今、主として維新の議員および支持者の間で紛糾している文通費(をきっかけにした国会議員の収入と経費の)問題についてですが、ここで私の認識をハッキリ表明しておきます。
分かりません。
分からないながらもどうアプローチすべきか、多少の補助線くらいは描けるのではないかと今書き始めていますが、それもどうなるやら分かりません。
いつもであれば、ごちゃごちゃした話には「俯瞰で見るとこういう構図が浮かび上がってきます」と、できるだけより本質に近いところを提示するのが私の書き方なのですが、今回の話はかなりややこしくて、説明も乱雑になってしまいます。できるだけそれに近いことはしますが、この記事に限っては私の主観・独断も多分に含むことをお断りしておきます。
まずは橋下徹vs足立康史のバトルについて思い付くままに書いてみましょう。
橋下vs足立バトルは構図が分かりにくい
この2人のバトルのややこしいところは、構図が抽出しにくいというところなのです。
そもそも橋下さんが言ってる議員の経費論争は、本来、党代表である松井さんと交わすべきものです。その松井さんは「そうは言うても、金かかんねやからしゃあないやん」とゴニョゴニョお茶を濁して早々に戦線離脱。話の流れで、結果的に橋下vs足立の一騎打ち状態になっていた訳です。
さて、松井さんのこの言葉は本心でしょうか?
違います。
あくまで私の見る所ではありますが、橋下・松井・吉村という維新BIG3は、その理念を完全一致させています。特に松井さんは橋下さんと二人三脚で維新を引っ張ってきた戦友であり、両者とも、「給料が安い」どころか私財から足が出て行ったことを告白しています。今の文通費については橋下さん同様国会議員に対し「おどれら何ネムたいことぬかしてけつかんのじゃ」くらいに思ってる可能性もあります。そんな仲ですから、恐らく、今更政策について言葉を交わすのはかなり限定的でしょう。
違うのは立場です。
松井さんは党代表である一方で、現役国会議員ではないという少し特殊な立場です。橋下さんと考えを同じにしていても、代表として党をまとめていく義務があります。ヘタなことを断定的に発言してしまっては党内の分裂を生み出しかねません。「現役国会議員ではないから説得力がない」は「現役国会議員ではないから今回の論争から逃れられた」ということでもあります。
前回の投稿で、「橋下さんは受け身の取れる相手を投げ飛ばそうとしているだけ」と書きました。格闘技はガチンコであればあるほど地味で危険に、ショープロレスになると見た目は派手なのに安全になります。ではこの論争はプロレスだったのか?ってことになるんですが、私の見る限り「台本が数行しか書いていない雑なプロレス」です。
こういうセンシティブな話をするにあたって、橋下さんや松井さんが何も気遣わずに好き放題するなんてことはちょっと考えられません。裏である程度の申し合わせはあって当然と考えるべきでしょう。その申し合わせの結果、松井さんが他の議員にもある程度のアナウンスをしているということも想像がつききます。もちろん可能性の話ではありますが、支持者ならそのくらいのことは想定しておいて然るべきと私は考えます。
足立康史議員について
さて、論争の一方の主役である足立康史議員についてです。
私はかねてより、「足立さんはリーダーになれるタイプではない」と言ってきました。これはディスりではありません。人はそれぞれ得意分野があり、リーダー気質というのも特性のひとつでしかありません。足立さんは優秀であっても、飛車として自陣から飛び出して単独暴れまわる役回りであって、ドシっと構える王将タイプではない、というだけのことです。今回の論争においては、足立康史というキャラクターが良い面でも悪い面でもクッキリ表れたと思います。
まず良い面から。
足立さんは、京大工学部卒の経産官僚出身というキャリアを伴う知的エリートです。問題を整理し、抽象化し、言語化する能力に非常に長けています。討論においても全く物怖じせず論理的に話すので、相手にする他党議員や官僚も嫌がるでしょう。
文通費についての議論においては、ただ一人「政治資金規正法との兼ね合い」という論点を提示したところは大変興味深く、新しい着眼点を政治家にも我々支持者にも与えてくれました。あの分かりやすい解説で「?」になっていた某議員さんには閉口しましたが、まあそこはちょっと置いときまして……。
いや、しかし。今回の議論を総括して、足立さんの話って分かりやすかったですか?なんか上に書いたことと矛盾するようなことを言いますが、分かりにくかったと思いませんか?
橋下さんとの論争が始まった当初から、足立さんはどの立場から何を言っているのか非常に分かりづらいところがありました。「維新の会を代表して」なのか「足立康史個人の見解」なのか、「現状」の話なのか「これから目指す」話なのか。
リーダータイプの人ならこれができるんです。立場と論点を明確にし、シモジモの人間にも短く分かりやすい言葉で説明する。橋下徹は常にそれをやってきました。ついでにいうと、苦手だった内側の庶務や人間関係のメンテナンスは松井さんが担って、2人1組の完璧なリーダーがかつての維新にはいたのです。
足立さんは、自身で「官僚目線」とも言っているだけあって、その眼は国民にはあまり向けられません。繰り返し言いますが、これは悪いことではありません。党の中にそういう人は必要で、頼もしい存在なのです。「官僚らしさ」はシチュエーションによって良くも悪くも映ってしまうというだけのことです。今回の論争においては、話のどこにもアクセントを置かないいかにも官僚的な返答が、(私には)全体としてマイナスに見えてしまったわけです。
さらに。
ある問題があったとして、その問題には論ずるべきレベルが多段階に存在します。足立さんはその中間の問題点を抽出することには長けているのですが、より根本的な解決法の提示はしていないと思うのですよ。
今回の議論で言うと、政治資金規正法という法的問題が足立さんによって浮かび上がってきました。なるほど、その通りだ。橋下さんも言葉を濁しているところを見ると、足立さんの見解は間違っていないのでしょう。
でも、それって本質的な問題ですか?そもそも政治資金規正法およびその他の法律って、妥当なものなんでしょうか?「政治資金規正法ではこうなってます、だから従います」というのはゴールではありませんよね。
法律というのは穴と矛盾に満ちていて、常にアップデートしていく必要があります。だからこそ、国会議員=立法府がいるわけですよね。足立さんは立法府の人ですよね?
まだ私、関連する動画も全部観たわけではないので、見落としているところもあるかもしれませんが、足立さんは根本的な解決法を何か提示されたのでしょうか?
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