からの続きです。
大阪都構想住民投票「否決」という大事件
近年日本の政治の絶望を象徴する事件がありました。それは大阪都構想住民投票です。
私のフォロワーさんやこのブログの読者さんには説明など要らないでしょうが、今日初めてこのブログを読んだという方に向けて大阪都構想というものが何なのか簡単に説明します。
日本の行政は、国ー都道府県ー市町村という3段階のヒエラルキー構造を持っています。ただし、一定レベル以上の規模に達した市については都道府県と同等の行政権が与えられます。逆に言えば、都道府県の支配から逃れられることができます。そういう大都市のことを政令指定都市と言います。
これは一見合理的な制度のように思えますが、要するに都道府県の中に違う都道府県が存在するということであり、都道府県全体の都市デザインができなかったり、同じような事業を都道府県と政令市が別々に行う二重行政が発生したり、など結構大きな問題をはらんでいます。
「公的権力に就いた者はことごとく所属する組織を肥大化させることに腐心する」という鉄則を無視して、大阪府市の公務員と議会の議席定数を減らしてきた維新ですが、ついに政令指定都市の解消という抜本的改革、すなわち現大阪市区域を「特別区」(大阪府直轄地)とする行政の合理化を図ったわけです。
これを「大阪都構想」と呼ぶわけですが、もしこれが実現していれば、大阪府と大阪市という別名義で似たような施設を作ったり、行政サービスをしたり、10cmの高さを競って超高層ビルが2本建ったりするようなバカバカしい地域行政から【恒久的に】脱却できていたはずです。
このことは言うまでもなく、大阪府民・市民に多大なメリットこそあっても何のデメリットもなかったはずなのですが、住民投票と言う形でその選択を委ねられた大阪市民は、こともあろうに「否」を突き付けたのです。しかも二度!!
公的権力にある者が、自身の権力を削ぎ落とす選択肢を提示して、税金を払う側である市民がそれを否定する。これはいかに一般国民に政治感覚が欠落しているかを象徴する大事件だと言えます。
国民こそが改革に反対している
つまり何が言いたいかと言うとですな。
「私が投票したところで政治家も官僚もずる賢い連中ばかりで政治は変わらない」
なんて言うカッコつけたニヒリズムなんぞ大嘘で、一般国民こそが政治を理解していないポンコツだということなのです。言い換えると、政治の問題は「支配者(公的権力者)vs被支配者(一般国民)」の対立ではなく、「賢い国民vs愚かな国民」の対立なのですよ。
大阪都構想に際しては、利権側にいる勢力が徹底的に大きな変化に対する恐怖心を煽り倒しました。「大阪市民の税金が大阪市民に使われない!」というだけでも十分無茶苦茶ですが、これもまだマシな方で、中には「大阪市の公園が大阪府に取られる」と某大阪市議の妻と言われる人がわざわざ動画で主張していました。普通に考えれば、公園の所有者名義が変わったところで地域住民には何の関係もないのですが、ヘタレ市民はまんまとその罠にかかって理性を失ってしまったわけです。
「ハンコ廃止」を「改革」と呼ぶ後進国・日本
変化を怖がると言えば、一旦話を国政に向けると、安倍政権というのは史上最長の長期政権となりましたわな。いわゆるアベノミクスのおかげで、新卒求人倍率は跳ね上がり、失業率も限界近くまで下がり、これが称賛されました。私も褒めてあげますよ。
でもね、よく考えてみるとアベノミクスでやったことって、ちょろっと金融緩和しただけですよ?これ、わざわざ固有の呼称を付けるようなことか?と。不景気ならお金を刷って経済回すのは当たり前のことであって、その当たり前のことをやってなぜ褒められるの?そんなことより、タカ派と言われた右翼・安倍さんがあれほどの長期政権に就きながら、結局憲法改正も終戦記念日の靖国参拝もできなかったって事実に絶望しませんか?
その後の菅さんも同様。携帯電話料金の引き下げ、ハンコ廃止、デジタル庁設置、これらの改革は見事だと言えますが、この「見事」はあくまで相対評価であって、未だにこんなことを「改革」と呼ぶのは、先進国で日本くらいのものですよ。つまり、これまたやって当たり前のことであって、その当たり前のことを我々は「改革」と呼ぶよう洗脳されてしまっているのです。前回の記事で書いた、日本の相対的な地位の低下が何よりの傍証でしょう。
日本人に改革は無理
これらのことからどんな真理が見えるかというと、「日本人に改革は無理」ということなのです。なんだかんだで「今まで通り」を選択してきた結果が現在であり、国民こそが「改革を起こさせない負のエネルギー」となっているわけです。
そしてその「今まで通り」こそが極めて危険なトラップでして、彼らの言う「今まで通り」はせいぜい過去数年間の事象しか見ていません。そのスケールを10年、30年、50年と広げていくと、日本がどのように変容してきたかが分かるのですが、人間の記憶力はそうは持ちません。過去数年間だけだとその変化も「ない」と錯覚します。その僅かな期間のサンプルをもって未来も恒常的に存在し続けるはずだと思い込む。ちゃんと数字を見れば、去年よりも今年、今年よりも来年、子供が減り、老人の生活のための社会保障費は膨れ上がっていく。経済力はどんどん低下し、国防も疎かになる。気づけば中国ロシアの艦隊がすぐそこに。そういう現実には目を向けません。これがいわゆる「ゆでガエル」です。
若者は日本を捨てよ
で、私の若者への提案なんですが、日本から出ていく準備をしておくべきだと思うんですよ。
この間ノーベル賞を獲った真鍋博士も日本には帰りたくないって言ってたでしょ?真鍋博士だけではなく、日本出身の高名な学者さんは最近声を揃えて言ってますよね。もう日本からは何も生まれないし、成長もしないということでしょう。オリラジの中田なんて私は大嫌いですが、彼が家族ごとシンガポールに移住したのは賢明な判断かもしれません。賢い人達はとっくに日本を見捨てているのです。
なので若い人たちは外国語+何かしらのスキルを身に付けて、海外で食っていけるようにしておくべきでしょう。日本で働いて終の棲家にするなんて思い込むのは愚かです。本格的に移住するとか帰化するとか、バリエーションはありますが、あなた方の活躍する場は何も日本だけではありません。
それでも日本を変えたい?
それでも日本が好き?日本を変えたい?
そう考えるならデモでも暴動でも起こせばよろしい。でもそんなエネルギーもありませんよね。
だったら、「どうせ変わらない」なんて言う洞穴に逃げ込むようなことはせず、少しでも政治や経済について勉強することでしょう。若い頃に鼻たらして彼女とイチャイチャすることしか考えてなかった私のようなクズ人間がこんなことを言うのは実に心苦しいのですが、今の若者はそれをしなければいけない理由があります。「それもこれもお前らの世代がだらしなかったからだろう!」そう言われると返す言葉もありません。が、時間を巻き戻すことはできません。
本当に日本の未来を創ってくれるのは誰か、あるいはどの政党か。探しても見当たらなければ、自分が立候補して世の中を変えたって良いわけですよ。
以上、加齢臭を放つおっさんが土下座しながらの若者への説教でした。
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