そもそも消費税とは
維新は連立与党入りに際に自民党・高市総裁に対して示した要望のひとつに「食料品消費税0%」というのがある。正直、「やれやれ」とがっくりきた。
分かっていない人のために基本から説明する。
消費税という税制の根幹は、「(一部の例外を除いて)国内のありとあらゆる消費(商取引)において、その動いた金額に一定税率を課す」というものだ。私は消費税なんて要らないと言う立場だが、それは一旦置いておく。この税制のメリットはと言えば、「累進制ではない」ことと「利益ではなく売り上げにかかる」ことで、GDPにほぼ比例する安定財源を得られるという点にある。

財務省ウェブサイトより引用。赤線が所得税、点線が法人税、実線が消費税の税収である。
ご覧のように、所得税や法人税が上がったり下がったりギザギザを描くのに対し、消費税はビクともせず安定して線を描いていることが分かる。途中でグンと上がっている局面がいくつかあるのは、税率が上がった時だ。
消費税は、子供がコンビニでガリガリくんを買っても、年金生活の高齢者がスーパーで総菜を買っても、暴力団がそば屋の出前を取ってもかかる。つまり、本来税金を払っていない立場だった人でも逃れられない税金という点で優秀(?)なのである。
軽減税率という悪性腫瘍
この、設計がシンプルなのに安定財源が得られるという消費税のメリットを崩したのが公明党だ。消費税率が10%に上げられる際に、当時連立与党の相方であった公明党は「食料品と新聞は生活必需品なので8%にとどめる」という政策を提案し、それが実現してしまった。
このことによるデメリットはシンプルさが取り柄だったはずの消費税を複雑にするというだけではすまない。
肉屋でグラム1500円の高級和牛を買えば8%だが、うどん屋で250円のかけうどんを食えば10%の消費税がかかる。
ピケティの『21世紀の資本論』には10%課税されるが、定期購読される聖教新聞には8%しかかからないのである。
テイクアウトが売り上げの相当割合を占めるマクドナルドや各牛丼屋は、店内飲食でもテイクアウトでも消費者が支払う金額が同じになるよう、料金を調整している。政府がいたずらに仕組みを複雑にしたため、消費者にとって分かりやすくするよう事業者が途中の手間を負う形だ。
そりゃそうだろう。外で立って食べる前提で300円のたこ焼きを買ったら、店の主人が気を遣って丸椅子を出してくれたとすると、「テイクアウト」が「外食」に切り替わったことになり、客は5円ほど追加で支払わなければならなくなる。その会計をちゃんとしなかったたこ焼き屋は脱税で逮捕されるべきだろうか。もちろんこんなこと、やってられるわけがない。
「インボイス」は官僚仕草の極み
それだけではない。旧自公連立政権はこともあろうに、「消費税率が複数あってややこしいよね。そこで新しい領収書のフォーマットを考えたんで、皆これに沿って、適格事業者の番号取得して、レジのシステムも替えといてね♪」などと言い出した。
さらにその流れで、「売上1000万円未満の免税措置だけど、これまで通り消費税払いたくなかったらそのままでもいいよ♪でも、その事業者が発行する領収書は消費税分を差し引いた分しか経費計上できなくしとくからね♪それが嫌なら適格事業者になって消費税払ってね♪」とも言い出した。
これらが一体何を意味するのか分からない人も多いかもしれない。これこそドラゴン桜の名言が示すところで、
「税金・保険・医療。頭の良いヤツが自分に都合の良いルールを作り、さらにそれを複雑にすることによって、頭の悪いヤツには分からないようにしている。騙されたくなければ勉強しろ」(主旨引用)
ということだ。
簡単に言えば、システムを複雑にしてちょっとでも大きな金が動くようにする。「取る金」と「取る金を処理するための経費」を恣意的に増やして行政を肥大化。それは権力の増大を意味する。それに伴い、民間には多大な負担をかけることになる。インボイス制度は企業にかなりの混乱をもたらした。
1000万円未満事業者の話は、要するに零細事業者は国に消費税を払わなくても良いよという減免制度のことで、インボイスで割を食うのは企業間取引だ。例えば大手A社が零細B社に仕事を依頼して報酬を支払う。この時、零細B社が免税事業者なら消費税分を差し引いた金額しか経費計上できないという仕組みにした。零細B社は、「報酬を値下げする」か「課税事業者になる」かの選択を迫られ、結局負担が増すことになる。
この時に「消費者(取引先)から預かった消費税を払わないなんてネコババだろ。課税して当たり前」という主張があるが、どんな大手企業だろうが零細フリーランスだろうが、「消費税を預かる」なんてことは全くしていない。料金設定は各事業者が自由に決めて良い。消費税は、その売上に対してかかる【事業者に課せられた税金】であって、消費者に課せられたものではないのだ。
「食料品消費税0%」はイメージの話でしかない
脱線が行き過ぎたので話を戻す。
「食料品の消費税を0にする」と聞けば、何となく庶民に寄り添っているように見える。が、それこそ公明党がやった悪行の手法だ。食料品の消費税課税を減免すれば、たしかにエンゲル係数の高い貧乏人が絶対的にも相対的に得することにはなる。
しかし、「消費税をいじるのに1年かかる」という政府の主張がウソだとしても、行政や企業に相当大きな負担がかかるのは間違いない。それを2年間限定のためにやる(つまり、往復で2度やらなければいけない)と言うのはナンセンスもいいところである。
この主張を正しいと思い込むのは、そもそも消費税の何たるかが分かっていないということだろう。貧乏人に優しい税制をと言うのであれば、消費税全体の税率を下げるあるいは撤廃して、所得税なんかの比重を上げるべきだ。
この部分、実は維新という政党の根幹に関わる非常に重要な問題なのだが、詳しくは後ほど書く。「大阪維新と国政維新の違いはなに?」を念頭に続きを読んで頂きたい。
つづく。




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