オンライン教育についてのアンケートが届いたが…
先日、うちのセガレの中学校からメールで「オンライン教育についてのアンケート」が届きました。
タブレットは持ってるかとか、Wi-Fiあるかとか、いざオンライン教育を実施したとして何か心配なことはあるかとか、そういうやつです。
今聞いてきたところで、実施するのはいつになるやら。
だってですね、1人1台スマホを持つこの時代に、学校を休ませる連絡は「連絡帳に書いて同級生に渡す」と言う方法がいまだにスタンダードなんですよ?うちの校区の小学校では電話連絡OKでしたが、電話による連絡は原則NGという学校がまだまだあるのです。
言い訳としては、「皆が一斉に電話をかけてきたら回線が間に合わないし、先生の時間も取られる」なんてことらしいですが、一体どれほどの人数の児童が一度に休むというのでしょうか。
言うまでもなく、こんなのは建前でしかなく、要するに学校はナンセンスなまでに保守的なのですよ。
携帯電話ひとつ持たせるのに校長面接?
かつてこんな記事を書いたこともあります。
要旨:
1学期の始まりに学校から配られたプリントに「携帯電話を持たせる場合は学校に知らせてくれ」と書いてあったから、こちらは馬鹿正直にそれを電話で申告したら、わざわざ校長が面談するから保護者が学校まで出向けと。
いざ、校長と喋ってみたら「基本的に携帯電話の所持は禁止だ」と。(ん?じゃあなんでわざわざプリントに書いていたの?)
その後も、「携帯電話なんぞロクなもんじゃない。あんなものは子供をダメにする」とかなんとか。
うち以外の子供は、申告もせずに携帯電話をランドセルに忍ばせて、通学路上で電話してたりするんだけど、それは見て見ぬふり、あるいは観察力不足なんです。
携帯電話がいじめの温床になるという懸念から禁止にするのは、百歩譲ってまだ理解できるとしても、今どれほどの児童が携帯電話を持っているかを現場の教育者も把握していない(しようとしない)のだから、そりゃいじめなんてなくならないでしょ。「遊びだと思っていた」「いじめなんてないと思っていた」で済むんだから。
そんな学校ですから、オンライン教育なんて夢のまた夢です。
いや、「でした」というべきでしょうか。アンケートを採るということは、一応は動き始めているということですから。
逆に言うと、今般のコロナ危機のような大厄災でも起きない限り、動かないのが学校教育なんですよ。
実際にオンライン授業をするとしてだな…
オンライン教育における障害の第一として予算が挙げられますが、これは以前の記事で書いたように何の問題もありません。公務員に10万円給付できるほどの金があれば、その金で小中高生全員に2万5千円クラスのタブレットを無償支給することができるんです。
2回目の10万円給付があるとしたら、さらに3000億円以上の予算になりますから、「公務員にあげたつもり」で通信費に充てれば良いんです。実際には7割以上の家庭で無線インターネット環境はあるでしょうから、ケアするのは残りの3割で良い。自前で環境が用意できる家庭は500円のキャッシュバックかなんかで手当てしましょう。
あるいは、これを機に「教育専用回線」を張り巡らせ(実際は、通信業者に特別枠を作らせるってことになるんでしょうが)て、専用IDを給付するってやり方もアリでしょう。
しかしですね、オンライン教育の問題点は、こういうハードのインフラ面ではないと思うんですよね。こういうのはやろうと思えばできる。
本当の問題点は、オンライン教育を実施するとして、「じゃあ学校はいつ行くの?」「本当に子供がオンラインで真面目に勉強する?」ってことじゃないですか?
この辺、私自身にも正解がよく分からないのです。
なんでわざわざクソ高いコーヒーを頼んでまで、スタバで勉強したりノートPC叩いたりしなくてはいけないのでしょうか。それは、そこが集中できる環境だからでしょう。その気になりゃ自宅でできることのはずなのに、わざわざスタバに行くのは、そういう空間が必要だからなんです。
学校も基本的には同じで、教える技術や教材よりも、「強制力が作用する空間」というの要素が最も大事なのだと思います。
オンライン教育なるものをやろうとしても、果たして子供が家の中で大人しく授業を聞いていられるのか、学校にいる時と同じような集中力で勉強できるのか、小学校低学年の子はどっちにしろ家に誰かいないといけないのではないか、等々いろいろ考えなくてはいけません。
また、国算理社など机に向かってお勉強というスタイルの授業がオンライン化できたとしても、体育・音楽・図工(美術)・家庭科(技術)・理科の実験など、“生”でしかできない授業はどうするか。例えば、登校日を週2回設けて、その2日に集中させることにするのか。ってことにしたら、オンライン授業もなんだか楽しみがなくなりますね。
何より、学校は授業を受ける施設でもありますが、子供同士の社交の場でもあります。授業がオンライン化できたら全てオンライン化するってわけにもいかないでしょう。
そんなこんなで、オンライン教育については今のところ「画が浮かんでこない」というのが、私から見て一番のネックなんです。つまり、ハードウェアよりもソフトウェアの問題だと。
仮にオンライン教育を推進するとしたら、「学級」の意味は希薄になっていきます。そうなったら、一斉画一的カリキュラムを保持することにもあまり意味がありません。
となると、かねてから私が主張しているように、これを機に学力別授業を導入するのが当たり前かと思います。
9月入学制移行、やっちゃえば?
「後ろ向き」というのは、9月移行が良いことずくめとの認識に立たれてのお言葉かと存じますが、私はその認識がありませんので、よろしければ9月移行のメリットを10ほど挙げていただけませんか?因みに世界標準に合わせるというのは正しい認識とは言えません。9月新年度でない国はいくつもあります。 https://t.co/UdrpHgpoqx
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) May 3, 2020
百田尚樹とがっちりタッグを組む有本香氏ですが、彼女は学校の年度始まりを4月から9月に移行する案に対して猛烈に反対しているようです。
「9月移行のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか」
なら建設的な議論をする姿勢ですが、
「9月移行のメリットを10ほど挙げろ」
は、意訳すると
「ワレ、何眠たいことぬかしてけつかんのじゃ」
と言うことであり、完全に胸ぐら掴みにいってるわけですよ。「議論なんかする気は最初からないぞ」と言っているのです。
今年固有のコロナがらみの理由でなく、普遍的なメリットを教えてください。論争をふっかけているのではありません。私が学生だった1980年代からこの話はありましたが、結局は一部外国に合わせる以外に大きなメリットがなく、留学への利便性については現制度の手直しで事足りてきたと認識しています。
— 有本 香 Kaori Arimoto (@arimoto_kaori) May 3, 2020
「9月新年度でない国はいっぱいある」と言ってますが、アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フランスと言った最主要先進国は全て9月始まりってことを有本女史が知らないはずないのです。だから「いっぱいある」なんて誤魔化した書き方をしてるわけです。
一方で、4月入学に固執するメリットはと言うと、何一つ説明がない。
おそらく、彼女ら“保守”の人達にとって、「桜の季節に入学するのが日本人というものだろ!!」と言うのが崩しがたい固定観念としてある、それだけなのです。
「コロナ禍を機にこういう話が出るのは違うだろ、と」
と有本女史は言いますが、こういう機会なしにこんな大規模な変革ができるわけがないことは彼女だってよくご存じのはず。要するに
「入学は4月なのーー!アタシ、4月以外はイヤなのーー!」
ってこであって、それならそうとハッキリ言えっての。こういう言い回しは本当に卑怯ですよ。
個人的にはコロナとは関係なく、以前から9月入学に切り替えるべきだと思っています。
その理由は、何より第一に「インフルエンザのピーク期に入試を受けるなんてバカなことをさせるべきではない」ということです。なんでわざわざ日本人が最も不健康になる季節に、人生を決める重大イベントをやるのか、全く理解できないのですよ。
仮に4月入学のままで行くとしても、入試は11月までにやらせてやれよと思うんですよ。
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