大阪都構想における有権者側の2つの対立構造
前回の大阪都構想住民投票(2015年)には、2つの対立構造がありました。すなわち、
老人vs若者
もうひとつが、
男性vs女性
です。
老人は、人生の残りわずかな期間、自分の既得権益を守りつつ逃げ切らなければならない世代ですから、まあしょうがないでしょう。
問題は、男性vs女性の構図です。
出口調査から分かる男女の投票傾向
このサイトに掲載されている年代別・性別出口調査では傾向が明らかです。
男性では70歳未満全てで賛成派が反対派を上回っていて圧勝とも言えます。女性は、20,30,40,60代で賛成派が上回っているものの、男性ほど比率は高くなく、結果としてシルバーパワーの前に跪くことになったわけです。
このデータから読み取られるべきは「女性は大阪都構想に反対」ではありません。70歳未満だと女性側も圧勝とまではいかないものの、賛成派の勝利だったのです。ポイントは、「女性は男性ほど賛成しなかった」という点です。
反都構想側は不安を煽りました。
「大阪がなくなる!」
「保育所がなくなる!」
「文化が破壊される!」
「橋下はヘドロだ」
と。そこに具体的な話はありません。ぼんやりと“怖い何か”を作り上げたのです。
女性脳は男性脳より冒険心が低く、安定志向で、不安症だと言いますが、そういう女性脳の特性が政治・経済についての情報の弱さとも相まって、見事に投票結果に反映された形になりました。反都構想派の目論見通りになったわけです。
「なんとなく怖い」から反対?
当時、それを象徴するシーンをテレビで観ました。
当ブログでは登場回数の高い、読売テレビ『そこまで言って委員会』ですが、前回の大阪都構想住民投票の直前だったか、当時大阪市長だった橋下徹の政治を討論の議題に挙げてパネリストがいろいろと論じたわけです。その日に交わされた言葉はほとんど全てが橋下及び維新の政治を肯定するもので、支持・不支持では一人を除いて全員が橋下支持でした。
そして不支持に回ったたった一人が、山口もえさんでした。辛坊治郎が「これだけの材料があってまだ不支持なのはなぜか」と問うと、
「説明聞くとなるほどと思うけど、橋下さんはなんとなく怖い」
だから不支持なのだと。
私はテレビの前でずっこけてしまいましたが、投票結果を見るにこういう女性は多かったのだと思います。
無知は恐怖や嫌悪を生み出す
政治経済への関心や知識の度合いは、男女で相当な開きがあると思います。そして、恐怖・不安・嫌悪といった感情を生み出す主たる原因は「知らないこと」です。知った上での反対は理性ですが、よく知らなくての反対は、ただの感覚でしかありません。
橋下徹が1日何千字もの政策論をツイートしようとも、それがいかに理に適っていようとも、女性の「なんとなく怖い」には勝てないのが“民主主義”なんです。
そして反対派はこの心理を利用し、「分からないなら反対に票を入れろ」とキャンペーンを張りました。
分からないなら投票すべきではない
私は住民投票を含めて、「とにかく選挙に行け」という世間の風潮には真っ向から反対でして、「分からないヤツは行くな」という立場です。もちろんこれそののもに男女は関係ありません。政治のことを知らない人は、男女問わず政治に参加すべきではないのです。
有権者のうち一定割合の人が「よく分からない」から、候補者はその一定割合の有権者に向けて、アホ向けの選挙運動を展開するわけです。そこにいくらツッコミを入れようとも彼らは無視。これは恥も外聞もないゲスな行為ですが、彼らの支持者が支持してくれる以上、その手法こそが最善策となるわけです。これをポピュリズムと呼びます。
それでも、「自分は政治を分かっている」と思い込んでるヤツや、そもそも目的が「社会のため」じゃなかったりするヤツもいるから、私は何かしらの形で学力を基準にラインをひいて(例えばSPIとか)選挙権には制限を設けるべきだと思ってるんですけどね。
「知らない」「よく分からない」なら勉強しましょう。調べましょう。Google先生はま~大抵のことは答えてくれますよ。投票には責任が伴いますから、自分なりに十分勉強して(その勉強がたとえ的外れなものであっても)、その上で賛成か反対に投票すべきなのです。
分からないのであれば、投票の分母に入らない=分かっている人に委任するということこそが倫理的な選択であって、「分からない」から「現状維持」というのは無責任で最悪の選択です。
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