは労働のあり方や福利厚生などセットで議論せよ
(13)それと、BIや負の所得税をそれ単体で論じることにあまり意味はなくて、新卒一括採用制度とか労働基準法とか企業の福利厚生負担とかを一切合切見直して雇用を流動化することがセットでなければならないと思ってる。
(14)「とりあえず正社員で採用されれば安泰」みたいなメンタリティーは新しいものを生み出さない。高橋洋一氏も、「経団連に名を連ねている大企業のトップ達もサラリーマン社長で、改革できない」ということを指摘している。
(15)その脈絡において、ブログにも書いたように、「ハンコ廃止」という行革ってかなり意味があったことだと思う。雇われて給料さえもらえていれば、ハンコひとつ付くために自宅と会社を往復することに疑問も持たないなんて異常でしょ。
(16)GAFAやその周辺の企業なんて「どうすれば手を抜いて楽できるか」「どうすればもっと便利に生活できるか」って発想がないと生まれようのない企業のはずだが、日本人は不便を甘んじて受け入れることが美学とすら思ってそうで恐い。
年金という古代の制度はもう要らない
このベーシックインカム含む生活・社会保障の仕組み改革の話において、意外と忘れられがちなのが、基本的な前提です。過去に何度が当ブログでも書いていますが、さらっとおさらいを。
今の年金制度と定年制度は日本人の平均寿命が50歳前後だった頃に出来たまま、大したアップデートもされずに現在に至ります。
当時は、平均すると「50歳まで働いて50歳で命が果てる」状況だったので、基本的に日本人は「死ぬまで現役」であり、たまたま平均寿命以上に生きてしまった人への保障として年金という制度が用意されたわけです。つまり、年金とは「長生きと言うリスクに対する保険」だったわけです。
それが今では、60歳で引退してその後20年以上生きる訳で、それを現役世代が支えているわけです。これだけでも深刻なのですが、その上に超少子化で人口ピラミッドは歪な形になり、若者に対する負担は二重で効いてくることになります。
なので、年金制度が破綻するのは当たり前じゃん!ってことになるのですが、じゃあ年金制度を廃止して全てが片付くのかというとそうではありません。
なぜなら、
●日本政府は憲法上、日本人全てを養う義務を負う
●その負担は日本の現役生産者が負うことになる
という大前提を崩しようがないからです。
泣こうが喚こうが、若者が年寄りを扶養するという構図は変えようがないわけですよ。どんな制度設計をするにもこの前提の下に施行しなきゃならんのです。
「制度そのものをなくす」ことが大事
ところで、ちょっと調べたら年金事務所って2万人近い職員がいて3600億円くらいの予算が使われているそうな。つまり、年金集めて再分配するのに途中で3600億円抜かれちゃってるんですよ。
分かりますか?制度そのものを無くすということがどれほど意義のあることか。
この経費まるごとなくなっちゃったら毎年3000万人に1万円ずつプチボーナスが配れるんですよ。
生活保護だってそうですね。年金事務所みたいな専門の事務局がないからハッキリした数字は分かりませんが、申請や管理に役所のリソースを使わなきゃならんのですよ。これもなくせます。
実は最も分かりやすいのが児童手当です。「子供がいる家庭には一定額の現金給付しますよ」というアレなんですが、この現金給付のために事務局からわざわざハガキが来て「お前ん家の子供は元気なのか」と確認されるんです。その上で2か月に1回だっけ?わずかばかりのお金を振り込んでくれるんですが……
いや!それ!所得税に統合できるやろ!!
というか、児童手当つけるために所得税の子供の扶養控除なくしたんですよね?なんでこんなバカなことするんですか?役所の仕事を増やしたいからですよね?
というわけで、「生活保護、年金、児童手当、全部統合しちゃうぞ」という維新の方針は全く正しいのです。
ただ、その手段がベーシックインカムで良いのかどうかについてはこれからどんどん議論されるべきでしょう。
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