ミソジニーをやっつけた後にミサンドリーに嫌われた話。

男女平等 ジェンダー
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最近スペースで2つの面白い事案があったので、ご紹介します。

私の強い関心事のひとつがセックス・ジェンダー論であることは、当ブログの読者の皆様であればよくご存じのはず。ご紹介するのはどちらもジェンダー関連です。ある程度「界隈」を特定できそうなことも書いてしまいますが、仕方ありません。ブログで取り上げない訳にもいかない事案なので。

 

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性犯罪被害女性を虐めて面白いか?

1件目。

そこはまさしくジェンダー関連の話題を扱うスペースで、入ってみたら、痴漢など性被害を訴える若い女性と、その女性に対しどういう訳か嫌悪感をぶつける男性との対立になっていました。

女性の態度は礼節をちゃんと守ったもので、社会的弱者の立場から何か解決策はないかと主張していました。例えば、痴漢を発見した時に他の男性が助けに入るとか。

それに対するある男性の反応。

「自分のことは自分で片付けてくれっつってんの。分かる?なんでアナタのために皆が税金使って動かないといけないの?」

もはや、「クルクルパー」という言葉でも全く言い過ぎではないほどのバカだと思いますが、実際にこういう男性がいるんだからしょうがありませんね。

すると女性。

「いや、自分で自分の身を守るのも限界があるので、協力できる男性には協力を……」

それに対して男性の返答。

「アナタのやろうとしてるのは犯罪だから!」

!?

「自分を助けることを人に強要するのは犯罪だからね!」

 

元々ジェンダー論が関心事のひとつである私は、この界隈のスペースはたまに聴きに入るのですが、スピーカーに上がって発言することはほとんどありません。失礼ながら、あまりレベルの高い話はされていないので。※言っておきますが、↑みたいなヤツはほとんどいませんからね。

しかし、このケースでは女性があまりに可哀想でした。他にスピーカーに上がっている男性も複数いて、どう考えてもコイツ(バカ男)の言ってることに違和感を覚えている感じでしたが、そのあまりに堂々たる、かつ不遜な態度に圧倒されているようで、誰も発言しようとしませんでした。

ということで白馬の王子のごとくしゃしゃり出たのが私。

「まずこの話は、“制度設計とその運用の限界”と”個人レベルの道徳心・ボランティア精神”の話がごっちゃになっているので、話がまとまるはずがありませんね。“人助けをしたくない自由”は認められてしかるべきだし、性被害に遭う女性は助けてほしいと思うのも当然です。このお二人には合致するところがないので、議論になりません」

「次に、バカ男さんは『強要するのは罪』と言いましたが、彼女は『要望』の声を上げているだけでどこにも強要するなんて話は出てませんでしたね。仰る通り、『強要』には強要罪という刑法が適用されますが、『要望』を上げても『要望罪』という罪で捕まることはありません」

バカ男は「むぐぐ……まあ、たしかにその通りですね」と言った感じになり、その後議論を続けるつもりのない私は早々に立ち去りました。

多少端折ってますが、これが1件目の話。

 

「ミソジニー」の烙印を押された私

その翌日だったでしょうか。哲学について学ぶスペースがあって、そこに入って聴いておりました。そしてその時の話題は「ハイデッガーの存在と時間」でした。まあ、超難解な話ですよ。そこでホストを含めて2人のスピーカーが「ムズカシイムズカシイ」とお話をされていました。

ほどなく話は完全な雑談になり、勉強法などの話題に移っていました。そんな雑談が20分ほど続いたでしょうか、いつの間にか聴衆もほとんどいなくなっていました。私もあまり興味はなかったのですが、ワイヤレスヘッドホンで家事をしながら聴いていたもので、聴き続けていました。ほどなく話題は「ビッグデータとは何か」「SNSはどこまで監視されているか」といったことに移っていました。

そのタイミングで家事を終えてようやくパソコンの前に座った私は、ビッグデータとSNSの監視の問題についてなら私でも答えられるのでと思い、スピーカーに上がって簡単な解説をしました。

そしてついでに、家事をしながら気になっていた哲学の話にも少し触れました。

「私は哲学に関して全くの素人でハイデッガーも読んだことがないのですが」と断った上で(本当です。哲学全般について解説書の類は結構読んだのですが、そのものは読んだことがないニワカでした)、

「もしお二人が理論物理学関連の書籍を読まれたことがないのであれば、箸休めと思って読まれるのも良いかもしれません。宇宙論には『時間とは何か』という話が出てきます。例えば、絶対零度という架空の極限低温状態になるとあらゆる物質は動きを止めますが、何物も観測できなくなります。その時、その物質は存在していることになるでしょうか……といった感じにアプローチができるかもしれません。(※細かいツッコミは置いといてください)

さらに、ハイデッガーの哲学では「死」がキーワードになることを踏まえて、

「今の技術の進歩を考えると、人類が不老不死の技術を手に入れるのも時間の問題でしょう。すると、『死』の概念が変わることになります。ハイデッガーを含めて多くの哲学は修正を要するかもしれません」

大事なことなのでもう一度言いますね。これまた端折ってますが、「私はちゃんと哲学を学んだことがなく、ハイデッガーも読んだことがありませんが、もしご参考になれば」とかなり丁寧な断りを告げた上でこの話をしました。

 

しかしですね、ホストのA子さんはこの話を興味深そうに聞いてくれていたのですが、もう一人のB子さんは途中から目を三角にして(もちろん顔は見えませんが)ご機嫌が悪くなっていくのがよく分かりました。

「死ななくなる?そんな時のためにこそ哲学があるんじゃないですか!?」

※↑シャレではなく、死亡フラグです。

「そうですね。でも哲学を考えられるのは一部の人間だけでしょう。死が哲学を生んだの同時に、多くの平均的な人にとっては死があるおかげで哲学を考えることから免れているという側面もあると思います」

「いわゆる哲学を学んでなくても全ての人は、日常生活で哲学は考えています!」

「なるほど。では、人類はいつ哲学を手に入れたのでしょうか。つまり、人類だって元々は獣だったはずで、進化の過程においてどこから『皆が哲学を考える』ようになったのでしょうか」

「そんな獣に『哲学やってますか』なんて聞けないし、答えてもくれないでしょう。意味のない質問です」

ここでソクラテスなら、

「しかしB子、君はさきほど『全ての人間は哲学を考えている』と言ったばかりだ。それは世界中の人々、一人ひとりに聞いたのかね?」

とでも返すかもしれません。

私の返答は決して意地悪でも何でもなく、哲学の討論としては当然の疑義の提示だと思います。B子さんは特に深い考えもなしに、そこらへんに落ちている軽薄な言葉を私にぶつけてきたわけです。

そして面白いのはここから。

私の返答を待たずに、B子さんはこう聞いてきました。

「えっと、コライスさん?は、“マンスプレイニング”って知ってますか?」

 

キターーーーーーッ!!!!

 

コライス……じゃなくて、マンスプレイニング!!

知らない方のために解説。「マンスプレイニング」とは、男性が女性をバカにして知識をひけらかす行為のこと。「どや、女のお前らはこんなこと知らんかったやろ!」と男が女にマウンティングを取ることを言います。

とりあえず時間を稼ぐために「いいえ、知りません」と返答。するとB子さんは「では今調べてみてください」と。

もちろん私はググることもなく、クロック周波数を上げて頭を高速回転させます。

どう対応するのが善であるか?

まさに究極の哲学!!

 

俺はハイデッガーもヤスパールもカントも三島由紀夫も全部読んだ上でさらに宇宙論にも精通している。お前らは「哲学」の範疇でしか考えてないから哲学のことを理解していないのだ。お前らみたいにお勉強ごっこしている文系女子に本当の学問を教えてやるわい!

とでも言ったのならともかく、私は素人であることを断った上で、ご参考になれば、と、我ながらかなりの低姿勢で話したことになお「女性蔑視」の烙印を押されてしまうのであれば、どう言えば良かったのでしょうか?

…とこのまま伝えたところで、彼女が納得する可能性が低いことは、私の経験上よく分かっています。

気の毒なのはホストのA子さん。真面目で向上心と好奇心が強く、礼儀正しい。社交辞令ではなく、ひょっとしたらこの話の続きをしたかったのかもしれない。

しかしA子さんとB子さんは仲がよく、ここで私がB子さんに反論してしまったら……?

 

……と黙っていたらB子さんが続けます。

「タイトルに『ハイデッガー』と入れてあるのに、ハイデッガーを読んだこともない人が……」

ええええーーーーっ!!!

だから最初に「読んだことない」って言ったんです。その時に言ってくれれば良かったのでは!?

それにあなた達、20分に渡って「スタバで勉強している話」とか「SNSって怖いよね」みたいな話してませんでしたっけ!?

 

ということで、「すみません、退出しますね」とそのスペースを後にしました。それが最善だったかどうかは分かりません。

 

 

B子さんに何が起こったのか?

とりあえずB子さんの心理を分析してみましょう。

私の観測では、B子さんは、

●プライドは高いが思慮は浅い

●「自分の経験や想い」が先行するが、近視眼的

●被害者意識が強く、それはジェンダー問題として表出する

という感じの人だと思います。

元々哲学というのは非常に難解で、勉強すればするほど分からなくなってきます。その難しさを気の合う友達と共感し合ってたいたところに、見知らぬおっさんが現れて、自分の知らないキーワードをいくつか出されたところ、頭脳の処理能力を超えてしまい、バグっちゃったわけです。私という闖入者さえいなければ、「純粋に学問に励む自分」という美しい光景にケチが付くこともありませんでした。「社会人になってなお勉強を続ける文化的な私」に悦に入られていたわけです。

ここ、人間の知的生産においては非常に大きなポイントとなるところで、自分が想定していない、あるいは自分の知的レベルを超える知識や知恵と遭遇した場合の振る舞いこそが、その人の人間性なのです。

2ちゃんねるにしろツイッターにしろ、反対の立場の人から自分の想定以上の知恵や知識を見せられて逆ギレしている人など毎日目にします。

ずっと前にこのブログでも書きましたが、そもそも反対の立場でもないのに、物事の説明をしていると「あなたの説明は分からない!」とブチ切れられたことがありました。ま、その時はメンヘラコミュニティーの女性だったので、さもありなんでしたが。こちらは、これでもダメならこの表現にすべきか?と知恵を絞りながら、その人のためだけに大いに時間と手間を費やして書いたのですが、厚意が報われるとは限りません。

B子さんの場合だと、議論の相手である私を「女性差別主義者」という枠にハメて、悪漢をやっつけたことにし、自分の頭の混乱を一時的に抑えたわけです。つまり、私の目に客観性があるという前提においてですが、彼女はミサンドリー(男性嫌悪)に陥っており、それが相手を「ミソジニー」に仕立て上げるという異常行動に至らしめたわけです。

おや……この光景、どこかで見たような…?

ミソジニーとミサンドリーの対立は永遠に続く

というわけで今回は、ミソジニー(女性を嫌悪する男性)野郎を一発殴った後にミサンドリー(男性を嫌悪する女性)に殴られた話をしました。

では私は女性と話すことを嫌になるか?と言うと決してそんなことはありません。何度も書いているように、こんなことはこれまでに幾度となくあったことなのです。男性が女性と話をする時に特有のリスクがあるのは間違いありませんが、相手の性別を問わず、誰かと対話するということは、常に衝突するリスクを孕んでいます。

何より、私は自分で「人をイライラさせるタイプ」であることを自認しています。

例えば今回の件で言えば、哲学の話をしているところに宇宙論の話など持ち出すことはないのですよ。しかし、上っ面の話が大嫌いなのです。私自身、常に新しい知見を他人に求めているし、私が誰かに話す以上はその人の視野のギリギリから語りたいわけです。その際にはひどく感謝されることもあれば、今回のようにえげつない反発を食らうこともありますが、それは仕方ありません。新しい知に触れるということは【刺激】であり、その刺激が心地良いか不快かは受け取り側次第なのです。

 

まとめ

まだまだ書きたいことはあるのですが、すでに200字詰め原稿25枚分を超えた文章量になっているため、少々強引にまとめに入ります。

近年、男女平等が謳われるようになり、その議論も【高度化】してきました。この高度化に【】を付けたのは、それが決して良い方向に向かっているとは限らないという意味です。

例えば私はこのブログで「男女の生得的な差異は何か」みたいなことをいくつか書いていますが、もうこの時点でミソジニー呼ばわりされたりするわけですよ。さらに今回の後者の話では、ジェンダー論とは関係のない脈絡で「マンスプレイニング」だと非難されました。

一方で、前者のバカ男みたいに、モテないせいか何なのか知りませんが、性犯罪に悩む女性をいじめる男性もいます。

さて、巷でたくさん交わされているジェンダー論ですが、これが本来のあるべき姿でしょうか。

バカ男は論外として、実はタチが悪いのは後者。変なジェンダー用語を覚えてそれを論敵にペターン!と貼り付ければ、ハイ私の勝ち。これのタチが悪いのは、「反証可能性がない」という点です。つまり、私がいくら「そんなつもりはない」と主張したところで、大事なのは相手の【お気持ち】ですから、相手がそう思った以上、こちらはマンスプレイニングを趣味にするクソミソジニー野郎なのですよ。

『そこまで言って委員会』を観て下さい。30年前の『TVタックル』だと田嶋陽子が喋ると猛烈な反発もありましたが、いまやみんながニヤニヤと温かい目で見守る空気になっています。そう、「はいはい、フェミニズムえらいえらいww」なんてことになっちゃってるわけですよ。

田嶋陽子みたいな極端なのはあまりいないにしても、同質のフェミニストはまだまだいるんです。

さて、これで本当の女性は幸せになれるでしょうか。

皆さんもいちど考えてみてください。

 

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