の続き。
その後のスペースの議論なども踏まえて、先日の統一地方選挙における維新の圧勝は何を意味するのかについて。
維新勝ち過ぎ問題
「維新が強いのは良いが、ここまで圧勝して行政の長や議席を占有してしまうと、民主主義の観点としてどうなのか」
という観点があります。しかし、何のご心配にも及びません。
政治家の仕事は「日本(地域)に平和と豊かさをもたらすための手段を講じること」です。おそらくこの目的自体はどの政党、どの政治家だって(少なくとも名目上は)同じはずなんです。問題は、その手法にはバリエーションがあって、政党AはAルートを、政党BはBルートを、政党CはCルートを……てな感じで差別化し、それを有権者が選択するというのが民主主義なわけですね。
ところが。
日本の政治の光景を見た場合、例えば国政では安倍および菅政権で顕著でしたが、野党は別に代案など提示しないのですよ。安倍さんが「カラスは黒い」と言えば「いや、カラスは白い!」と言い、「東だ」と言えば「いや、西だ!」と言い、「ミーだ」と言えば「ケイだ!」と言う。要するに、政権とは逆のことを言うのが野党の仕事になってしまっているのです。
本来理想とされるのは、それぞれの政党が議論を通じて政治手法の相互研鑽を進めていくことですが、上記のような野党の在り方だと、「政治をしようとする者」と「政治をさせまいとする者」の対立という構図になってしまうのです。
大阪では政治が生まれた
その構図の極まった光景が大阪にあります。
今日の大阪で維新が無敵になってしまったのは、住民がこの構図に気づいてしまったからに他なりません。大阪と言う都市のために、そしてそこに住む地域住民のために当たり前のことをする。維新がやっていることはこれだけなのです。
それに対して大阪の野党群がやっていることは、「維新で大阪がめちゃくちゃにされた」という妄言を吐き続けることだけでした。昔のアホな政権が(なかば犯罪的手法で)こしらえた借金を短期間で返済し、教育無償化の算段をつけ、公園を綺麗にし、人口転入超過を続け、間もなく地方交付金不交付団体になることがほぼ決まっている大阪が、どういうわけか彼らにかかると「めちゃくちゃ」だそうです。
すでに八方塞がった大阪の野党
さすがに大阪民もこのような妄言を信じるのはかなりの少数で、府知事・市長どころか、議会の議席も減らす一方。全国平均より政治偏差値が結構高くなってしまった大阪民は「野党はそもそも政治をする気がない」ということを見抜いてしまっているのです。
野党はそれが分かってなかったから今回の選挙で大敗したのか……?と言うとそうとも言えません。なぜなら、野党だって本気で政治をしようとしたら、「維新以前の政治はダメでした、インチキでした、二重行政は大問題です、私たち嘘をついてました」と認めてしまわないといけなくなり、そうなると政党そのものの正当性が揺らいでしまうわけですよ。そこまで思い切ったことができるかと言うと、これは相当難しい。なので、大阪にまだわずかに住む、知的レベルの低い層を煽るしかなかったわけです。
そんなわけで、今回の維新の大勝は、「数あるルートのうち、維新が示したルートが最も支持された」のではなく、「維新しか政治をやる気がないことに多くの住民が気付いた」に過ぎないわけです。ということは、維新の大勝=まともな政治を進めるシステムの構築であり、何の問題もないとなります。
維新は帝国化するのか
そしてこれは前回のブログでも書いた通り、一見「維新王国」に見えますが、果たしてそれが問題だろうかと。例えば国政で見れば、随分長いこと自民党の圧倒的多数という状態が続いていますが、それ自体はあまり問題視されません。そして巨大政党になった自民党は、その時々でどうにでも見える玉虫色をしています。党代表たる総裁を選ぶ際は、党内で一般党員を含めた選挙が行われ、テレビで討論会が披露されているという点では十分民主主義的と言って良いでしょう。
維新だって今以上に大きくなるのであれば、自民党のように派閥を作っても良いし、(橋下徹がちょいちょい言ってるように)分裂したって良いでしょう。なんにせよ、それを選択するのは有権者なのです。何より、維新ほど支持者間で活発な討論がされている政党は他にないと思います。そして、一部とはいえ、党の主流とは少し外れたところから独自の主張をする議員さんだっています。どこのやすしとは言いませんが。
ここまでをまとめると、今の維新は「政治家のふりをして政治をしていない連中の駆除」をしている真っ最中だということ。
関西での維新躍進が全国にもたらすものは?
さて、これからの維新はどうなるか(どうあるべきか)という話ですが、これも前回のブログで買い通り、地方では大阪を中心として党勢を拡大していくことになるでしょう。そして大事なことは、国政でも党勢拡大しなければいけないということです。
この「国政での勢力拡大」は、実は維新にとっても日本全体にとっても極めて重要なファクターです。
というのも、国政と地方を見比べてみると、自民党にしろその他の党にしろ、【政党としての同一性】がないのですよ。例えば自民党と立憲民主党、あるいは自民党と共産党は、本来の党是から言えば水と油の関係であり、実際国政を一見しただけだと誰の目にもそう映っているはずです。ところがこれが大阪に来てしまうと、自民も立民も共産もみんな手を組んで維新を攻撃するのですよ。
これが何を意味するかというと、
国政で我々が見せられている政党対立はいわゆる「プロレス」であり、相互依存関係にある
結局政治は、国なら国レベルで、地方には地方レベルの利権の維持と拡大をしているだけ
国と地方の関係から見れば「政党」とはつまりただの「暖簾」のことであり、政治理念などない
ということかと思います。
一旦ここで心の声を漏らして良いでしょうか。書くの疲れてきた………はぁはぁ。では、つづき。
「政党同一性」とは何か?
この点において維新と言う政党は他とは全く違います。なんせ地域政党からスタートして、統治機構改革の手段として国政に進出したという明確な必然性があったわけですから。
これ、言い換えると、橋下徹および維新の登場は我々に、「なぜ日本は国ー都道府県ー市町村という階層で統治されているのか、それは本当に合理的な機構なのか」という問題を意識させてくれたわけですよ。
今となっては懐かしい『維新八策』は、読み返してみるとその具体性を含めてなかなか見事なものです。これ、内容の賛否はともかくとして、社会の教科書に載せて「地方自治は何のためにあるか」を教えても良いのではないでしょうかね。
少なくとも政治に疎い私みたいな人間は、「そもそも地方分権ってな~に?」というアホでして、維新の登場で初めて意識させられたわけですよ。一般大衆だって私と同じようなレベルか、それ以下でしょう。都道府県って何してるの?必要?と聞いて誰が明確に答えられるでしょうか。例えば去年の暮れ、一般人の維新支持者でありながらそこらへんのプロ議員より行政に詳しいツイッタラーさんに教えてもらったところによると、「地方の行政サービスのうち8割は国が法律で決めている」と。だったら、「地方自治」なんて言っても実質分は見かけの予算の2割しかないことになります。もちろんそんなことも知らなかった私は愕然としました。
もう少し具体的な例を挙げて国と地方の役割の話をすると、例えば「教育無償化」なんて課題は本来国でやるべきことです。でも国政では少数派でしかない今の維新にそれは無理。だから地方でできる限りのことをやっているわけです。理想としては、教育に関わる基礎的なコストはすべて国が面倒を見て、地方はオプション的な部分にだけ予算をつけ、他地域と差別化すれば良いわけです。社会保障制度だって国と地方の権能の区別をしっかりつけた上で連携しないといけないでしょう。
「政党」はどう評価すべきか
私は固定的な支持政党を持たず、維新についても「流動的支持」を一貫しています。それは維新の結党以来、基本的な部分において評価が変わっていないからであり、現に維新のおかげで大阪は良くなっていると明言して良いでしょう。
そして、ここで敢えて反感を食らいそうなことを言うなら、維新ともう一つ一貫して支持し続けている政党がNHK党(今の正式名称は知らん)です。当ブログの読者さんなら「知ってるわ!」って話ですけどね。
改めてこの2頭の共通点を語ると、維新(橋下徹)もNHK党(立花孝志)も、『裸の王様』に出てくる子供の役割を演じてくれているわけです。つまり、「言われてみればどう考えてもおかしいのに、それを正しいと思い込んでいた」ことに気づかせてくれたのがこの二者なのです。個人と言う観点から見れば、どちらも怖いもの知らずですしね。本当は間違っているのに皆が当たり前と思い込んでいる事柄には、それに依存している利権の存在があって、彼らに喧嘩を売ることになりますから。
で、「これが本当の当たり前」を提示した上で、是正する手段を講じる。これをやっているのが維新とNHK党なんです。
NHK党のどこが当たり前なんだ!?
という貴方。貴方みたいなバカまでが1票を持っているので、立花孝志はそういうバカに合わせて「政治家」を演じているのですよ。そういう批判をする人に限って立花氏が本気でやっているNHK糾弾YouTubeを観ていなかったりするんです。そこでは倫理面からも法律面からもNHKの問題を指摘し、司法で戦う様子が配信され続けています。それを観た上で批判するならどうぞ、ですが。
まとめ
維新を中心に書いていたはずのこのブログで、なぜわざわざNHK党のようなキワモノ政党を取り上げたかと言うと、NHK党をどう語るかでその人の政治観がある程度わかるベンチマークになるからです。
そもそもその政党の党是は何か。その党是のためにどんな提案をしているか。その政党は国では何をやろうとし、地方では何をやろうとしているのか。
この当たり前の観点から政党を評価してみると、私に未来を見出させてくれるのは、今のところ維新しかないのですよ。
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