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韓国より貧しい国、日本

政治・経済
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円安は日本の国力低下のせい?

昨年の暮れ、辛坊治郎氏が出演した回の『NewsBAR橋下』で、円安についての討論が交わされました。

両者の主張をざっくり要約すると、

「急激な円安で国民は困窮しているが、円安によって儲けている会社はしっかり儲けている。あとは適切な分配の問題」

という橋下氏に対し、

「直近のGDPは下がっている。海外に行けば分かるが、日本はどんどん貧しい国になりつつある」

と言う辛坊氏。

簡単に言えば楽観論と悲観論の対立ですね。

辛坊氏は自身のラジオでも常々、日本が急激に貧乏になりつつあると主張していますが、その説明が結構雑なんですよ。

日本が貧乏になっていってるのは間違いありませんが、それは為替レート【だけ】で判断できるものではありません。

 

そもそも豊かさとは

最近よく聞かれるフレーズに「税は財源ではない」というのがあります。一見、きわめてエキセントリックに思えます。

が、このフレーズを一蹴する前に、「税金とは何か」「通貨とは何か」「経済の目的とは何か」を考えてみて下さい。

そもそも「経済」とは「経世済民」、すなわち「世を治めて民を救う」ことであり、本来の意味は「政治」とほぼ同義です。それが今ではお金の動きのことを指して使っているのは、お金の動きの制御が良い政治の実現にとって重要なファクターだと言うことでしょう。

では政治の目的とは何か?と言うと、一言で言えば「平和と豊かさの実現」です。平和とは警察や国防の力の充実のことですが、これだってお金がいるので、結局は豊かさの問題となります。豊かさとは何かと言うと、その国全体が十分な生産力を持ち、それによって生まれた富を合理的な範囲で分配することで実現できます。

あ、コムツカシイ?

要するに、国民の上から下まで、食うに困らず、なるべく欲しい時に欲しいものを手に入れられるのが豊かさってことですよ。そしてそれを数値化するとGDP(の向上割合)となります。そこに格差の問題を見出すとジニ係数だとかいろいろややこしい話になるので一旦置いときます。

では問題。「100万円持ってる人と1000万円持ってる人、どっちがお金持ち?」

バカバカしいですね。当然1000万円持ってる人の方がお金持ちです。

では「10年前に100万円持ってた人が今120万円を持っています。この人はお金持ちになった?」

この問いの正解は「分からない」です。

この人は資産を20%増やしましたが、10年間で物価が50%上昇していたら、資産は目減りしており、10年前の100万円以下になっているわけで、むしろ貧乏になっているのです。これがもし今200万円持っているなら、以前と比べてお金持ちになったと言えますね。

 

韓国以下になってしまった日本経済

では、簡単に言って「豊かさ」とはどう定義されるべき概念でしょうか。最もシンプルな考え方としては、「日本人の平均的な収入で何が買えるか」でしょう。その代表格に「ビッグマック指数」というものがありますが、これもいい加減と言えばいい加減でして、世界各国でビッグマックの大きさや使われてる食材が違ってたりするんですよね。その食材だって、自国産のものを使うか輸入物を使うかで事情は変わってきますし。だったら、基本的に世界で統一されている自動車のモデルなんかを使った方が良いかもしれません。何か月分の給料でプリウス1台が買えるかという「プリウス指数」とかね。

しかしながら、ビッグマックやプリウスなどを持ち出さなくてもその国の豊かさを知る統計はちゃんとあります。まずは「1人当たりのGDP」です。

より引用しています。

バブルの頃には2位に着けていた日本もいまや世界27位。ヨーロッパ主要国は軒並み日本より上で、直下にはイタリアや韓国が待ち構えています。

「でも、今の日本は物価が安いから……」

と言うあなたのために、今度は「PPPベースの1人当たりのGDP」をご紹介しましょう。「PPPベース」と言うのは、先述のビックマック指数の考え方に近いもので、要するに生活に必要なモノ・サービスの主要品目にどのくらいのお金が必要かを示したものです。

 

どちらも2021年の統計ですが、PPPベースだと逆に10もランクを下げてしまいました。実質的な豊かさとしては、今の日本は韓国やイタリアにも及ばないというのが現実なのです。

 

豊かさの実現のためにはまず「国の富」

豊かさの実現のためには、まず国全体の富がないと話になりません。「富」とは、学術的にはGDPと言って良いでしょう。それは、我々が自動車を作り、野菜を作り、服を作り、医療サービスを提供し、トラックで物を運び、ビルを建てて生み出す「付加価値」の総計のことです。それを人口で割ったものが「1人当たりのGDP」となります。

また、日本の特殊事情として、エネルギー資源が極めて乏しいという要素があります。石油が1滴も出ないわが国においては(いや、本当は何滴かは出てるんですが、比喩として)、ほぼ100%輸入に頼っている状態で、石油の輸入を止められたら日本の特産品である米を作ることも、魚を獲ることもできないのです。ということは、石油を買う分だけは物を作って外国に売って稼ぐしかありません。

それが実現できている状態というのは、GDPの増大=経済成長率において世界の主要国とランデブーしているということです。では経済成長率を他国と比較してみましょう。

より引用。

経済というのは「成長して当たり前」でして、問題は「どのくらい成長するか」となります。グラフでは、度合いに差はあれど、どの国もちゃんと成長しています。

おや、1国だけグラフが真横になっている国が……

はい、皆さん絶望してください。

それが日本です。

 

話を戻します。

辛坊さんの指摘する「日本はどんどん貧乏になりつつある」というのはその通り。しかしそれは、為替レートとは直接関係がありません。為替レートはその気になれば中央銀行がいくらでも操作できるからです。

このグラフが示すものこそ、日本がものすごい勢いで貧乏になっていってることを視覚的に表す根拠です。

1ドルが今の2倍の260円になったところで、我々の所得が3倍になっていれば、それは「日本が豊かになった」ということになるのです。ところが今の日本は、1ドルが倍になっても給料は1.5倍にしかならない国なのですよ(数字はテキトーです)。

 

この記事は元々「岸田という亡国宰相」というタイトルで書いていたのですが、ここまで来てまだ岸田のきの字も書いていないので、改題しました。

この後、「じゃあどうすればいいか」を書く予定だったのですが、長くなったので、つづきはまた後日に。

 

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