ネコのサブスクですってーっ!?
年末、「ネコのサブスク」である『ねこホーダイ』というサービスが登場してネット上で猛批判を食らうと言うことがありました。
『ねこホーダイ』とは、毎月定額でネコを貸し出すサービスのことで、飼いたい(持ちたい)期間だけ好きなだけネコをレンタルできるというもの。例えば、半年飼って飽きたらいつでも「返却」できるわけです。
このニュースを聞いて私は、
ゲスい商売だが、こういう商売が成り立つ土壌にこそ注目すべき。こういうサービスは、少なくとも「解決法」の一つにはなり得る。
という旨のツイートをしました。
「ネコはモノじゃない!」と怒り心頭の意見が大勢だったようですが、私からすればそういう意見は脊髄反射でしかないでしょ、と。
でもこれ商売にならんよね?
そりゃこんな商売のインパクトはえげつないものがあり、胸糞悪くもなりますよ。でも、考えてみてください。
月額380円
ですよ?
つまり、同時に1000匹のネコが“稼働”したとしても、ようやく月商38万円。そもそも商売になんぞならんのです。
具体的な仕組みやお金の動きは私も知りませんが、これって要するに経営者からすれば「ボランティアのバリエーション」のひとつなんでしょう。
犬猫の保護団体がどうやって運営しているのかよく知らないのですが、犬猫だってご飯も食べれば病気にもなる。マッチングが全てうまくいくわけでもなし。そこには必ず経費が発生するわけですよ。その経費、誰が出してるんですか?ほとんどの場合、その事業自体で稼ぐことはできないはずで、寄付で成り立ってるわけでしょ?その寄付金って足りてますか?
犬猫は保護しているだけで金がかかる。
だったら、それを「飼いたいけど責任は持ちたくない」という連中に任せてしまえば良いわけですよね。月額380円という、そこらへんの動画配信サービスよりはるかに安い料金であっても、飼うスペースと食事の費用だけは助かるんですから。
もう一度言います。
胸糞悪いが、解決法の一つではあるわけです。
そして私のこの胸糞悪さは、ねこホーダイの事業主ではなく、ペットショップやペットショップで無責任に犬猫を飼うアホども、ペット業界の問題を見て見ぬふりする日本社会全体に向けたものです。
「ネコはモノじゃない!」という“正義”をぶつければさぞ気持ち良いことでしょう。
叩くのではなく、「解決法」を!
ではツイッタランドの正義感に満ち溢れた賢者の皆さんにお伺いしたい。
だったらどうすればいいのですか?
それがベストかどうかは分かりませんが、私はこれまで対案を書き続けています。
生体の商取引を廃止しろ
犬猫を飼うための資格制度を用意しろ
犬猫を飼うにあたって保証金を取れ
ペット税を創設して、飼養者講習の実施やペットの住民票を作れ
等です。
さてさて、このネット世論を受けて、結局『ねこホーダイ』はサービス中止となってしまいました。
ねこホーダイを叩いていた人は、己の正義の声が通じて達成感を覚えたでしょうか。
ではネコにとってはどうでしょう?得したでしょうか、損したでしょうか。
根本解決には至らない
結論として言いたいことは皆さんお分かりだと思います。
ねこホーダイのようなサービスができようが、それが世論で潰されようが、ペットショップでは変わらず犬猫を金で売っているわけですよ。今飼われている犬猫のほとんどは生体販売由来の個体です。孤児(みなしご)になった個体をどうにかしようと誰かが努力したって、その供給元が無くならない限り、根本的な解決など基本的にはあり得ません。
ねこホーダイが炎上した時だけ、ペットにまつわる倫理を説いたところでうすらサブいというもの。この話題が鎮静化してそれでもまだこの話題について語る人はどれほどいるんでしょうか。
かねてから当ブログで書いているように、捨て犬・捨て猫の問題というのは根本解決には至っておりません。幸いにも最近は、保護個体を飼うという文化が醸成されつつあるようで喜ばしい限りですが、法制度そのものはほとんど変わっていないんです。
逆に言えば、どれほど善意のある人が努力しても、犬猫の販売で儲けようとする業者がいて、それを法律で認める制度がある以上、どうやったって根本解決には至りません。
必要なのは上っ面の正義ではなく、制度改革です。それができるのは政治家なのですが、選挙の際にそんなものが争点になるはずもありません。
ということは、より深く、本質に迫る世論を作っていくしかないわけですよ。
ってことで、今般のねこホーダイ騒動の見方、今回の記事で新しい視点を持って頂けたのなら幸いです。
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