なぜ【国民一律】10万円給付に?
国民一律に10万円給付することに決まって、橋下徹氏は「議員と公務員に給付すべきではない」と主張。
そもそもこれは、経済困窮者救済のために、ある基準を満たした世帯だけ30万円を給付するという案が、あまりに雑過ぎ、かつシブチンだったためにボツになり、その代案として決まったものです。
30万円給付案の何がいけなかったかというと、
そもそも設定が難しい「コロナで困っちゃった人」の基準を無理やり設定した結果、困窮してるのにもらえない人と十分金持ってるのにもらえる人なんかが出てきて不公平。
その基準審査のためにかかる時間で支給が物凄く遅くなる。
それでいて実際に給付を受けられるのは全世帯の2割程度。
というもので、特に2番目の「支給が遅くなる」は、スピードが勝負の経済救済においては致命的な欠陥です。
で、あまりに国民からのバッシングが強く、その国民の声に対応する形で公明党がプレッシャーをかけた結果、条件なしで「国民一律10万円給付」となったわけですよ。
橋下徹吠える!
で、国民一律となったらなったで橋下徹には納得がいかない。国政や地方議会の議員および一般の公務員は、コロナによって一銭たりとも給料が減ってないのに、なぜ現金を与える必要があるのか?と。
10万円一律給付金)給料がびた一文減らない国会議員、地方議員、公務員は受け取り禁止!となぜルール化しないのか。その上で、それでも受け取ったら詐欺にあたる、懲戒処分になると宣言すればいいだけなのに、これも各自に任せるといういつもの無責任政治。国会議員でも絶対受け取る奴はいるよ。
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 21, 2020
すると、アンチ橋下なのか、自身や家族が公務員なのかは知りませんが、ピギャーー!!と反発する人達が出てきます。
個人の自由を認めないネオリベって最悪だなぁ。公務員だって国民です。一律給付になったんだからどうされようと自由です。 https://t.co/KuwGedzpvt
— saori kono (@kkksss37) April 22, 2020
さて、このツイートの何がおかしいかお分かりでしょうか。
なぜ「ネオリベ」という単語が出てくるかはさておき、「個人の自由」というキーワード、これ実におかしいですね。なぜなら、橋下氏は、個人の自由を認めるだの認めないだのという話は、(少なくともこの引用ツイートでは)全くしていないからです。
そもそも「個人の自由」は、「公務員を含む国民全員に現金を給付すると決まった後の話」で、橋下氏は「それ以前の話」をしているので、話の筋がめちゃくちゃなのです。
橋下氏の批判は、受け取る側の「個人」ではなく、給付する側である「政府」に向けられているのです。橋下氏は法律家であり、根っからの法治主義者なので、法律が足りなければ法制化し、ルールのないところにはルールを作ればいいじゃないか、という考え方なのです。そして橋下氏は、そういうしかるべきルールを作らない政府を批判しているのですよ。
「公務員だって国民です」?だから何だ?
「公務員だって国民です」と言う意見には、「だから何なんだ?」としか言いようがありません。
そもそも現金給付の趣旨は、新型コロナによる経済的困窮者の救済であって、新コロで困ってない人達を税金で助ける必要などないわけですよ。でも基準が不明瞭で、その審査に時間をかけるくらいなら、全員に配ろうよ、というもの。
しかしながら、「公務員」と言うのは基準が明確で審査が必要ありません。雇用者が国や自治体であれば公務員なのですから、それを除外すれば良いだけのことです。
「公務員だって安い時給で働く非正規職員がいる!」
という意見もありましたが、非正規職員は非公務員扱いしてやればいいだけでしょ!?
人口減少に必死で抗ってる地方の町議や市議なんて、報酬が低すぎて若い人になり手がいなくて困ってるらしいんですが。
— fc3s7 (@sstt6532) April 22, 2020
ドサクサにこんな雑音を入れてくるヤカラもいます。
過疎自治体の議員の報酬が少ない、あるいはなり手がいないという問題は、新型コロナとは全く関係ありません。
安月給が嫌ならならなければ良いし、議員のなり手がいなくて困るのなら、都道府県自治体や国に働きかけて統合するなりなんなり、地方行政改革を進める必要があるわけで、今般の経済救済とは全然違う問題です。
現金給付対象から公務員を排除するとこうなる
ぶっちゃけ、私は公務員に現金給付しようがしまいがどちらでも良い……というか、政府がやることなんだから、公務員を排除なんてしないだろうと思っていたのですが、誰かが流れを作ろうとするなら、つまり橋下徹氏のような影響力のある人がそれを言うなら賛同するという立場なんですよ。
そもそも公務員は、国や自治体に雇われる、絶対に倒産もしないしリストラにも遭わない、それでいて平均月収は民間サラリーマンよりかなり良いという、超勝ち組です。このコロナクライシスでバタバタ店が閉められ、給料が減り、中には自殺を考える人まで多数出てくる状況において、そんな心配を一切しなくて良いのが公務員なのです。
制度を作る国会議員と役人の給料をいったん0円にして、自分たちの生活を守るための制度を作りなさいと言えば、やっと国会議員も役人も血の通った制度を作ってくれるだろう。 https://t.co/xNcmEcxWrU
— 橋下徹 (@hashimoto_lo) April 17, 2020
橋下氏のこのツイートをまるで「議員と役人は無給で働け」と言ってるかのように誤訳するヤカラもいましたが、「一旦ゼロにして、そこからどうやって自分の食い扶持を確保するかを考えないと、民間人の困窮は理解できない」と橋下氏は言っているのですよ。
公務員にあげるそのお金でこんなことができます
その公務員に「ついでだから」であげてしまう金があるなら、その分を本当に困ってる人達に分け与えた方が、端的に「善」というものでしょう。
具体的には、私の計算したところ、国政・地方両方で日本の公務員に10万円ずつ給付すると、その総額はざっと3000億円以上になります。
この3000億円で何ができるかと言うと、例えば、全国の小学生・中学生・高校生【全員に】2万5千円のタブレットを無償支給することができるんですよ。
電波供給とコンテンツ作りなどやることはまだありますが、コロナ禍でにわかに議論されるようになった遠隔教育の下地はこれで揃ってしまうのです。
などと考えると、この公務員への現金給付が妥当かどうかが分かるのではないでしょうか。
これは「公務員叩き」などではない
全く理解できませんが、江川紹子氏が橋下氏の主張に対して「今、公務員のやる気をそいでどうする」と反論しているのだとか。
なるほど、公務員って雇用主の倒産もなければリストラもないのに、生活困窮者への経済補助を自分ももらわないとやる気が出ないということですね。江川紹子氏の言う通りであれば、公務員ってよほどのクズってことですね。
あのね、なぜ公務員が倒産もリストラもないのにその上給料も良いかと言うと、「公僕」だからですよ。
バブルがはじけようがリーマンショックが起ころうが、身分と収入が保証されているということは、世の中に何が起ころうとも公僕として使命を全うしなければいけないという責任を負っているということです。
「最前線で頑張っている公務員」って言いますが、このコロナ禍の中でなお電車通勤しながら働いている民間人はもっといるのですよ!リストラの恐怖に怯えながらです!!
この現金給付、たかだか10万円では全く足りないという人はたくさんいるはず。その一方で、給料が全く減らない公務員にとっては、どういうわけかボーナスの上にボーナスがもらえる「平常時よりも給料が増える」ことになってしまうのですよ。
江川さん、わかる?
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