なんで女子陸上選手だけ衣装がセパレート?
こういう非常に興味深い記事がありまして、ツイッターでちょっと話題になりました。
記事の主旨は、
「アスリートのパフォーマンス向上のために進化したセパレート型ユニフォームなのに、エロい目線で見て、それを撮影して拡散するとはけしからん」
というものです。
※細かいことを申し上げると、「ユニフォーム」と言うのは「おそろいの服装」という意味なので、この場合は適切ではありません。
さて、まずは女子陸上アスリートのあのセパレート型ウェアがパフォーマンス向上において合理的なものかどうかを考察します。
女性は胸が膨らんでるからセパレート?
身体の構造上胸が出ているため、ランニングシャツでは胸の下の部分の空気抵抗が大きくなってしまう。それを抑えるための形状として、セパレートの形が生まれた。
これがよく分からない。
セパレートになっている部分は乳房の直下ではなく、随分下の方です。要するに「へそを出している」だけで、どー見ても胸は関係なさそうです。胸の膨らみが空気抵抗を増すことに違いはないでしょうが、なぜセパレートでその抵抗がなくなるかについてはその原理が全く不明です。
胸の膨らみが邪魔であれば、まさに胸部の工夫が必要で、それは普通「締め付ける」のが解決策でしょう。
男子だって胸大きいぞ?
だいたい陸上女子アスリートのプロあるいはハイアマチュアとなると、胸は小さいものです。一方男子アスリートは胸筋が発達していて胸部がかなり隆起しています。
(出典:https://www.jaaf.or.jp/news/article/12806/?player=2)
もしセパレートが本当に記録の向上に役立つなら、男子だって着用しても良さそうなものです。
セパレートで100mが0.1秒縮むですって!?
また一説には、セパレートタイプを着用して走ると100mのタイムを0.1秒縮めることができる、とも言われている。
いやいや、いくらなんでも。
それ同一選手で試してみたの?
0.1秒ってすごいですよ?
ドーピング疑惑があったとはいえ、0.1秒のハンディキャップがあるワンピースタイプで走ったジョイナーが作った記録を未だに更新できてないっておかしくありませんか?
腹を見せるか見せないかの空気抵抗の違いで100m0.1秒の差が生まれるんなら、まずは髪型でしょう。私ならスイミングキャップを被ります。
ゼッケン着けたら意味ないじゃん!
仮に、本当にセパレートが空気抵抗の関係で大きくパフォーマンス向上に寄与するものだとします。
しかしよく見てください。
(出典:https://www.jaaf.or.jp/news/article/12662/?competition=1419)
ゼッケン着けちゃってますね?
しかもセパレートであるがゆえにゼッケン下部は固定できず、垂れ下げのヒラヒラ状態。
いやいや、これ物凄い空気抵抗でしょう!
胸は良いとしても、男女でパンツが違うのはなぜ?
さらに大きな謎。
1万歩譲って上下セパレートは男女の肉体形状の特性差があるためとしましょう。
次の問題はパンツです。
なぜ女子アスリートだけハイレグなのですか!?
男子は普通に裾があるパンツを着用してますね。ボルトなんて膝ちょっと上まで裾があるパンツを穿いてます。
さて、この男女差はどう説明されるのでしょうか?
チンコがないとハイレグの方が良いんですか?
本当はパフォーマンスなんて関係ないんじゃ?
と言うようにですね、私は女子アスリートの競技ウェアは、パフォーマンス向上のためではないんじゃないの?と懐疑的に思っているのですよ。
つまり、セパレートタイプの方が女性が美しく見えるというところから始まったのではないかと。
普通、着るものには男性より女性の方が拘りますよね?
例えば、卓球の四元奈生美さんは選手時代にセックスアピールを前面に押し出した大胆な衣装を身にまとってプレイをし、話題になりました。
四元さんみたいな大胆な感性ではないにしろ、女性の可愛い服を着たいという願望の最大公約数が今のウェアの形になったのでは?と私は見ているんです。
ビーチバレーを見てみよう
同じ競技なのに男女で大きくウェアが違うと言えばビーチバレー。
坂口佳穂選手は、大学時代から「性的画像の被害」に遭っていて嫌な思いをしたと。でも怖くて言い出せなかったと。
(出典:https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/otherballgame/volleyball/2020/09/25/___split_18/)
で、気になるのはこの部分。
ユニホームは規定で面積が定められているのにもかかわらず、被害を公表した坂口選手の元には水着の露出度をなじるコメントがネット上で多く寄せられたという。「私たちは真面目に競技をしていて、水着はユニホーム。選手に(ユニホームが悪いと)言ってくるのは違う」と指摘した。
「ユニホームは規定で面積が定められているのにもかかわらず」ってこの場合どういう意味になるのでしょうか。
自分の意思ではなく規定で定められているものを着ているだけ
なのか
自分たちが好きな水着を選んで着ているが規定には違反していない
のか。
この2つは結構違います。
で、ビーチバレーのユニフォーム規定を調べてみたら、少なくともおっぱいの谷間が見えてないといけないとか、はみケツしてなくてはいけない、というようなことはどこにも書かれていません。水着の規定は何度か変更されていますが、坂口選手が現役を始めた時点ではすでにショートパンツもワンピースも認められています。
つまり、今の露出度の高い水着は、自分たちが望んで着用しているということであり、「違反してないんだから良いだろ」というニュアンスになるわけですね。
だが、エロい目では見るな!
ということなんでしょうか……。
キズナアイ論争を思い出す
同じような話を以前にも取り上げたことがあります。
キズナアイ論争でした。
この論争において春風風花さんは、「女の子には女の子らしい服を着る権利がある。それを男に媚びてるとか勝手に決めつけたり、エロい目で見たりするな」(主旨)と主張。
本人はセックスアピールという意識を持ってなくても「女の子らしい衣装が着たい」という願望はあるけど、男にエロい目で見られるのは嫌!ということですよね。
この問題に解決法はない
この女子陸上アスリートのセパレート型ウェアの問題について、まず最初に、
「もっと露出度の低いウェアにすべくレギュレーションを再設定すりゃ良いじゃん。どうせ男女で競うことがないんだから、女子の間で条件が同じなら問題ないでしょ」
という回答を用意してたんですよ。
しかしながら、この記事の説明に無理があること、空気抵抗なんてほとんど関係ないはずのビーチバレーでも同じ現象が起きていることから、どうやら話はそうじゃないみたいだな、と。
で、かつてのキズナアイ論争を思い出して、結局これ無理ゲーなんじゃねーの!?と思うわけです。
自分たちは肌を出したい。でも男にはエロい目で見られたくないって、これ先に紹介した当ブログ過去記事にも書いてますが、男性への侮辱でもあるんですよ。
女性が肌を出して動いてたら、男性の性欲は反応する。これ、自然の摂理ですから。
これが「被害」だとして、じゃあその「被害」をなくすために何ができるでしょうか。
写真撮影禁止にしますか?
じゃあ純粋にスポーツを芸術として見ている人も巻き添えを食うことになりますね。
じゃあ指定カメラマンにのみ撮影許可を与えますか?
そのカメラマンがエロくないという保証は?
いや、そもそも、純粋な芸術って何でしょうか。
例えばミロのヴィーナスを見てエロを感じてはいけないのでしょうか。ヴィーナスと言えば「愛と美の女神」。愛と美とエロのどこで線を引きますか?ダビデ像も同様でしょう。ヴィーナスにしろダビデにしろ、それぞれセックスとしての女性らしさ、男性らしさが美を作り出しているわけでしょ?
ということで、この問題に解決法はないし、最も解決に近い手段は、女性アスリート自身が今のウェアを否定し、新しい慣習や規定を作ること、になるんじゃないかと思います。
おまけ
どうでも良いことを書きますが、これを身近な問題として認識するのであれば、自分の妻や娘がその「被害」に遭うことを想像するのが近道でしょう。
で、それを想像してみるとですね……
どうでも良い!
となります。個人的にはね。
妻や娘がアスリートだとして、その恰好がエロかったとして、その姿を見て喜ぶオスどもがいたとして、そのオスどもが写真を撮ったとして、それでもどうでも良いです。
見て喜ぶのならどうぞどうぞ。
ただし、指1本触れるなよ。
覗き・盗撮の類は、される側がそれと認知しない限り、「被害」は生じません。もちろん、不本意な画像を拡散されたりしたらそれは被害ですが、アスリートであるならそれも構いません。具が映り込んでるとかだとちょっと困りますが。
妻や娘自身が嫌がるのであれば、「違うウェアを着たいと所属団体に直訴するか、競技をやめなさい」と言うでしょうね。
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