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【最低賃金1500円を政府補償?】れいわ新選組公約の欺瞞。

れいわ新選組ポスター 政治・経済
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良いポピュリズムと悪いポピュリズム

そもそも民主主義による政治とは良くも悪くもポピュリズムなんですが、「良いポピュリズム」とは何かと言うと、

政治家とは国民・地域住民の代表者であり、有権者の民意を行政に反映するのが仕事。有権者の言う通りにして何が悪い。民主主義はポピュリズムこそが正義だ。

これは元大阪市長・橋下徹の発言の主旨引用ですが、同時に「ただし、自分で選択したのなら、その結果については責任を負わなければいけない」と、民主主義の厳しさも説いています。

これが言わば「良いポピュリズム」ですが、実際に「ポピュリズム」という言葉が使われるのはほとんどが悪い意味でです。

「悪いポピュリズム」とは、有権者にウケの良いことばかり言って実際は実行しなかったり、悪い方に向いたりするようなことです。

この2つの違いは簡単で、「有権者のため」にやるか「自分の(当選の)ため」にやるか、です。

政府補償の最低賃金1500円ですって?

さて、れいわ新選組はどうか、って話をここから。

“研究会”に高橋洋一氏を講師として招くなど、経済への意識が高いと思いきや、その公約には大いに欺瞞を抱かざるを得ません。

その公約の中で最も目立つのが「最低賃金」です。

れい新は、公約に「最低賃金を1500円にする」ことを掲げています。

これに対し「企業がバンバン倒産していく」「韓国がどうなったか知ってんのか」と脊髄反射してしまうオッチョコチョイがいるのですが、こういう人達が言論の場を乱して話を進まなくしているのですよ。

韓国の事例は、文在寅政権が最低賃金を上げ続けた結果、企業が人を雇えなくなって倒産ラッシュ、結果失業率が過去最大を記録したというもの

れい新はこの最低賃金を「政府補償」という形にしているので、企業には負担がないのです。つまり、韓国で実際起きたような倒産ラッシュみたいなことは(少なくとも同じ理由では)起きないということです。

私はこの「政府補償」を踏まえた上でも、全くナンセンスだと断じます。

そもそも仕事によって給料が違うのはなぜ?

そもそも、同じ1時間の労働なのに仕事によって時給が違うのはなぜなのか?

それは、仕事のキツさや要求されるスキルが違うからです。

例えば、スーパーのレジ打ちが1000円だとすると、レジ打ちより500円分キツいと思われる仕事には1500円の時給になるわけですよ。私の学生時代にはパチンコ屋、家庭教師、引っ越し屋というのが相場の良いバイトでした。

最近のパチンコ屋は行った事がないので知りませんが、煙草の煙にまみれて立ち止まることなく動きまくり、パチンコ玉で大盛りになったプラスチックケースを運ばなければなりません。

家庭教師だと、求められるスキルがある程度限定されていることと、実働時間が短い分、時給に反映されています。

これらのバイトの時給が1500円だとしたら、労働者側にとっては時間あたりの労働価値がスーパーのレジ打ちと同じってことになります

時給が同じなら楽な(あるいは実働時間がの長い)仕事を選ぶのは当然です。となると、キツい仕事の方はそれに対抗するために、さらに時給を500円なり800円なり上げないと労働力が確保できないわけです。

「最低賃金」はあくまで最低賃金でしかありませんから、1500円から2000円に上げてもその差額の500円を政府が補償してくれるわけではありません

結果、その企業は大きな負担増になり、倒産することになります。

時給とは、労働市場の市場原理の結果として雇用者側が設定するもののはずですが、最低賃金を行政が設定してしまうと、その市場原理を崩壊させてしまうことになるのです。

じゃあそもそも最低賃金って要らないってこと?

私はそう思います。

少なくともれい新の政治ポリシーは相当な左寄りで、格差社会の是正に本懐があると言って良いでしょう。

世の中には失業者もいます。

最低賃金をいくら高額に設定しても、それは職に就いている人だけが恩恵に預かれるものであって、求職中や働けない人には何ら関係がありません。

彼らは彼らで失業保険なり生活保護なりで文化的生活を守ってあげないといけないわけです。

だったら最低賃金制度そのものを撤廃して、「負の所得税」とか「ベーシックインカム」などを実施すれば良いのですよ。

「負の所得税」とは、確定申告の時点で一定の所得を下回れば、税の徴収ではなく、逆にお金を支給するという制度のこと
「ベーシックインカム」とは、完全無条件で国民1人あたりに一定額のお金を毎月支給し続ける制度のこと

こうやって複雑な制度を単純化すれば、行政の負担を軽くし、効率化できます。手続きに時間がかかったり、余計な事務局を置いたりすることもありません。でも、れい新は「公務員を増やす」なんて言ってますから、こういう制度にも反対なのかもしれませんね。

 

「デフレ脱却給付金」とベーシックインカム、何が違う?

れい新は一方で「デフレ脱却給付金」なるものを公約に掲げています。

これは言わばベーシックインカムの一種で、毎月国民1人あたり3万円を支給するという制度。4人家族なら毎月12万円収入が増えるということになります。

ただし、インフレ率が2%を上回らない限り、です。

金お札1万円札

まあ、何もやらないよりは良いのかもしれませんが、この中途半端な条件と金額では、金額分のパフォーマンスは得られないでしょう。

 

ベーシックインカムのひとつのモデルとして、恒久的に国民1人あたり7万円を支給するとします。

家族4人なら28万円で、十分食っていけます。パパが失業中でもママがパートをすれば割と裕福な生活も可能ですよ。

 

これ、何が大事かと言うと、「何があっても一生飢えることがない」という安心感なのです。

例えば、今サラリーマンをやっている人でも脱サラを夢見たことがある人は多いはず。将来は飲食店をやりたいって人も多いですよね。あるいはアイデアだけは持ってるけど資金がなくて起業できないという人もいます。

特に日本人は保守的なので、外国のようなベンチャーが育ちにくいと言われます。

そんな保守的な日本人のケツを蹴ってくれるのがベーシックインカムなんですよ。

 

なぜ起業に尻込みしてしまうかというと、失敗した場合に借金だけが残ったり、自己破産してスッカラカンになってしまう恐れがあるからです。

これだと特に子供を作ってしまった後の起業なんて怖くてなかなかできるものではありません。

 

ところがベーシックインカムがあったら、どんなことがあっても最低限の所得が保証されているわけですから、ハードルは物凄く下がります。

月給30万でサラリーマンをしていれば、2年で500~600万円くらいは貯金できます。これなら起業もしやすいし、いざ失敗してもその生活は保障されています。

その起業が9割失敗しても良いんです。残りの1割が成功し、さらにその中から億単位の年商を稼ぎ出す成長を遂げる企業も現れるだろうし、ひょっとしたら日本のGAFAが生まれる可能性だってあるのです。

 

中途半端な額はベーシックインカムの本質を失う

そんなことを考えると、インフレ率2%未満限定で3万円というのは、いかにも中途半端です。

個々の国民はインフレ率などコントロールできないし、なかなか予測もできませんから、「今もらえてても来年はどうなるか分からない」わけですよ。すると、遠慮なくその支給額を使えるか?という疑問が出てきます。

貯蓄に回されると物価は上がりませんから、この支給額は使ってもらわないと意味がないのです。ところがいつなくなるか分からないものはなかなか使えないし、支給が停止された時のために持っておこうというのが人情でしょう。

何より、いざインフレ率2%を達成したとして、今まであった12万円の収入がなくなったら、人間の心理はどうなるでしょうか。物凄い反動(買い控え)が予想されます。もちろんそうなったらなったで3万円給付するから良いではないか!と言う言い分なんでしょうが、このやり方で例えば安心してローンが組めるようになるか?って言うと私はそうは思わないんですよ。

 

特に先述の「最低賃金」の件もセットで考えると、なんとも頭が悪く思えて仕方ありません。最低賃金なんか設定するくらいなら給付金は要らないだろうし、給付金を受給できるなら最低賃金設定なんて要らんだろ、と。これを二つに分けることによって公約が派手になり、その手のクルクルパヨクが喜ぶんだろうなーとしか思えないのです。

 

「負の所得税」では何がいけないの?

ちなみに私が推すのが「負の所得税」です。ベーシックインカムはどんな大金持ちにも一定額給付されますが、負の所得税だと一定所得を基準にして、個別に額が計算されて給付されます。公平な上に、インフレ率がどーのこーのという基準が必要ありません。さらに今の所得税の仕組みをほんのちょっと書き換えるだけで済むので、余計な事務局の設置をする必要もなく経費がほとんどかからないのです。

 

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