イチローの“おにぎり”発言
イチロー選手の引退会見にて、食事管理など支えてくれた妻への感謝がありました。度々ひねくれた意見で申し訳ないですが、私にはノーベル賞受賞会見でもお馴染みのこの感謝の感覚が分かりません。謝罪ならまだ分かります。妻には夫が味わう感動や達成感は味わえない。とても不平等な構造だと感じます。
— maromiso (@maromiso1) 2019年3月22日
それに加えてイチロー選手は毎日妻に自分のためにおにぎりを握らせていたそうです
今まで2800個も握らせた上に「3000個握らせたかった」など会見で発言しています
典型的なモラハラですね#イチロー引退会見— サボテンの花咲かせ隊?? (@sabotensakastai) 2019年3月22日
イチローが引退会見中に言った、「妻におにぎり3000個握らせてあげたかった」という言葉に対する反応。ほとんどは肯定的な感動の反応ですが、ごくごく一部に引用のような感覚を持った人がいらっしゃったようです。
と言っても「ほとんどいない」も同然なので、取るに足らない話題なのかもしれませんが、ご本人たちは至って大真面目に書いてらっしゃるようで、当ブログのテーマのひとつはジェンダーってこともあって、とりあえず取り上げておきます。
弓子夫人がおにぎりを握っていたのは不本意だったの?
さて、イチロー選手の奥様である弓子さんは、嫌々イチローのために毎日おにぎりを握っていたのでしょうか?嫌々毎朝カレーを振る舞っていたのでしょうか?と考えた場合に、彼女が嫌々やっている訳がないんですよね。
イチローと弓子夫人が結婚したのは1999年。その時イチローはメジャー移籍こそしていませんが、日本プロ野球界のスーパースター選手でした。彼と結婚することがどういうことかを分かった上で結婚しているはずです。つまり、弓子夫人は彼女自身で人生の選択を行ったわけです。
妻には夫が味わう感動や達成感は味わえない。
この感覚が結構面白いと思ってしまったんですが、妻に限らず、イチローの得た感動や達成感は、イチロー以外誰も味わえないんですよ。むしろ、妻である弓子さんはイチロー以外の人間としては最もその感動のご相伴に預かった立場でしょう。
「妻はかくあるべき」なんて空気が本当にあるのか
そういった妻の姿こそがあるべき姿であるとの空気が今の日本ではあまりに当り前に流れている事はやはり違和感です。それは、そのような人生とは違う人生を歩きたい女性にとっては大きな圧力になってしまうと思います。
— maromiso (@maromiso1) 2019年3月25日
言いたいことは分かりますし、そういう空気がないとも言い切れません。が、イチローの言葉に際してまずこう思ってしまうのは、それこそ何かに囚われているのではないかと思います。
生物学的に考えれば、ヒトのオスは外で働き、戦争をするのが役割でした。一方のメスは家の中で子を産み、育て、家のケアと料理をしてオスをサポートするのが役割でした。
という表現をしてしまうと、主体が夫にあって妻はあくまで「サポート」なのか?とそっちの人から批判が出てくるわけですね。ところが、さらに生物の根本を考えると、メスが主体であってオスはメスのサポートをするために存在するわけですよ。なぜなら、生物の本分は「子孫を残す」ことですから。
これはもっと詳しく書けますが、趣旨とずれてしまうので別の機会に回すとして。
女はサポートに回るべきなのか
「だから女は男のサポートをするために生きていくべきだと言うのか」
という反発があると思います。
そうではありません。ここで私が書いているのは、「男と女の平均を比較すると、そこには適性の違いがある」ということだけであって、「女は社会に出るな」とか「女はサポートに徹する“べき”だ」ということではありません。
例えば、良い仲になりつつある男女間では、男は体の強さや頭の良さをアピールしたがるし、女は男に料理を作ってあげたくなる、これは動物としての本能であるということです。そしてそれはあくまで平均的な傾向であって、「べき」論とは違うものです。
他人の判断を評価するという傲慢さ
「日本にはそういう空気がある」というのも大きな事実誤認で、日本では晩婚化が進んでいます。つまり、結婚しなくなっているのです。晩婚化の原因はひとつではありませんが、女性の社会進出も大きな要因のひとつであることは間違いないでしょう。
さてさて、弓子夫人は可哀想な人でしょうか?謝罪されるべきでしょうか?このイチローの会見に限らず、こういう意見はちょくちょく見かけるんですよ。タレントの不倫や不祥事で、その妻やメンバーが「可哀想だ」というやつね。
「あなたは搾取されている、差別されている、モラハラを受けている、被害を被っている。謝罪されるべきだ」
こういう考え方がいかに傲慢で、近視眼的なものかを認識すべきではないでしょうかね。皆それぞれ自分の意思で選択し、人生を歩んでいるんですよ。
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