「バーチャル大阪」について、ほんとごめんなさい、大して何も知らずに書くので相当無責任な内容だと思ってください。
『バーチャル大阪』は、大阪府(と大阪市?)が提供する、今流行っているメタバースです。バーチャル空間で大阪を再現するというものですが、イベント開催時以外大してログインする人がいないというのが現状のようです。
コンセプトが見えない
そもそもの話ですが、このバーチャル大阪で何をしたいのかってのが見えてこないんです。「大阪万博を盛り上げたい」?うーむ、ボンヤリしている。このバーチャル大阪をどのように利用したら万博が盛り上がることに繋がるのでしょうか。
万博を盛り上げたいなら、副次的目的として「観光地大阪」のアピールも当然含まれますよね。ではこれでどうやって大阪をアピールしましょう。
「アピール」するのは行政側の都合。では利用者側としては、どういうインセンティブがあってログインすることになるのでしょうか。
これ、誰か明確に答えられますかね?
「何をしていいか分からない」はNG
初心者でもプレイしやすいロールプレイングゲームを作るべく、堀井雄二がドラゴンクエストを作る際に気を付けたのは「プレイヤーが何をしていいか分からない状態に陥るのだけは回避させる」ことだったと言います。
ゲームが始まれば突然王様に魔物退治を依頼され、小遣い程度の金を渡される。どういう訳か王室には鍵がかかっており、外に出るにも鍵を開けなければならない。兵士の言うまま、城下町で装備を整えて城の外に出ると同じ画面内に町が見えるのでそこへ行く。そこで話を聞くとどうも自分は洞窟へ行かないといけないらしい。
……と、「ついやりたくなってしまうこと」や「必然的にやることになってしまうこと」が実は「やらなければならないこと」なんです。つまり、冒頭、任せるままにやっているだけで次にやるべきことが明確になり、かつプレイを続ける意欲に繋がるというスパイラルができるわけですよ。
天才・宮本茂もスーパーマリオでは最初の30秒でプレイヤーがどういう操作をしなければいけないかを教えるからくりを施しています。
さて、バーチャル大阪。
これね、バーチャル大阪独自の問題というより、そのベースとなってるClusterの問題なのかもしれませんが、インターフェース(案内)が分かりにくいんですよ。どこからが「バーチャル大阪」なのか。バーチャル大阪に入れたとしても、「わぁ!」と最初は言うかもしれませんが、結局ウロウロしてみて終わり。
これ、任天堂が作ってたら「次は〇〇をしてみよう」等とガイドが出てくるわけです。
アバターがダメ
バーチャル大阪へのログインにあたって、自分のアバターを選ぶことになるのですが、これがロボットを含めてたったの4種類。
これ、論外なんですよ。
目的がボンヤリしているメタバースにおいては、まずは何より自分がバーチャル空間にいる実感と喜びがないといけません。そのためには、「アバター作り」は不可欠な要素です。
例えば、20世紀末に発売された家庭用ゲーム機初の本格ネットゲームである『ファンタシースターオンライン(PSO)』においては髪型や輪郭、肌の色に加えて、背の高さと横の大きさ(太さ)を【アナログ的に】調整して作成することができました。これによって唯一無二の自分のキャラクターを作成することができたのです。
それから20年以上経って、ゲームではなくバーチャル空間そのものやコミュニケーションを楽しむことに特化しているはずのバーチャル大阪では4種類から選ぶのみ。空間に入ると自分がたくさんいるのです。これ、ほんとに話にならんのですよ。
見た目、みんな同じキャラなのにわざわざ自撮りスクショしたり、みんな揃って記念撮影しようと思いますか?それ映えますか?今の若者が何をしたいか、ちょっと考えてみてください。
テキストチャット文化の衰退
メタバースがいまいち流行りにくいことのひとつの原因は、テキストチャット文化の衰退にあるのではないかとも思うんですよ。
今、SNSの代表格と言えば言わずと知れたツイッターです。このツイッターは、ほぼチャットとしても使うし、非リアルタイムの交流もできます。で、気づくとですね、私のようなインターネット老人だとその変化はよく分かるんですが、今の人って我々の言う「チャット」をしなくなってるんですよ。この場合の「チャット」と言うのは狭義のそれでして、まさにリアルタイムの会話のごとき速度で【テキスト】のみで交流する方法のことを指します。
私は今、スプラトゥーン以外のオンラインゲームを全くしないので存じ上げないのですが、今現在のオンラインゲーマーたちの交流方法って何なんでしょうね。FFやドラクエ等では当然テキストチャットがベースであろうとは推測できるんですが、仲良くなればその裏で音声チャットやってたりするわけでしょ?
でも我々が若い頃の、音声チャットがなかった時代って、テキストしかなかったわけで、オンラインゲームではキーボード必須、そして誰もが稲妻の速さでタイピングできていたのです。
これ語り出すと結構深い話で、本来なら『エンタメ館』で書くべきことなんでしょうが、脈絡上書いてしまいます。音声チャットの登場は、ネットユーザー、特にゲーマーにとって必ずしも【選択肢が増えた】訳ではないのですよ。テキストにはテキストの良さがあります。その人のパーソナリティがほどよく削ぎ落された通信は、世界観のジャマをしません。これが音声チャットだと、私のような関西弁や九州訛りが飛び交うことになります。性別もばれます。吃音などそもそもリアルタイムの音声会話が苦手って人もいるでしょう。
いや、やっぱりこの辺にしとかないと趣旨がかなりずれますね。
バーチャル大阪のチャットは面白いか?
さて、バーチャル大阪の会話方法に話を戻しましょう。
まず、先ほど紹介した『PSO』の会話を見てください。
YouTubeで確認できたのが英語版しかなかったのですが、PSOにおいてチャットは、チャットログウィンドウ等で読むのではなく、漫画の吹き出し式で、しかも同時に何人もの人が発言すると、その吹き出しが動的にジャマにならないところに移動してくれるという仕組みでした。セガはこのビジュアル的に工夫を施したチャット方式で特許を取っています。
家庭用初のネットゲームにしてこの画期的なチャット方式が使われたものだから、その後に発売されるネットゲームでは会話の面白さが半減するのですよ。
これもインターフェースのひとつですが、こういった工夫がいかに交流を盛り上げるのに大事かという表れかと思います。
と言っても先述したように、これは音声チャットのなかった時代の話。スマホ前提のバーチャル大阪においてはどうすればいいか?
まず、テキストと音声のハイブリッドでなければいけないのは当然でしょうし、現在もそうなっています。テキストチャットについては、PSO方式は使えません。本当ならそれなりのセガに使用料を支払ってでも使ってほしいところですが、商用ゲームですらしていないということは、そもそもセガが契約をしないのでしょう。それならそれで、会話は分かりやすく表示させなければなりません。音声チャットについては、近づけば声が大きくなるという手法は良いと思います。ただ、音声/テキストどちらにしろ、【今誰が喋っているか】がリアルタイムで把握できないと、会話をしている感じが出ないのです。となると、やはりまずはアバターを自由にデザインできるようにし、音声にしろテキストにしろ、その人が喋っている間は体が特定のモーションを取るなり、頭が光るようにするなり、アイコンを出したり等、ビジュアル的に認識できるようにする必要があります。
一旦ここで区切ります。 後編では、メタバースの歴史を振り返りながら、「どうすればバーチャル大阪のアクセス数が増えるか」を考察してみます。
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