素人が専門家にケチつけるなってか?
ある医師の方が「感染症の素人が日本有数の専門家である尾身先生にケチ付けるのは、将棋で羽生善治氏や藤井聡太氏の指し手にケチ付けるのと同じ。専門家は何手も先のことを考えている。」という趣旨の秀逸な例えをしていて、まさにダニング=クルーガー効果だなと思った。私も気を付けよう… pic.twitter.com/G7PTB3x3Iy
— おもち@政治と珈琲は無糖派 (@ex_kanryo_mochi) January 22, 2021
これ、結構恐ろしいこと言ってるんですよ。
素人のクセにケチつけんじゃねーよ
と。
このブログでも昔ちらっと書きましたが、私はバセドウ病を患った際、「センモンカ」であるはずの大学病院の大先生に何ヵ月もの間、誤診を続けられ、自分で疑問視して病院を変えずにいたら、マジで今頃どうなっていたか分かりませんでした。
コロナに関して言えば、その専門家の中でも意見が割れてるのに、一体誰を信用すれば良いんでしょうか。役職のランキング?あるいは年収でしょうか?
ダニング=クルーガー効果とは
「ダニング=クルーガー効果」と言うのは、よく知らないヤツが、知らないが故に、身の丈に合わない自信を持っちゃって、いろいろやらかしちゃうことです。自分の実力が全体からどのくらいの位置にあるかを客観視できていない状態ですね。
で、冒頭のツイートの言うこともたしかにあるんですよ。ほんの一部を知っただけでそれが世界の全てであるかのように勘違いして、物凄く高いところから物を言っちゃうヤツって、いくらでもいるんです。
ただし、当該ツイートに大きな問題があるのは「日本有数の専門家である」という修飾部で、これつまり、「権威は無条件に無限大の説得力を持つ」というとんでもないことを言ってるんですよ。一旦権威を持った者については何人も否定してはいけない、と。
じゃあ素人は何も言えないの?
ほんじゃ例えば、日本医師会の会長が「GoToトラベルが感染者を増やしたのは間違いない。エビデンスはないけどね~~♪」などとほざいたことに対して、素人が「なんやそれ!」と突っ込んだら、それは「ダニング=クルーガー効果」なのでしょうか?
もちろんそんなことはありません。エビデンスがないことについて断定してしまうのは、もはや科学でも何でもなく論外のお話なのですよ。
これほど極端でおバカな例は例外としても、では我々素人は「センモンカ」さんの言うことを疑ったり審査したりできないんでしょうか?いえいえ、そんなことはありません。その人が正しいことを言っているかどうかの評価は、かなりのレベルまで可能なんですよ。
待ってました、西浦大先生!
新型コロナ「第1波」が収まりつつある中、マスコミでは「コロナの後遺症」がやたらとフィーチャーされたことを憶えているでしょうか。もう感染者数で恐怖を煽るのは無理がある、違うネタを!と捻り出された策でした。
さて、第3波が急速に収まろうとしている現在、我らが西浦大先生が期待に応えてくれました。
「GoToトラベルで旅行関連の感染者増加か。西浦教授ら京大グループが発表【新型コロナ】」
この見出しを見れば、「やはりGoToトラベルで感染者は増えたのだな」と思いませんか?
しかしよく読んでみると「この統計からは何とも言えない」と言いながら「GoToトラベル開始初期の段階では、旅行、特に観光に関連した感染者の増加をもたらした」とよく分からないことを言っています。どっちやねんと。この手の表現は医療業界のスタンダードなのでしょうね。「エビデンスはないけど間違いない」。
で、具体的に何が書いているかと言うと、GoToトラベルキャンぺーンが始まる前と始まった後、同じ曜日の5日間を調べたら始まった後の方が増えてますよ、というもの。
知ってましたから、そんなの!!!
東洋経済オンラインから拝借したグラフですが、ご覧ください。
ピンクの矢印がGoToトラベルが始まった日。その日の前後で感染者率が違う、とのことですが、そりゃ当たり前ですよ、感染者が増え始めてからキャンペーンが始まったんだから。オレンジ色の移動平均線を見れば、キャンペーンが始まるずっと前から感染者数はじわりじわりと増えているのが分かります。
「GoToトラベルが感染者数を増加させた」と結論づけたいのなら、この移動平均線がGoToトラベルキャンペーン開始を境に【角度を変えていないといけない】のです。ところがグラフを見てもその確度は全く変わってない。それどころか、本格的にキャンペーン利用者が増え始めた8月に入ると完全に減少トレンドに入っています。
これ、ちょっと頭の良い小学生なら分かるトリックが使われているのですが、皆さんお気づきになったでしょうか。
例えば、「時速20kmで1時間走ったら20km進んだ。さらに1時間走ったら40kmになった」当たり前ですね。これによって増加したのは「走行距離」です。【速さ】は全く変わってなくても「走行距離」は増え続けます。コロナの感染者数とGoToトラベルキャンペーンの関係においては、【速さ】=増加率こそが問題なのですが、西浦氏はそこではなく「感染者率」という数字を取り上げて、「ほら、増えたでしょ」とやってるわけですよ。キャンペーンを起点に速さが時速20kmから時速30kmに変化したのなら、そこで初めて「GoToトラベルキャンペーンが感染者を増やした」と言えるのですが、【速さ】は全く変わっていないどころか、低くなっているのです。
こんなことはわざわざ大仰な論文で書くようなことではないのですが、第3波が収まりつつある中でわざわざ古い話を持ち出すあたり、どういう目論見があるのか推して知るべし、ですね。
ちなみに、この論文へのツッコミは飯田康之氏が学術的に解説してくれていますので、ご興味のある方はどうぞ。
老人のワクチン接種でさらにパニックが…!?
西浦氏のような恐怖心撒き散らし族の真逆にいるのが辛坊治郎氏。
辛坊さんは東スポwebでこのような懸念を表明しています。
引用させて頂きます。
辛坊氏はそもそも1年で137万人が〝自然死〟しており「その大半が高齢者」と指摘。そのため「3千数百万人に一斉にワクチンを打ったときに、直後に体調を崩された方はワクチンで崩されたのか、高齢によるもともとの病気で崩されたのか、見極めがものすごく難しい」と語った。
ですよねーとしか言いようがありません。
ノルウェーではファイザー製コロナワクチン接種後に老人が29人死んでいるという報道がありましたが、その29人は何歳で、どんなタイミングで、どんな症状で死んだのかという情報がありません。この記事だけ見ると、「ワクチンで死んだ」という印象を与えてしまいますが、重要な情報が全くないのですよ。
で、日本でも同じく、ワクチン接種後に高齢者が死亡する例をもってマスコミが「ワクチンで死ぬぞー!!」とやり始める可能性は大いにあるわけで、辛坊氏はそれを懸念されているわけですよ。
そういうアホ報道を信じる人たちの目には、この辛坊さんの記事はどう映っているんでしょうか。読まないんですかね?
まとめ
ということで皆さん、権威の食い物になっちゃダメですよ。自分の頭で考えてください。
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