つづき。
このブログ主さんは、「結婚はどうでもいい」としながらも「家族の要望で」結婚したと言います。
そうなんです。「夫婦別姓」を唱える人は、そもそも結婚という制度に疑問を持たなければならないはずなのですよ。
そしてこの人は家族の説得に失敗したわけです。夫婦同一姓にこだわる人が「妄想」に憑りつかれているとしたら、結婚という制度にこだわるこのご家族もまた同じく「妄想」に囚われているのですよ。最愛の家族も説得できずに、ブログで不特定多数に一体何を発信すると言うのでしょうか。
さらに言えば、このブログ主さんも「人名には姓が必要」という既存の常識に囚われているのです。
結婚って何?
ひとまず「結婚とは何か」という話をしますと、起源がよく分からないんですよね。
結婚する側からすると、夫婦相互に貞節が守られるような規律の観念が形成されるというのがあるでしょう。神様の前で誓いを交わしますしね。
権力者から言えば、人口の管理ができ、徴兵や徴税がしやすくなるというメリットが挙げられます。
全体としては、秩序が生まれるでしょう。
じゃあ今日、結婚する意味って何か?って言うと、これと言ってないような気がするんですよ。神様の前で誓いを立て、人を大勢呼んで披露宴を催しても、3組に1組は離婚します。
実質夫婦のままなのに、生活保護を二重取りするために偽装離婚する夫婦だっています。
もし結婚する意味が、会社からの手当てや税制上の扶養控除だというのなら、その制度さえきっちりしていれば結婚なんて必要ないということになりませんか?
このブログ主さんはそこらへんがハッキリしないんです。
家族って何?
さて、「結婚なんて意味ないじゃん!」としてですね、だったら「家族」とは何かという問題が出てきます。
結婚せずとも子供は生まれるし、するとそれはやはり「家族」なわけですよ。
ところが法制度上、扶養とか代理権とか相続とかいろいろと問題が出てくるわけですね。
ブログ主さんは、結婚なんてどうでもいいと言いながら、こういった問題にも言及していない様子。(してたらごめんなさい)
私が夫婦別姓を推進する立場であれば、「そもそも姓をなくす」ことを提案し、さらに「家族登録制」みたいな制度を提唱するでしょうね。この家族登録は「運命共同体」宣言であり、法的に一定の代理権を保証する機能を有します。結婚は家族登録、子供が産まれても家族登録、同性カップルでも家族登録。スッキリですよ。
「夫婦別姓でも家族は円満♪」←誰に聞いたの?
「うちは夫婦別姓だけど家族は円満ですよ♪」ってね、そりゃ本人はそういうでしょうよ。子供にも聞いたって?子供に何が分かるっちゅーんですか。
「俺たち家族は円満だよな!な!絆は強いよな?な!?強いだろ!?」
「う…うん」
「はい、円満です♪」
って感じかもしれませんよね。
この時の子供がどう思ってるかなんて結構どうでも良いことなんですよ。なぜなら子供はその家庭しか知らないため、よその家と比べるということができないからです。
それに夫婦別姓によって家族の絆がどうなんてことは、私もあまり関係ないと思います。
少なくともこの手の人達は物凄く「意識が高い」ので、絆が強く見えるということはあり得ます。宗教だって少数カルトになるほど信者同士の絆は強くなりますからね。
問題は、それが自然な形として受け入れられるかどうか。
例えばね、
夫婦別姓にしたとしますわな。
子供がどちらかの姓を受け継いだとしますわな。
その夫婦が離婚したとしますわな。
姓を受け継いだ方じゃない方の親が親権を得たとしますわな。
子供の姓が変わっちゃいますわな。
ほら、子供のことを考えないからこんな問題が残るんです。ってことはやっぱり、「夫婦別姓」なんて寝言を言うくらいなら「姓をなくすべき」と提唱すべきなんですよ。
それでも「姓の廃止」に賛成しない理由
以上は、あくまで「夫婦別姓を唱えるくらいならここまで言え」ということであって、私が「姓の廃止」を提案しているわけではありません。私自身は現行制度のままで良いと思ってます。
なぜなら。
姓を廃止したところで、前名+後名という形にするなら、結局は「前名」が姓の一部の機能(つまり、個人識別のための名前として)を受け継ぐことになります。
現在、名だけでもDQNネーム、キラキラネームを付けるバカ親がたくさんいて、日本語文化が破壊されているのに、名字まで自由につけられるようになったら……?
子供に「心愛(ここあ)」と名付けるような親がどんな名字を考えるか……想像すらしたくありませんよ。
「美瑠久心愛」とか…あ、想像しちゃった。
子供のことを考えない制度改革
・「ファミリーネーム」でない姓を認めれば、姓の定義そのものが変わってしまう。
・夫婦別姓にしたって子供にはどちらかの姓が受け継がれる。たとえ夫婦合意の上だとしても不公平は残る。
・親が好きな姓を名乗る権利を主張しつつ、子には自由がない。離婚すれば強制的に姓も変えられる。
まとめるとこんな感じです。特に私の視点は常に子供にありますから、3つ目は非常に大事なポイントです。
本来、夫婦統一姓の問題点は、
・職場などパブリックな場での不便・混乱
・役所などの手続きが煩雑
という2点で、これは現行制度の基本形は残したままいくらでも改善できるんですよ。
くどく言いますが、特に旧姓使用の禁止はマジで女性差別なので、職場は無条件に旧姓使用を認めるべきだし、手続きだっていくらでも簡略化できる話。
行政や企業がこれを改善しないのは、改善したところで直接的なメリットがないからです。これについては国民が声を上げて政治家に圧力をかけるべきでしょう。
このブログ主さん、「ジェンダーにはうるさい」「物事を丁寧に分かりやすく伝える」と自己評価していますが、「物事を根本から考える」ということは苦手なんじゃないでしょうか。
「男は青、女は赤は差別だー!」??
例えばこの他に、「男の子は青、女の子は赤、と性別によって色が決まってるのは差別だ」と主張されています。これについては長くなるので、別投稿にまとめました。
ま、言いたいことは、「この人の目的って何だろうか?」ってことです。
この活動は本来手段であるはずなのに、活動そのものが目的になり、この人のアイデンティティーを形成してるんじゃないの?と。
いっそ「二重姓制度」はどうだい?
夫婦別姓を希望する人の中には「自分の生まれつきの姓にアイデンティティーを持っているから」という理由があるからかもしれません。だったら、二重姓制度なんてのも候補に上げるべきじゃないかと思うんです。複合姓ではなく、二重姓です。
統一する方の姓を「第一姓」、そうでない方を「第二姓」とでもします。
例えば、三浦友和と山口百恵が結婚したら、百恵ちゃんの方は、第一姓が「三浦」、第二姓が「山口」となり、
三浦 山口 百恵
という名前になります。早い話、ミドルネームですね。で、公的には「三浦」「山口」どちらでも好きな姓を名乗って良いことにする。
子供にはこの両姓ごと受け継がせて、成人とか結婚して新しい戸籍を作る時とかの節目でどちらかを選択できるようにする。
国際結婚における複合姓もこの制度に統一すればスッキリしますよ。
あ、くどく申し上げますが、それでも私は現行制度堅持派ですからね。やるならこれくらいのことは提案しろよ!ちょっとは物事を深く考えたらどうだ?という問題提起に過ぎません。
でもこの二重姓案は、現行制度の上位互換的に使える上に夫婦別姓派も納得しやすく、かつ子供への負担もかなり軽減される、我ながらなかなかの妙案だと思うんですが、欠点があればご指摘頂けると幸いです。
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