小ネタです。しかもちょっと古い話題。
薬物で逮捕される芸能人は次から次へと現れますが、先日、大麻取締法違反で逮捕された伊勢谷友介容疑者について。
東京地裁で初公判が行われたのが12月1日。
法廷で伊勢谷容疑者は、「誰かを傷つける犯罪ではない」と大麻に対する理念を披歴。その上で入手先も「言えない」。
このことについてま~プロアマ問わず、皆さん叩きに叩いた訳ですが、プロである『グッとラック!』では立川志らく氏が、
「誰も傷つけないって、仕事キャンセルしていったいどれだけ迷惑かけてるんだ」
「被害者のいない犯罪だと言うが、大麻は暴力団の資金源になる」
(※主旨)
とやはり大叩き。
いや~ごもっともですね。一見すれば。
しかしこれで「そーだそーだ!」と賛同するのはアホウですよ。
筋違いの批判
まず仕事仲間に迷惑をかけるというのは、民事責任の話です。この話は刑事事件の公判なので、民事は全く関係がありません。仕事仲間に迷惑をかけたことが「罪」であるなら刑事責任を問われるわけですが、もちろんそんな法律は刑法にはありません。そして刑事事件でないからといって責任を逃れられるわけでもなく、伊勢谷容疑者は多額の違約金や損害賠償の支払いに追われることになるでしょう。
次に暴力団の資金源ガー!ですが、いや、お前らそこまでヤクザについて潔癖症なら、暴力団のフロント企業リストアップして報道しろよって話です。厳しい法律改正によって今でこそどの程度繋がりがあるか分かりませんが、例えば性風俗なんて暴力団が経営するものでした。じゃあテレビで芸人が風俗エピソードで人を笑わせてギャラもらってる光景に対して、あんたは何か物申したのか?いやいや、その前に落語で地方公演回るのに地元の暴力団に挨拶なんてしたことないってか?少なくとも師匠の談志は挨拶どころか、個人的な付き合いだって相当あったのではないのか?
ま、とにかく志らく氏は伊勢谷容疑者を叩きたかったんでしょうね。
そもそも大麻とはどんな薬物か?
私、中島らものファンなんで薬物にはちょっとうるさいんですよ。
らも氏は生前「覚せい剤だけは絶対に手を出してはいけない」と読者を啓蒙しておりましたが、さすがでした。しっかり大麻で捕まっちゃいましたから。
んでね、いまだに「薬物」「ドラッグ」「クスリ」というのは一括りにされがちですが、知ってる人から言わせると、「覚せい剤」と「大麻」は天と地ほどの差がある、と。
どう違うかと言うと、アルカロイド系でアッパー系の覚せい剤は、使用すると人格が完全に変わり、とんでもない異常行動を起こすことがあります。
この2本のCMは当時大きな話題となりました。前者は映像が、後者は強烈なキャッチコピーが、善良な一般市民を震え上がらせたのです。「覚醒剤やめますか それとも人間やめますか」は超ロングセラーの流行語にもなりました。
これらのCMが発するメッセージはどうやら大げさではないようです。覚せい剤は脳に不可逆的ダメージを与え続けます。つまり、やめても認知機能はある程度低下したままになり、かつ、依存症は強烈で、やめた後でも死ぬまでもう一度やりたいという衝動と戦い続けなければいけないと言います。
さて、一方の大麻ですが、これが話を聞けば聞くほどなぜ違法扱いになっているか分からないほど、ドラッグとしては弱い物なんですね。
その毒性も依存性もタバコやアルコール以下。
アルコールなんていつでもどこでも飲めるのに、飲んだら人格変わって時に暴力に走る人なんていくらでもいますからね。飲酒運転は年間約3000件で、そのうち死亡事故は170件超(※2019年統計より。件数なので、死亡人数はもっと)ですよ。これ、なんで合法なんですか?
言っておきますが、私は(少なくとも、まだ)大麻はやったことがありませんし、「大麻を合法化せよ」という趣旨でもありません。
タバコは吸いますので、タバコより毒性も依存性も低いなら、合法化されたら飛びつきますけどね。
伊勢谷を叩いている連中も依存症
この投稿の主旨は2つ。一つは、「タバコやアルコールはOKで大麻を違法にしている理由がよく分からない」。そしてもう一つは、「伊勢谷容疑者を含め、大麻でパクられた芸能人を叩いてる人達は、別の深刻な依存症じゃねーの?」ってことです。
伊勢谷友介は逮捕されたことで「ハイ、ここに叩いていい物がありますよー!」とレッテルを貼られたわけです。叩く連中に理性などありません。動く物体を見たら交尾の相手だと思って飛びつくカエルのように、亀を見たら上から踏んづけたくなるマリオのように、かさぶたが出来るとめくらずにはいられないガキんちょのように、叩いて良いものを見たら叩かずにはいられない連中が相当数いるわけです。
そして、普段はそういう叩くことでオキシトシンつゆだくにしている連中を批判している立川志らくもまた袋叩きに参加したということになるわけですね。
そこに「なぜ悪いのか」という考察などありません。本来なら、「ドラッグとしての大麻」が語られるべきで、そうなると、我々にとって身近なドラッグであるアルコールやタバコとの比較は不可避なのですが、そんなことお構いなし。コロナと全く同じです。彼らにとっては、「逮捕されたんだから法に触れることをしたのだ、だから悪人なのだ!」で叩く理由は十分なのです。
志らく氏には多少別の認識(良く言えば「常識的な」)があったかもしれません。が、その理屈は稚拙極まりないもので、タチの良いものではありません。
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