さて、ではそろそろ今の維新が孕む問題の核心部分に触れていくが、ネタとしてフレッシュな方から。前回に続き、「おこめ券」をさらに咀嚼する必要がある。
おこめ券
これは先日の投稿でも述べたが続きを書く。
政府バージョンは誰が中心になって推進したのかは不明だが、維新は無差別の配布には反対、「子育て世代を重点として」として賛成。しかしながら、子育て世代を重点にするかどうかは各自治体判断になるため、これは言わば「見出しだけ」の話だ。
さて、大阪府では府独自のおこめクーポンに加えて政府のおこめ券も足して1万円分が配布されることになったが、その対象は子供・若者世代に限られる。ここに様々な問題が生じる。
お腹の中の赤ちゃんがコメ食うの?
「子供はたくさん食べる」と吉村知事は言うが、お腹の中にる子供にまで給付するのはどういうことだろうか。たしかに妊婦は妊娠前よりは食べるが、「+高校生1人」に比べれば誤差の範囲だ。ちなみに最近では、産婦人科はやたら「妊娠中毒になるから絶対に太るな」と言われるらしい。
「物価高対策」なのか「子育て支援」なのか
もうひとつ。吉村知事は、この事業を「物価高対策」と絡めているが、これまたいろいろおかしい。「物価高」なら米価以外も高くなっているはず(実際にそうなっている)で、米に限定する理由はない。また、物価高という経済ハザードは子供だけを襲っているわけではない。ここに不満が噴出しているわけだが、これだってしかるべき説明さえあればかなり抑えられるはずだ。しかしながら、吉村知事は「物価高対策」と「子育て支援」の区別ができていないために説明もできないでいる。
そもそも、税金使ってやることですか?
*お米券の手数料(12%)が議論されていますが、府の制度は電子クーポンですので、この手数料はゼロです。
また、電子クーポン故に、券郵送にかかるコストもありません。
なお、申請方式であり(第四弾実績ベース86%)、申請されなかった予算を、事業者に支払うことはありません(ネット上で一部誤解あり)。? 吉村洋文(大阪府知事) (@hiroyoshimura) December 5, 2025
出ました、いつもの吉村節!
「この手数料はゼロです」
で、コストはどのくらいかかってるの?そこは言いませんよね?吉村さんだから。
電子クーポンのシステム運営、流通運営(ギフトパッド)、箱詰め、配送。すべてにお金がかかってるわけだ。なぜこのコストを言わない?1万円の食料品を配るのに一体どれだけの税金を使っているのかなぜ書かない?そもそも現金給付にしておけば、府民はいつも行くスーパーでいつもの食料品を買うのだから、箱詰めコストも配送コストもかかりませんわな。
こういう子供だましの発信に騙され続けている、あるいはそれと知りつつ応援しているのが維新信者だ。
農政改革圧の低下
大阪府の場合、「おこめクーポン」で米以外の食料品も買えるが、なぜかパスタやパンは見当たらない。私が見落としているだけかもしれないが、そもそも「おこめクーポン」なので米を買う人が多数派だろう。
しかし、そもそもなぜ米の価格が高いからと言って国民に税金で買い与える必要があるのか?言うまでもなく、米の生産・流通に関しては根深い問題がある。今般のコメ騒動では驚いたことに、農水省ですらその生産・流通が把握できていないということが判明した。おかげで、「中国人が買い占めて転売している」なんて話も出てきた。まあ、それも一部事実だったようだが、要するに供給絶対量の不足というのが結論らしい。
何にしても、今の日本には農政改革が必要で、大急ぎでその仕組みを変えていかなくてはならない。その際、米が高いからという理由で公権力が税金で買い取って国民に配るなんてことをやってしまったら、その改革圧は薄まってしまうだけだ。税金で買い取ったところで新たに米が作られるわけではない。米の出来高が低くて困る業者もいるだろうが、政府や自治体が買い取ってくれるなら安心だろう。
ひょっとして、利権ですかーー!?
返す返すも物価高対策として困窮者を救いたいなら、現金給付でもやって「いつもの店で好きな物を自由に買える」のがはるかにマシだ。同じ金額を貰えるなら、お米より割安のパンやパスタやジャガイモを買いたいって人もいるだろう。それをわざわざ「おこめクーポン」なんて形で給付するのだから、農業利権や配送システムの企業と何かしらよろしくない繋がりがあるのではないかと疑われても仕方がない。
さらに根本的な話をしよう。大阪府におけるおこめクーポン事業の予算は160億円。22歳以下の府民に限定して1人あたり1万円。これを全府民に配るとしたら、1人あたり1800円程度になる。前回、規模は小さいが同様のおこめクーポンが配布されたのが、1年前。
これ、いったい何の意味があるの!?
意味があるとすれば、「行政サービスの可視化」だろう。すなわち、現金給付や減税では「画」は撮れないが(もっとも、このレベルの現金や減税にも意味はないと思うが)、現物支給だと写真を撮って「おこめクーポンで注文した品がとどきました~♪吉村さん、ありがとう~♪」のリアクションが貰えるわけだ。1年ぶりに1万円ほど貰っただけで喜んでくれる(お金の計算もできない)府民がいるのだ。
「維新の理念」の喪失
すでに長くなってしまったので、セットで書くはずだった介護士・保育士へのギフトカードの話は後に回すとして、途中の結論を書いておく。
維新と言えば、
行政業務のうち、民間に任せられるものはどんどん民営化して市場原理にかけ、徹底的に行政のムダをなくす
というのが核心的党是だったはずだ。
ところが今の吉村維新がやっていることはどうだ。
「吉村さんありがとう~♪」を貰うために、市場原理の邪魔をし、社会主義のような配給をやり、税金で使わなくていい民間業者を使う。
この文脈で引用するのは彼の立場上どうなのか分からないが、こちとら純粋な一般人であり私人であり、知ったこっちゃないので紹介させて頂く。
首長の友人たちはみんな政府のおかしな方針に頭を抱えて代替案を考えている。既存の仕組みがない自治体におこめ券は厳しく、自治体に最終的に丸投げするのは愚策でしかない。
>「有能だったんじゃ」おこめ券で批判殺到の鈴木農水大臣…ネットでは前任の“進次郎再評価”https://t.co/yBL8kMID0o
— おときた駿 / 元参議院議員の社保下げニキ (@otokita) December 11, 2025
音喜多さんは維新(関係者)の中でも、政策(理念)の道理を弁えた貴重な人材だ。そして、実に当たり前のことを主張していらっしゃる。
さらに噛み砕いて説明する。大阪府の場合、すでにおこめクーポンを配布した実績があるのでその仕組みを再利用すれば良い。しかし、今初めてやろうとする自治体の場合、毎月ならともかく、1回きりの現行相場でたかだか5kgも買えないようなおこめ券を配るために、システムを構築しなければいけないのだ。
こういう「やってます感だけのアピール」や行政のムダこそ維新は徹底的に政治から排除しなければいけないのではないか?維新は「当初は反対」だったらしいが、個人レベルでは誰が反対していたのだろうか。そして最終的になぜ賛成に回ったのだろうか。吉村さんを見ている限りでは、嬉々としてやっているようだが。
つづく。

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