第三者委員会の報告書
兵庫県職員がマスコミや政治家に配布した「齋藤元彦兵庫県知事の違法行為等について」と題された(一部からは「怪文書」と呼ばれる)文書問題についての第三者委員会が報告書を公表しました。
この文書は、斎藤知事による「おねだり」「パワハラ」「キックバック」があったとされるもので、その論点は多岐に渡ります。この中で、本来最も重大なのは「キックバック」問題だと思われますが、この部分は認定されていません。
「おねだり」に関しても、客観的事実としてはあやふやなものばかりで、この報告書においても「疑われる可能性があった」の表現にとどまり、認定はされておりません。
21世紀機構・五百旗頭氏死去の件
「21世紀機構」理事長の五百旗頭真という当時80歳のお爺ちゃんが亡くなったことまで斎藤知事のせいにしていることについてはもはやお笑いですが、報告書には「五百旗頭氏は自分以外の副理事長2人の退任人事に腹を立てた」(主旨引用)とあります。そして急性大動脈解離を起こして亡くなったこととの因果関係は不明であるが、日常的ではない一定以上の強いストレスを与えたことが窺える」とのこと(注:もう一度言いますが、80歳のお爺ちゃんです)。
ある事象と別の事象を誰かの主観による物語で埋めて良いのなら、
「そもそも21世紀機構って何の役に立ってたんですか?理事の人達は週2回の勤務で月40万円以上の報酬をもらっていたと聞きましたが、それってよく分からない外郭組織の代表では?おそらく2人の副理事長も一般人だととっくにリタイアしてる年齢だったのでは?やりがいを感じてたのだとしたら、『無報酬でやるから続けさせてくれ』とでも言いそうなものですが、そんな申し出はありましたか?失礼もクソも人事権は知事にあるのだから、それに従うのが当たり前ですよね?不当だと思うのなら労基(案件になるのかどうか知らんけど)や司法に訴えればよかったのでは?強いストレス?ストレスのない仕事なんてどこにあるんですか!」
という意見だって聞いてほしいものですね。
相変わらずのオールドメディアはこういった点を全くシカトした上で、「斎藤知事、パワハラ認定」などといった見出しをつけて騒ぎます。
「パワハラ」とは何ぞや
さて、「パワハラ」についてですが、公的機関、あるいは公共性の帯びた組織に「これはパワハラですか?」と聞けば、疑わしいものは全てクロ、すなわち「パワハラ」と認定されることになります。
例えば、上司が部下に対して
机をドン!と叩いて「何度言ったらわかるんだ!ニワトリ頭め!」
とやっても、
指で書類をトントンと叩きながら、いつもより少しだけトーンを上げて「プレゼン文書のこういう所では円グラフを使えって前にも言ったよね?君に行かせたIT研修だって金がかかってるんだよ?」
とやっても、
「注意される際に机を叩かれ大きな声を出され人格否定された」
と言われたら、どうやって「パワハラ」を否定しましょうか。
「いや、大声と言ってもどの程度の声なのか……」
と調整しようにも、
「論点をはぐらかさないでください!指導の際に大きな声を出したり机を叩いたりするのは、”パワハラ”になるのか否かを聞いているのです。返答はYESかNOのみです!」
「じゃあイエス……」
こう展開されてしまうとどうしようもありません。
そもそも「パワハラ」には明確な定義がありません。
「いや、厚労省が定めた3要件があるだろ!」と言っても、その3要件そのものが「業務の適正な範囲を超えて」だの「精神的苦痛を与える」だの、定量的に評価しようのないもの、あるいは主観に大きく左右されるものであって、くっきり線が引ける問題ではないのです。
しかしながら、社会の風潮からしても、「パワハラ」問題を無視するわけにはいきません。実際に世の中にはガチのパワハラだってあるんですからね。そうなると、公的機関や公共性を帯びた組織のエライさん達は、「これってパワハラですか?」と聞かれた「そうなります」と答えるしかないのです。この部分は第三者委員会を責めても仕方ありません。
「有罪か無罪か」と「量刑」の違い
先日参加させて頂いたスペースの参加者さんの一人は、この部分を明確に言語化してくれました。いわく、
「パワハラか否か」は「有罪か無罪か」の問題。それと「量刑」は別問題として考えなければいけない。
簡単に言えば、「有罪か無罪か」の問題にしてしまうと、
「10円拾って交番に届けなかった」
のと
「1億円拾って交番に届けなかった」
のでは、等しく「遺失物横領罪」という罪になってしまうのです。しかしながら、「量刑」を問題にすると、前者はそもそも事件として扱われません。拾った人だって常識を弁えているなら自分の財布に入れてしまうでしょう。10円1枚で警官の仕事を増やすより自分の財布に入れてしまうのが社会にとっては善ですから。一方、後者はほぼ間違いなく実刑の懲役刑でしょう。
マスメディアを含むアンチ斎藤勢力は大喜びで「パワハラ認定!」「自分に処分を!」と叫んでいますが、言うまでもなくそこに「量刑」の話をする者などいません。
視点を逆転してみると、部下(後輩)を持ったことのある人で、「パワハラをしたことがない人」って一体どれほどいるのでしょうか?今、青筋を立てて斎藤知事を攻撃している橋下徹氏だって、現役時代、カメラの前で女子高生を泣かせてましたよね。だったらカメラのない密室であればそれ以上のことをやっていてもおかしくありませんよね。
なんせパワハラ3要件の文章そのものは実にアバウトで、それに当てはまるかどうかは受け手側、あるいは観測者が決めて良いわけですから、「パワハラ」(あるいは全てのハラスメント)はいくらでも作り出せるわけです。
この後、橋下徹氏の主張のおかしさについて語ります。
コメント