なんだこの低投票率
日本維新の会代表選が終わりました。
投票結果は以下のとおり。
足立康史 1,158
梅村みずほ 1,140
有権者数 19,879
投票数 11,054
有効投票数 10,825
投票率 55.6%
まず注目すべきは55.6%という投票率です。令和3年の衆院選の投票率が55.9%だったことを考えると、「なんだこれ?」という数字です。国政選挙の有権者は、言うまでもなく一定年齢に達した全国民です。その中には政治家以上に政治知識を持つ政治オタクもいれば、今の総理大臣の名前すら知らない18歳もいます。それらすべてを母数にしての55.9%です。一方の維新の代表選の投票率の母数は、仮にも年間2000円という金銭を支払って自ら党員となっている支持者の総数です。しかも、一般党員と特別党員に1票の重みの差はなく、さらにはこれが初めての代表選。その結果として、55.6%という数字が出ているのです。
この投票率は今回の維新代表選をよく象徴しているように思えます。
中にはただのお付き合いで党員になってる人もかなりいるし、ヘタすりゃ自分で党費すら払ってない人もいる。
でしょうとも。で、それが国政選挙の投票率を下回る理由になると思いますか?もちろん、なるわけがありません。低レベルな詭弁でお化粧を施すのはやめましょう。それより堂々と認めるべきなのです。
今回の維新代表選は失敗だった
と。
立候補者のパワー不足
さて、もう少しこの低投票率を掘り下げてみましょう。
維新の代表選にはいろんな人に立ってもらいたいが、個人的な「まともな代表選」の基準としては、最低限、柳ケ瀬さんが立つことだと思うよ。
7/24の私のツイートです。
何が言いたいかと言うと、「投票したいと思える立候補者がいなかった」ということです。その数を公表もされないのにわざわざ白票を返送する人なんてほとんどいないでしょう。投票に値する候補者がいなければ、そもそも投票しないのが当然です。藤田文武さんが立場上出馬できないのであれば、あとは柳ケ瀬さんくらいしかいなかったと思うのですが、結局馬場さん支持に回られました。そりゃこの投票率になりますね。ちなみに、次期代表としての柳ケ瀬支持率は、少なくとも私の周辺では他を圧倒していました。
…という立候補者の問題がひとつ。
特別党員たちが暗鬱な空気を作り上げた
そして何より、特別党員の振る舞いです。
まず足立議員。松井代表が内々に馬場さん支持表明していることを指摘。これは本当に愚かです。
言いたいことは分かりますよ。でもね、「内々の」話なんて、ない訳がないのですから、それを言ってどうするの?松井さんが誰かと飲みに行ったらあなたも付いていくの?
もし本当にそれを問題視するなら、腹をくくって、それなりの準備をして、正々堂々、大きな声で、かつ爽やかに騒ぐべきであって、ネチネチ・チクチク・中途半端にやってしまうと、かえって自分の評価を下げてしまうだけなのです。そんなツイートする暇があったら、自身のガバナンス論や政策論をどんどん披露した方が評価が上がるのですよ。
このことを私が指摘すると、「なんでもフルオープンにするのが維新ではないのか」という異空間からの異論がいくつか来たのですが、じゃあトイレでおしっこする様子も動画に撮ってアップするのが良いのか?って話ですよ。「オープン」と言うのは、なんでもかんでもという意味ではなく、しかるべき手続きに則り、オープンにすべき事柄を規定した上で、その様子を見せることに他なりません。
他には、それまでの経緯もあったという反論もありましたが、因果を辿っていけばどこまでも遡ることができます。ここでの着眼点は、「過去のどこにターニングポイントがあったか」です。
陰のエネルギーは連鎖反応を起こす
そんな足立さんの“陰のエネルギー”に引きずられたのか、松井さんは「立候補する理由が分からない」「負けたら冷や飯」などと、それこそ内々ですべき話を公の場で言ってしまいました。
居酒屋で言うならどうぞどうぞ。「負けたら冷や飯」だって、厳しい政治の世界のコトワリというのはそういうものでしょう。しかし、一般人に言う必要は全くありません。たとえそれが実情であり真理であったとしても、表向きには「維新は選挙の勝ち負けで人事上の利益を失う」なんてことを公表してはいけないのです。「適材適所」「是々非々」これが維新ではないのですか?
この松井代表の言動は代表選のベクトルを決定づけたようで、特別党員たちは馬場さんの名前の連呼と言う、我々支持者が維新に期待するものとは真逆の、ドロドロとした実にウェットな代表選を演出するようになりました。そして、互いに闇の中に引きずる力は、空本事件で極まります。空本氏はどうしようもないバ〇だと思いますが、それまでの他の当事者の振る舞い方によってはこんな事件など起こらなかったかもしれません。
足立さん、オワコンになってもいいのか?
さて、維新代表選がどういうものだったのかを表す指標のひとつが全体の投票率であるわけですが、もう一つ、私が注目していたのが、足立議員の得票率です。
私は、この代表選における足立さんの位置づけとして、
馬場さんの得票数を基準にして足立さんは半分を獲りたいところ。最低でも1/3獲らなければ出馬した意味すらなくなる。
と思っていて、かつ
しかし、実際は梅村さんと競ることになるだろうし、ひょっとしたら最下位もあり得る。
と予想していました。
結果はご覧の通り、梅村さんと18票差という超僅差で何とか最下位は避けられた形です。
梅村さんは良いんですよ。ついこの間議員になったばかりで元々「持たざる人」だった訳ですから、この得票数でも御の字です。代表選出馬によって地上波含む複数のメディアにも取り上げられ、元来の爽やかな弁舌スキルを披露することができました。多くの人が梅村さんを「知らない」状態から「良い面を知る」状態に変化させたわけです。先日のブログで書いた通り、やはり代表選で得したのは梅村さんだけではないでしょうか。
しかし足立さんは全く違います。京大から経産官僚、さらに維新で国会議員を10年続け、国会質問でもそれなりに存在感を示し、党内でもモノ言う特別党員だった人物でして、その人が1位の馬場さんの15%も獲れず梅村さんと競るようなレベルだと、「足立さんは出馬していなかった」も同然なのです。
さて、足立議員自身はどういう予想をしていらっしゃったのでしょうか。あるいは足立シンパはどう予想し、この結果をどう捉えているのでしょうか。
やるだけのことはやったから満足?
それをマスターベーションと言うのです。
何度も言いますが、私にとって、足立さんは(好き嫌いは全く別として)維新の中で存在感を増してもらわないと困る人物なのです。なので私はツイート、ブログ、スペースで「足立康史が偉くなるための【方法論】」を語ってきました。
おっと、これは「足立康史論・補遺」の形でまたブログに書くつもりなので、続きは後日にします。
この代表は暫定なのか?
私は今回の維新代表選で選出される新代表は、誰であれ「暫定」でなければいけないと思っていました。維新の特別党員自身がいまだこの代表選の制度をよく分かっていないでしょうし、修正すべき点はいろいろあるでしょう。さらに、橋下・松井という2巨頭の退場は、新体制として安定させるためにある程度の時間が必要です。次の統一地方選挙まで8か月。特別党員や支持者が問い続けてきた「維新とは何か、どうあるべきか」を議論し、選挙制度の不備修正と特別党員の意識改革には十分な時間でしょう。
それを声高に言ったのが、候補者の中では他ならぬ足立議員だけです。来年4月で一旦辞任し、改めて選挙やろうぜ、と。
これ、マジで、100点ですよ。
でも、こんなインパクトの強い、分かりやすい話すら、支持者の間でも大した論争になりませんでしたね?なぜかというと、足立さんの話は響かないからなんです。こんな重大な問題提起も、「松井さんの内々の話の曝露」と同じトーンで言ってしまうから、もう足立議員の言うことを聞く耳がなくなってしまっているのですよ。良いこと言っても、アンダーラインを引くところや見出しの付け方を間違ったら何も伝わらない。私は代表選直前のスペースで直接足立議員に伝えましたが、こういうことなのです。
結局、この代表選は失敗だった
というわけで、ズルズル、ダラダラ、ドロドロ、グダグダになってしまった維新の代表選。ここにどんな物語を書くかは個々の自由ですが、「支持者」の中でも最も外側にいる私に言わせれば、
「こんな代表選、見とうなかった!」
です。
とりあえず、新代表は決まったわけですから、馬場さんの手腕に期待しますか。どんな人事をするんでしょうかね。テンション上がらないけど。
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