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ひろゆきvs藤田幹事長、からの万博の話

政治・経済
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維新・藤田文氏の大チョンボ

話が少し遡りますが、万博のことを語ろうと思ったらこれを抜きにはできないので……

ひろゆきがホスト(メインスピーカー)を務めるYouTube 番組『ReHacQ(リハック)』に、日本維新の会幹事長・藤田文武氏が出演しました。ここで文武氏は大チョンボをやらかしました。

トークのテーマは、鈴木宗男氏の無断訪露騒動&離党や今後の維新についてなどですが、ハイライトは大阪関西万博についてでした。ひろゆき氏は元々大阪万博については批判的で、維新の大幹部を招いてのトークとなれば当然ネガティブな姿勢でその話に及ぶのは必定。ところが幹事長たる文武氏は、ひろゆき氏の投げかけた基本的な数字についての質問にすら答えられず、「あー、うー」を繰り返すいう大失態を演じてしまったのです。

ここは万博の話というより維新の話になってしまいますが、このことについて藤田幹事長を擁護するのは、以前から彼や維新をよく知る【支持者】であって、その支持者の中でも猛烈に氏を批判する人は結構います。私がその一人です。

 

いや、広報・メディア戦略!

もっとも、私は藤田文武氏が嫌いどころかかなり好きな部類に入る政治家の一人ですが、「好き」と「正しい」はあくまで別の話。何より私は、このブログを含めて、ガチ改革派の新興政党である維新が党勢を拡大するためのメディア(広報)戦略の重要性を訴え続けていました。

その観点から、党や個々の政治家のSNS利用頻度の少なさには苦言を呈していました。ましてやリハックのようなマスメディア出演ともなると、基本的な数字(定量的問題)については知り尽くしていて「やっと0点」で、答えられないとなると大きなマイナスになってしまいます。議論は数字を答えた先にあるわけで、これでは議論すらできないのです。

ひろゆき氏はひろゆき氏で、彼は9割真っ当なことを言うかと思えば、1割でとんでもなく雑だったりバカなことを言ったりします。今回の配信でも、「万博はただの利権」「成功するわけがないじゃないですか」と勝手に大前提を作ってしまっており、なかなか話になりません。こういう手合いにはこういう手合い向けの議論ができるはずなんですが、何度も言う通り、数字すら知らないのではただのサンドバッグにしかなりません。

 

吉村さん、横山さんであれば…

これが吉村大阪府知事や横山大阪市長であれば……決してこんなことはなかったでしょう。もしこの2人以上に万博について対談相手やその他の聞き手を説得できる人間がいるとすれば、今や現役を退いた維新創造神の一人、橋下徹氏だけでしょう。政党幹部あるいは地方の首長ともなれば、橋下徹と同レベルに話ができるように……というのは話が逸れすぎるのでやめておきましょう。

元々アンチの多い維新、そこに「万博」という絶好のおかずが出てきて彼らは大はしゃぎです。そんな中、維新の幹部が完全アウェーなネット番組に出演することがどれほど重大なことか、改めて考えるべきでしょう。

番組は前編と後編に分かれており、藤田幹事長がサンドバッグになった問題のやり取りは前編に入っています。大体前後編に分かれているコンテンツって前編の方が再生回数が多いのは当たり前で、この配信も例外ではありません。さらに、問題の部分だけ切り取られて別個にYouTubeに投稿されたり、ツイッターに貼り付けられたりしているので、数字以上にそこの部分だけが注目されることになります。

 

リハックが用意してくれた「おまけ枠」

しかしながら、この番組は決してイケズなだけではなく、やらかしてしまった藤田幹事長のために、【番組の枠の中で】ラストの約10分間、万博について説明する時間を別に設けてくれたのです。「ちゃんと説明したいなら後日自分のチャンネルで」ではなく、その番組の枠内で10分間もの時間を割いてくれるのですから、きわめて良心的ですね。

そのオプション枠の中では藤田幹事長はちゃんと説明はしているのですが、私から言わせれば60点。「何がダメだったか」よりも、「どうすべきだったか」を言うとするなら、

●本編と同じトーンで
●関西弁を通して
●手書きのフリップを使って

説明すべきでした。(個人の感想です)

どういうことかというと、あの説明は「言わされてる感」が出ちゃってるんですよ。要するに「子供の使い」ですね。一旦持ち帰って党内の詳しい人に聞いてそれを必死に憶えて、でも憶えきれないからカンペをチラチラ見ながら……というのはよろしくないのです。さらに本編で話していたトーンよりも声を上げて、中途半端に標準語を使うのもダメ。

あくまで本編と同じトーンで、「国政維新の幹事長ということで、万博については大阪維新の方にお任せし、甘えていたところがあります。全く不勉強で大阪の住民および日本国民、さらに維新支持者の信頼を損ねてしまいました」とひたすら自分のポンコツさ加減を恥じながら、説明すれば、説得力が違います。

さらに手書き(印刷ではダメ)のフリップを使えば、「改めて勉強しなおしてきました」という実感が演出できますし、フリップを出すことによって視聴者の目は藤田幹事長の顔から外れるので、目線の動きを気にせずフリップ裏のカンペ(要するに、フリップと表面と同じもの)を見ることができます。

 

藤田文武氏の良さとは

今回のことは、少々厳し目に言えば、幹事長辞任でもおかしくないと個人的には思っています。文武氏は大阪維新としてはヒラの特別党員。しかし「日本維新」(国政維新)とは言え、維新の幹事長だし、何より万博は国名義の事業。全ての国会議員は「大阪のことなんぞ知らん」ではすみません。さらに、大阪選挙区の国会議員ともなれば何をか言わんやです。

とは言え。

それでも私は藤田文武という政治家が好きだし、今後の維新にもいてもらわないと困る人物であることには変わりありません。今回の動画ではチョンボをやったものの、そこを除けば彼特有の物腰や愛嬌というものが視聴者には伝わっているでしょう。他党を含む、他の政治家が持つある種のギラギラ感が彼にはなく、話していると少しだけ懐に近いところまで距離を詰めることを許してしまうコミュ力を感じます。不思議なのは、記者会見見てると貫禄みたいなものも感じられるところ。

ここで維新幹部の年齢を並べてみるとですね、

吉村洋文 48歳
横山英幸 42歳
藤田文武 42歳

なんか全然関係ない話になりますが、横山さん藤田さんくらいになると、前回の阪神日本一を生では知らない年代なんですね。あと、吉村さん若すぎ。

 

さて、ようやく本題へ。

 

万博の「経済波及効果」とは?

動画の中でひろゆき氏は「万博ってどう考えても失敗でしょ」と決めつけてきたのですが、ここで藤田文武氏は、「来場者数(チケットの売り上げ)」、中でも「海外からの来場者数」、そして「経済波及効果」なんかを即答すべきでした。もちろんいずれも「見込み」には違いありませんが、そこに民間企業が絡んでいるので、別に甘いものでもないでしょう。

さて、「経済波及効果」って何?と聞かれて調べずに答えられる人がどれほどいるでしょうか。ちなみに、今般の大阪万博の経済波及効果は2兆9000億円程度と言われています。経済波及効果とは要するに、その事業によって直接的に動く金と間接的に動く金を累計したものです。

しかしこの経済波及効果にはかっちり計算方法があって、恒久的に及ぼす経済的影響までは計算できないはずです。

例えば、豊臣秀吉の時代に今の経済学の手法を知る経済学者がいたとして、大阪城(当時は大坂城)建設についての経済波及効果を出そうと思えば出せたはずですが、400年以上経った今日でも、毎年多数の観光客が来て、天守閣は入場料を取り、たこ焼き屋が1億円単位の脱税をするところまでは予想しようがないし、「経済波及効果」にも算入できません。タイムマシンが発明されたら、是非秀吉を天守閣のエレベーターに乗せてあげたいものです。

 

大阪関西万博の特異性

それを踏まえて考えると、今般の大阪万博にとっても経済波及効果なるものが重要であることに間違いはないのですが、2つの点で大阪万博は特異な事業なのです。

万博は「マイナスからのスタート」である

万博が開催される土地である夢洲は、維新より以前の大阪行政の「負の遺産」であり、使い道に困る悩みの種でした。つまり、万博のために夢洲を作ったのではなく、夢洲という本来無駄な不動産の使い道として、万博と言う事業が生まれたわけです。

万博に対し、お金の面で批判的なことを言う人には「では夢洲をどうしろと言うのですか」と質問を投げかけてみましょう。彼らは、万博を独立した事業として捉えた場合の「見た目のお金」の話しかしません。

しかも、この事業は「損を小さくする」どころか「大きく得をする」可能性が大いにあります。例えば、ドリンクの50円自販機が仕入れ値割れでも販売する意味があるのは、「廃棄にお金がかかるから」であり、たとえ仕入れ値未満であっても売れたら「損を小さくできる」という意味があります。言うなれば、万博、そして以下に述べるIR事業は「70円で仕入れて110円で売るはずだった缶ジュースを200円で売れる話」なのかもしれないのです。

 

万博は単一の事業ではない

今般の大阪万博のもうひとつの特異性として、「単一の事業ではない」という点があります。万博は「夢洲事業」の一環であり、大阪IRとセットになっているのです。大阪IRは期間限定ではない恒久的事業であり、経済波及効果が意味を成しません。

IRは広い意味での都市計画ですが、発展するか閑古鳥が鳴くかは現時点では分かりません。どのような事業でもやる前に100%成功するなんてことはあり得ません。語れるのはあくまで蓋然的な話だけであって、その材料として、例えばIRのカジノは純民営事業であり、営利目的の団体である民間企業が楽観的にやるわけがないでしょ、なんてことも言えるわけです。

 

中止された都市博覧会との比較

万博反対派に対するカウンターとして、「いろんな人・金・企業が動いてる段階で今中止なんてことをやったら日本の信頼が損なわれる」という主張があります。さらにそれに対して、例えばひろゆき氏は「東京では青島さんが都知事になって都市博を中止したが、あれで日本の信頼が損なわれたなんて話は聞いたことがない」と反論します。

しかし、ここには大きな欺瞞が潜みます。

さて、そもそも「万博」って何でしょうか。

万博=万国博覧会とは、正式名称を「国際博覧会」と言い、その開催は国際的な約束事である「国際博覧会条約」に基づき、博覧会事務局の総会で開催を希望する国の候補から150か国以上による投票で決定される国際的イベントです。

そして、東京で中止された「都市博」は万博ではありません。

いわゆる都市博は地方博覧会であり、ドメスティックなイベントに過ぎません。計画をしていたのに中止したところで「勝手にどうぞ」って話であり、海外からの信頼がウンヌンなんて話になりません。万博はあくまで国際的な事業です。

ちなみに、万博には規模の大きさにより、「登録博」(大規模。旧・一般博)と「認定博」(テーマを絞った小規模なもの)に分けられるのですが、登録博で中止した例は過去に一度もありません。反対派は、世界で初めてそれをやれと言っているのです。

もう少し都市博について説明しておくと、都市博において、その計画が立ち上がった時と、開催予定年の間に日本には、「バブル崩壊」という戦後の高度経済成長に次ぐほどの大きな変化がありました。そして動き始めたは良いけど、参画から撤退する企業が続出、やる・やらないの意志の問題以前に、できる・できないの問題になりつつあったのです。そこで、都市博中止を公約に掲げた青島幸男氏が都知事に当選。はれて中止が決定したわけです。

これをもって中止の根拠にするなら、維新は「万博をやる」と言い続けて今の吉村大阪府知事と横山大阪市長がいるわけですから、全く逆ですね。そっくりそのまま、開催する根拠となるわけです。

 

突然脳の電圧が下がったのでここでやめますね。

 

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