つい先日、川崎市の小学校で、午前中の体育中に児童がバタバタと倒れて熱中症で救急搬送ってなことが起きたばかりで、今度は都内ですって。
川崎市の時の私のツイート。
学校は慢性的に職員(あるいは運営者)の想像力が低い。「これをやったらどうなるか」を全く考えないから、子供を炎天下で走らせたり、危ない組体操をやらせたりなど平気でできる。
— 小ライス (@shorice_hitotsu) August 26, 2020
これを書いたら、多くの方には賛同頂いたようですが、現役あるいは元教員あるいはその関係者と思われる人から、
「平職員にカリキュラムを変える権限はない。想像力がないのはどっちだ」
とご批判が。
さらにその批判に賛同する人が、こういった親目線の懸念を「モンスターペアレント」呼ばわりと好き放題です。
そもそも私の元のツイートの主語は「職員(あるいは運営者)」としていて、要するに教育に携わる人全てなのですよ。もちろん、その中でも現場の児童を知っているのは現場職員だけですから、最重要責任者であるのは間違いありません。が、今回の事故に携わった現場教員を殊更責めようなんて気はさらさらないのです。
問題は、公立学校が完全に「お役所仕事」になっており、以下に書くように教員にも役人根性が染みついてしまっているということなのです。
教員は子供の命より上司の命令を優先するのか?
平教員ではカリキュラムを変えられない?
上には逆らえない?
それが分からないのは想像力の欠如だ?
何言っとるんですか。
私だって長年社会人をやって、雇われる側も雇う側も経験しており、組織がどういうものかとか、被雇用者の切なさなんてものは重々承知しておりますよ。
しかし、「だから予定通り体育はやる」という論理は、
「子供たちが熱中症で倒れるかもしれない、場合によっちゃ重症あるいは死亡なんてことになるかもしれないが、ルールで決められたことで、我々に権限はないから、予定通り授業は行う。そして子供たちが倒れるのを待つ」
と言ってるのと同じなんです。これでもし後遺症が残るレベルだったり死亡したりしたら?「未必の故意」…ではないにしても、業務上過失傷害(致死)でしょう。
権限がどーこー言う前に、基本的な倫理観の問題なのですよ。
お役所仕事を非難せよ
それでも現場教員に権限がないということであれば、それを懸念する保護者をモンスター呼ばわりする前に、運営者たる校長、自治体(市)職員、教育委員会を糾弾するべきであり、一般人には「教育行政の仕組みはどうしようもないので、皆さん声を上げて!若い人は教員になろうとしないで!」と啓蒙すべきなのです。
お役人という仕事の性質は、放っておくとその責任所在をすぐフワフワ~と煙のように、見えてるのか見えてないのか分からない状態にして、誰も責任を取ろうとしないものです。
こういった非人道的な行為が行われる場が「教育」?とんでもない話でしょう。
午前の暑さを舐めてはいかん
ここで一般論として熱中症の怖さをちょっと解説します。
1日のうち、最も気温が高いのは午後1時前後というのは小学校で習った通りで、皆さんご存じのはず。
ということは、熱中症の危険性が最も高いのが午後1時前後であり、その時間から遠ざかるほど安全になるということですね………いやいや、違います。(大事なことなので断っておきますが、これから私が言うことは客観データがあってのものではありません)
午後1時前後に最も高くなるのは、あくまで「気温」です。これは太陽が南中するのがそのちょっと手前で、南中した太陽光線は地べたの照射面積あたりの熱量が高くなり、そのちょっと後に気温のピークが来るというわけです。
しかしながら、太陽が高い位置にあるということは、垂直に立つ人間からすると、太陽光線の照射量は小さくなるんです。頭頂部だけは焼けるように熱くなりますが、それ以外の体の部位は太陽光によって直接温められるのではなく、空気によって間接的に温められることになります。
それに対し、午前10時頃とか午後2時頃と言った時間帯は、太陽が少し傾いてますから、体の側面がもろに直射日光によって温められることになります。
空気によって温められるか、日光によって温められるかという質の違いに注視すべきで、気温だけを見ていても熱中症対策にはならないのですよ。
私もついこの間、お盆の最中に墓掃除に行きましたが、その時間は午後2時半ごろ。背中に当たる直射日光はまさに「刺す」感じで、シャツの上から肌がジリジリ焼かれる感覚でした。陽の傾きから日傘はだんだん役に立たなくなり、私は大丈夫でも子供たちが危なかったので、墓掃除は早々に切り上げて退散。
9月に入ったとは言え、その暑さはまだまだ殺人的で、子供たちに日向で体育の授業を受けさせるべきものではありません。
「午前なら大丈夫」は大きな油断
同じ太陽の傾きでも、比較的気温の低い午前なら大丈夫でしょ…てな感覚でいると今般のような事故に繋がります。
というのも、児童の中には朝食を食べていない、あるいは足りていないなんて子が結構いることが予想されるからです。
すでに皆さんよくご存じのように、体にたまった熱は発汗によって外に出すわけですが、塩分をはじめとするミネラル分が不足していると、そもそも水分が吸収されにくく、汗の材料である水をいくら飲んでも汗にならない状態に陥るのです。
これが午後なら、バランスの取れた給食によって十分なミネラル補給ができているからまだ良いのですが、もし朝ご飯を食べてない子、あるいは寝坊して牛乳1杯だけ飲んできたなんて子が、体育で大量に発汗したら?そりゃ熱中症にもなりますね。
どうしても屋外で体育をやりたいなら
どうしても屋外の体育をやりたいなら、以下の対策を採るべきです。
・グラウンドに打ち水をする
・授業前に塩分と水分を補給させる
・校庭の隅にウォータークーラーを設置して15分毎に吸水休憩を取らせる
・ミストクーラーを設置する
・大型扇風機を使う
・イベント用のテントを設置し、できるだけ日陰にいさせる
しかし、そもそもそこまでして体育ってさせる必要ありますかね?いや、大事な教科ではありますよ。でも命を懸けてやるようなことではありませんし、真夏にやりたいのであれば体育館で良いでしょう。
「体育館でも熱中症にはなる」
って人もいましたが、たいてい扇風機なんて使ってないですよね?でっかい扇風機を複数台回してたら汗は速やかに蒸発していきますし、何より直射日光の地獄からは解放されるんですから、「苦痛」ではあっても「危険」は大幅に減少します。
さらに言えば、一定期間は体育なしでも良いでしょう。その分のカリキュラム調整は秋以降に回せば良いだけです。
「そう決まっているから」という教育はク〇だ
話を戻しますが、何にせよ公立学校は、教育がお役所仕事になっていて、当事者意識を持っていないことが大きな問題です。
かつて当ブログでは、
小学生の重すぎる荷物の問題や、
子供に携帯電話を持たすために校長面談をして失礼なことを言われた話などを取り上げてきましたが、その根本は全て同じで、
「今までそうしてきたから」
「そう決まっているから」
「皆そうしているから」
という組織の論理、ムラ社会の論理で動いており、合理的な判断については思考停止してしまっていることです。
重いランドセル問題については、「我々が問題視し続けたおかげで改善されつつある」と日本共産党が鼻を膨らませていましたが、本当なら議員に言われなくても現場教員が問題提起し、速やかに教育委員会で対策を採るべきでしょ?
マジでお前ら何やってんの?って話ですよ。
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