判子は「無駄業務」の象徴に過ぎない。

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ハンコつくためだけに出社?

目下、絶賛アレコレ改革中の菅内閣ですが、そのうちの一つが、河野行革大臣による「判子なくすぜ」運動です。

私も大賛成。ID認証としての押印なら母印が最も間違いないし、判子であればせめて実印でしょう。100円ショップで買える判子に一体何の意味があると言うのか、さっぱり分からんのですよ。

この判子廃止の動きについては言いたいことが2つありまして、一つは「業務の合理化を進めるのはなぜ難しいのか」という話、もう一つは「押印と言う慣習によって結婚は重厚なものになるか」です。

ここでは先に合理化のお話から。

今回の判子廃止改革によって「非合理的な慣習」として「判子つくためだけに出社する」という行為がよく挙げられます。実に馬鹿馬鹿しい行為ですね。こういう慣習があるかないかどっちが得かなんて考えるまでもありません。

ではなんでこんな慣習がずっと残っているのでしょうか。もしこういう改革がなくなったら社会はどうなるでしょうか。

1人当たりのGDPが低い日本

近年、世界GDPにおける日本のシェアが大幅に低下していることが取り沙汰されることがよくあります。GDPとはその国の生産量であり、簡単に言えばその国の経済規模を示します。

1945年に戦争でボッコボコにやられて焼け野原となった日本は、すっからかんの状態からとてつもない勢いで経済成長し、四半世紀後の1970年には5.8%を達成しています。人口シェアが1.5%かそこらの日本が、世界で動く金のうち5.8%を担っていたわけです。

自動車販売台数で世界1位となった1985年には、10.2%。ドイツ(当時は西ドイツ)を圧倒してアメリカに次ぐ世界2位の経済大国でした。

さらにバブル全盛期の1995年にはなんと17.5%。人口が日本の2倍程度のアメリカが24.5%だったことを考えると、1人当たりのGDPにおいては主要先進国の中でも他を圧倒していたことになります。

そしてバブル崩壊後、日本はボロボロになりました。

成熟しきった経済大国がその後【相対的に】地位を落としていくのは当たり前のことなんです。発展途上国がかつての日本のように、キャッチアップ型(先進国の支援や投資集めながら安い労働力を生かして生産をする)の経済成長で先進国を追い上げるのは簡単なことですから。

しかし、日本は相対的に落ちているだけではなく、世界平均ほどの成長もしていないのです。

アメリカがなお世界1/4のシェアを占めて世界トップの経済大国という地位を維持しているのは、ちゃんと経済成長してきたからに他ならないのですが、日本はそうではありませんでした。

このことについてはいろいろと勘案すべきことがあるのですが、日本が経済成長できずにいる大きな原因のひとつに「1人当たりのGDPがすっごく低い」ということがよく言われます。

このサイトによると2019年の日本の1人当たりGDPは世界で25位。7位のアメリカと比較すると、日本人1人が稼ぐ金は2/3にも満たないのです。

 

人口減少傾向に入った日本にとって1人当たりのGDPは切実な問題

かつてのように産めよ増やせよで急速な人口増加傾向にある時期であれば、1人あたりのGDPなんてさほど気にすることはありません。人口が増えればGDPが増えて当たり前ですから。日本のかつての人類史上稀に見る急速な経済成長は日本人の勤勉であるという特性という要因ももちろんありますが、何より人口増加という側面が大きかったのです。しかし、今の日本のように人口減少傾向に入り、かつ人口が再び増加する見通しが絶望的という状況において、GDPを増やしていくというのは、「1人当たりのGDPを増やしていく」しかありません。

1人当たりのGDPを増やすためには、業務の合理化という改革が必須なのですが、日本人はま~~これができないのですよ。「勤労」に価値を置く日本人は、家庭を顧みずに仕事仕事仕事。休まずに会社に行く。いくらでも残業する。それが日本人にとっての当然の義務であり、喜びでした。その民族性が大きな経済成長を実現したのは事実です。

しかし、その「勤勉さ」という日本人の持つ大きな武器は、ここへ来てものすごく大きな足枷となっています。なんせ、判子ひとつつくために出社することが「勤勉さ」だと思っているわけですから。世界のどこへ行っても似たような慣習があった時代なら日本人は有利でした。しかし、今そんなことをやっているのは日本人くらいのもの。その自宅と会社の往復の時間を全くの無駄にしてしまっているのです。その時間で映画でも観に行けばまだ経済も動きますが、判子つくだけですからどうしようもありません。

 

判子だけじゃない!業務合理化の難しさ

面倒くさい、時間がかかる、あえてそのようなことをやることを「労働」と規定し、美徳だと思っている日本人にとって、判子を取り上げられるのは大きな苦痛です。

え?今時そんな風に思ってる日本人などほとんどいない?

……って思ってるでしょ?ところがどっこい、そう言ってる貴方も実は「判子依存」している一人である可能性は大いにあるのです。判子はひとつの象徴であって、判子なんぞ要らないと言っている人であっても別の何かで「無駄な作業」が当たり前だと思っているかもしれないのです。

 

この話は当ブログでもした覚えがあるのですが、私が社会人3年目だったかの若造だった頃に派遣社員として所属した会社は、コンピュータ関係であり、私は主に顧客サポートをしていました。毎日毎日、PCをセットアップしては顧客に使い方を教え、会社に帰れば設置後サポートの電話対応に追われていました。そんなスタッフが何人もいたのです。で、数週間働いてみて私が気づいたのは、「これ全部コピペじゃん」ということでした。毎日毎日、お客さんは違うけど電話で言うことは同じ。さらに操作手順を紙に書いてファックスしたりします。

いやいや係長、と。これだけ毎日毎日定型的なサポートをやってるんだったら、当社独自のマニュアル作りましょうよ。同じ客に30分とかヘタすりゃ1時間もつきっきりになって「アレやってください。それがダメならコレやってください」と指示を送り続ける。こんなバカバカしいことはないでしょう。しまいにはファックス送ったりして。だったらそのファックスの内容、予め印刷して設置の時に置いてくりゃ良いじゃないですか。「え?ネットが繋がらない?じゃあマニュアルの5番、それでダメなら8番試してください。それでもダメなら改めてご連絡頂けますか?」とやれば、人手なんて半分で済みますよ、と。

……という提言をしたら、「小ライスくん、是非そのマニュアルを作ってくれ」と結局私の仕事になりましたけどね。

でも普通、被雇用者側(しかも入ってすぐの若造)はこういうこと言わないんですよ。被雇用者は自分の雇用状態を維持するのが得ですからね。業務合理化されて人手が余ったら、長期的には自分の立場も危うくなりますからね。

じゃあ上司は?と言うと、失礼ながらその時の上司はポンコツでした。でも、「こうすれば?」と言う若造の提言を素直に聞き入れるという点においては優れていたのかもしれません。なんせ、日本人は「こうすると決まってる」という慣習化した行動を変えたくない民族なのですから。

 

また別の例。と言ってもこれまた過去に何度か書いたお話です。

ある習い事の保護者会連絡でLINEを利用。ひとつの連絡がある度に、「了解ました!」スタンプがずらずら~っと並ぶ。その量、面積比でオリジナルの連絡事項の15倍。「これでは肝心のメッセージを確認するのに不便だからスタンプはやめませんか?LINEのノート機能であれば履歴も残るし、イイネで回覧板にもなりますから」と提言するも、見事に無視されました。その時、レギュラー会員は私を除いて全て女性です。女性は感覚の生き物ですから、LINEで連絡を見たら「了解しました!」スタンプを押すというのは思考回路ではなく感覚回路に焼き付けられた方程式です。私はいじめを受けていたわけでもなければ、なおざりにされていたわけでもありません。でも一度ついた習慣は簡単には修正できないのですよ。

 

判子はあくまで象徴

無駄、特に行政における無駄なんて、チェックしていったらきりがないんですよ。

例えば最近では、コロナ感染者数のやり取りに、病院間や病院と厚労省の間ではファックスが使われていたことはご周知の通り。このファックスはよほど信奉者が多いのか、裁判所ではなお現役です。それに引きずられてかどうか知りませんが、弁護士に連絡先を聞いても固定電話とファックスがデフォルトで、わざわざ「メアド教えてください」と言わないと教えてくれなかったりします。紙紙紙……そんなに資源と時間を無駄遣いしたいのか?と。

うちには子供がいるので3か月ごとに子供手当てが支給されますが、このために行政は事務局作ってるわけですよ。いやいや、3か月ごとなんて要らんから、確定申告の時に一元処理(控除額を100万円とかに)して無駄な事務局廃止してくださいよ。するとコストは大幅に削減されるんだから、その分を支給額に上乗せしてくれりゃ良いんです。でも役所は入れたり出したりが好きですからね、そんな合理化はまーやってくれませんよ。

何が言いたいかと言うと、もう一度言いますが、判子ってのはあくまで象徴に過ぎなくて、「単に今までそうだったから」と言う慣習と、「行政機関が予算をいっぱいもらうためにいたずらに事業規模を大きくしている」と言う利権の問題があるわけですよ。

さすがの河野さんも子供手当ての合理化までは手を付けられないと思いますが、今回の判子廃止が大きな一歩であることは間違いありません。

 
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