『笑ってはいけない』はもうできないのか?

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漫才シルエット お笑い
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え?『笑ってはいけない』はもうやらないの?

昨年、大晦日恒例の『ガキの使いやあらへんで 笑ってはいけない○○』シリーズを放送しないことになってショックを受けた方も多かったと思います。私は結構コアなダウンタウンファンだと自分で思っているのですが、やはり寂しいものがありますね。

以前からうっすらとは思ってたんですよ。『笑ってはいけない』も通常放送時代の尖った面白さなんてすでにないし、完全にマンネリ化。ダウンタウンも還暦近くになってきて、いつまでケツしばかれるんだろう…と。

そういう観点からすると、『笑ってはいけない』も完全終了したってそれはそれで自然なことではあるのですが、今のところ一時的な休止なのか完全終了なのかはハッキリしていません。

第一の当事者である松本人志は、やや不明瞭ながら「コロナでできない」と言っていました。私の知る限り、この件についての松ちゃんの発言はこれだけです。

しかし、だとしたら、ダウンタウンファンとしては、あるいはお笑い好きとしてはどこか安心したところがないでしょうか?

つまり、です。
「痛みが伴う笑いがどーだこーだという訳ではなかったんですね?」
と。

じゃあコロナ禍が落ち着いたら復活してくれるんですね?
と。

マンネリ化しているとは言え、やっぱり他に面白いテレビもありませんから、もう少しやってほしいわけですよ。コロナ禍のせいでできないならひとまずは安心……

かと思いきや!!

 

ガキ使『利き』シリーズから罰ゲームがなくなった!

今月『ガキの使いやあらへんで』のレギュラー放送にて、久しぶりの『利き』シリーズがありました。それは良いんですが、衝撃的な事実が。

『利き』シリーズと言えば、正解すれば10万円の賞金がもらえるけど、不正解だと外人さんが出てきて無慈悲な罰ゲームが執行されるというのが慣例でした。ところが今回の『利きミルクティー』に関しては、失敗しても残念なSEが流れるだけで罰ゲームはなくなっていたのです。しかも!メンバーはそのことについて一言も触れずじまい。触れてはいたがカットされた、という可能性も大いにありますね。

もしこれが、今日の暴力・差別・性的表現への圧力の流れとしてのものならかなり重大な話です。もう本当に、地上波テレビ放送では何もできなくなってしまいますよ。

ただし、自主規制があったとしても、そこはケースバイケースで幅があるようです。例えば漫才師のカミナリはネタ中でおもいっきり頭をひっぱたくということを今でもやってるし、錦鯉はCMで渡辺が長谷川の頭を連発で叩いています。

この辺の基準はよく分からない……と言うより、各局、各番組、各コンテンツが模索しているのでしょう。

同じことをやるにしても、ダウンタウン、特に松本人志はいまやテレビ界の頂点に鎮座しているラスボスで、担当番組とCMの数もちょっと異常なほどです。このことは、この人がやることが業界基準になると同時に、何かあったら批判もされやすいということ。「ホワイト化」に向けて大きな変革段階にある今、錦鯉のような若手(おっさんだけど)芸人だと許されるけどダウンタウンだとできないこと、なんてのもあり得るわけで、ましてや『笑ってはいけない』のような国民的大型コンテンツともなると……ということではないかと想像するわけです。

 

地上波と非地上波の本格的な棲み分けが始まる?

『笑ってはいけない』は個別事案としても、テレビ界全体が穏健な方に、無難な方に、暴力や性表現が排除される方向に進んでいるのは間違いありません。では、この後“テレビ”コンテンツはどうなっていくのでしょうか。

”テレビ”をダブルクォーテーションで囲んだのは、「テレビ」には地上波と非地上波があるからです。所謂「テレビ」と言う場合、ほとんどは地上波のことを指します。

地上波テレビにおいて「蝶野のビンタ」どころか、『利き』シリーズの罰ゲームすら許されないのであれば、吉本新喜劇も時間の問題と言うことになります。

となると、残されるのは非地上波テレビです。

各ケーブルテレビチャンネルやAmazonプライムビデオなどのネット動画配信サービスではかなり攻めたコンテンツを配信しています。

松本人志の場合だと『ドキュメンタル』が典型例で、陰茎を勃起させた宮迫が登場したり、スピードワゴン井戸田がカメラの前で放尿したりと、地上波では絶対にできないことでもやりたい放題です。今後非地上波にもホワイト化の波は襲うかもしれませんが、まだ少し猶予があります。

以前にも違う話題で触れましたが、松本人志は『水曜日のダウンタウン』で地上波ギリギリセーフを責め、『ドキュメンタル』でアウトのコンテンツを創っていて、一人で境界線を跨いでいるわけです。こういうことは、権力と実力が伴わないとできません。

 

とは言え、私は『笑ってはいけない』は、地上波・非地上波を問わず、少なくともこれまでの形ではもう復活しないのではないかと思っています。

もし、畑を変えて同じ企画をやろうとするなら、つまり、Amazonプライムなんかで『笑ってはいけない』をやるならカスタマイズが必要でしょう。今の『笑ってはいけない』は地上波の、家族で観れる形になってしまっています(だからコアなファンには物足りないのですが)。Amazonプライムでやってもなかなか家族で観るってことはなくなるでしょう。ってことは、非地上波に場を移したとしたら、ちょっと先祖返りして昔のようにエッジの効いた仕掛けが復活することになると思います。

 

テレビが面白くなくなった原因は視聴者にあるのか

さて、この「地上波でもうお笑いはできないのか」という問題は、放送局がヘタレであることだけが原因でしょうか。……と言うと私は違うと思っているんです。

その際に注目したいのが「HIKAKINという現象」なのですよ。

日本のトップYoutuberとして長年君臨し続けるヒカキン。すぐ飽きられるかと思いきや、今では地上波のテレビCMにも数本出演する人気者です。

しかしながら、私はヒカキンのYouTube動画を観ても、何も感じないし、何一つ面白いとも思わないんですね。今YouTubeを開いて「HIKAKIN」で検索してみると、以下のようなタイトルが並びます。

 

ガシャポン2200台を本気で回し続けたら当たりまくりwww【ガシャポンのデパート】(1443万回再生)

100万円分ドン・キホーテで好きなもの買ったらヤバイ量にwww(595万回再生)

1億円で買った時計が大変なことになってしまいました…(223万回再生)

LUSHのバスボム全種類一気に入れてお風呂入ってみた!(2500万回再生)

 

ガシャポンやるだけで1400万回再生、風呂の入浴剤入れるだけで2500万回再生です。日本人って1億3000万人しかいないのにですよ。そして、改めて観てみても、どこにも、何一つ、面白い要素がないのです。そして一定割合で「100万円分●●してみた」とか「1億円の時計がどーだ」といった金にモノを言わせる下品なコンテンツが挟み込まれていますが、最近「負けたら自腹」とか「強制的に高額な買い物をさせる」みたいな企画がそこそこ視聴率を取ることからもわかるように、どういうわけか、この手法は大衆にとってネガティブ要素にはならないんですね。

さて、このHIKAKINという現象は長年の不思議なんですが、ひとつ結論を出すとするなら、今日本人にとって動画コンテンツは、コンテンツの内容ではなく、「視聴習慣」が付くかどうかが大事なのだということ。視聴者はそこに面白さや新しい発見など求めていないのです。

……あ、この話はどんどん違う話に派生していくので、この辺にしておきますわ。

要するに、何も生み出さない代わりに不祥事も起こさない、ただ国民の目によく馴染んでいるHIKAKINのような「有名な普通の人」こそが重宝される、ちょっとおかしな時代になってきたんだなーと。

それを考えたら、今の超保守的なテレビコンテンツ作りだって、作り手側だけに責任があるわけではなく、その消費者たる国民の感性が鈍ってきていることも大きな要因なのでしょう。

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