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地震の予知は可能だが、目指すべきではない。

学術
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実は可能な地震予知

地震の予知が可能かどうかについては数々の議論がされてきたわけですが、現実としてできていないので、今のところ「不可能」の勝ちということになります。

「地震の予知はできまふぇん」でお馴染み、地震学者で東大名誉教授のロバート・ゲラー先生は、鉛筆を両手で折ってみせて、鉛筆が徐々に折れていくものではなく、突然亀裂が走ってバキっといくことから「地震も同じように、予測ができるものではない」と結論づけます。

しかし、鉛筆は材質も形も非常に整っており、一定の力を入れればどの段階で折れるかは極めて容易に予測ができます。ゲラー先生だってめちゃくちゃ頭の良い専門家なのでそんなことは分かっていて、あくまで一般向けなイメージとしてそのような例を見せたのでしょう。

改めて言いますが、地震が起きるメカニズムは極めて複雑なので、鉛筆を例に挙げるのは適切ではありません。地震の原因となる地殻変動や、直接のきっかけとなる断層のずれなどは、鉛筆のようにお行儀よくありません。その媒質は一様ではなく、鉛筆のように直線的でもありません。特に内陸型の断層地震は、立体的かつ乱雑に歪が存在し、どこの断層がいつ動くかなどまず知ることはできません。

ただそれでも、です。この世のあらゆる事象は物理法則に則っており、原因があって結果が存在します。なのに地震だけはそうではない、ということはありません。地震にも物理法則による原因があるわけで、その原因を正確に掴みさえすれば、間違いなく予知は可能になるはずなんです。

問題は、それが現実的かどうか、だけなんですよね。

ではどんな方法があるのか。

圧力計や温度計など、地震に関係ありそうなデータを採れるセンサーを地球上に敷き詰めてしまえば良いのです。ただ、そのためにかかる金と手間は途方もないものになるでしょう。どのくらい敷き詰めれば良いのかは素人の私には分かりませんが、1km2あたりに1個設置するとしても東京都だけで2000個以上必要になります。しかもこれは、平面的に設置した場合の話。1km置きに深さ10kmまで設置するとしたらその10倍必要になります。さて、誰が10km掘ってくれるんですかね?その金誰が出してくれるんですかね?

地震予知より防災

そんなことを考えたら、やはり地震の予知なんぞにリソースを注ぐのはアホらしいということになります。仮に予知できたとして、起こらないようにはできませんしね。そんな金があるのなら、防災の方に使った方が何万倍もマシでしょう。

例えば、今はちゃんと作れば木造住宅でも震度7にも耐えることができますし、震度7を体感4以下まで小さく出来る免震装置は住宅本体の1割程度のコストでできると言います。震度7と言えば少なくとも過去最大レベルの揺れで、死者が出る可能性も大ですが、震度4ならせいぜいテーブルの上のコップが落ちる程度で実質被害ゼロです。1500万円で家を建てる場合、たかだか150万円の追加で命の危険がなくなります。地震予知に巨額の予算を費やすくらいなら、「免震装置の消費税は免除」とでもした方がずっと世のため人のためですし、景気浮揚の効果もかなりあるはずです。

だからといって地震研究をやめていいのか?

何重にも捻くれてて申し訳ありませんが、だからといって地震研究をやめるべきとも思ってないんですよね。今の予算がどのような基準で組まれているのか分かりませんが、地球物理学とか地質学のレベルでは研究は進めていくべきだと思うんです。ただしそれはあくまで、地震予知のためではなく、副産物として地震予知に関係する成果もあったらいいね♪という話で。「地震予知」に限定するから、余計な利権や国民の期待みたいなものも生まれてしまうわけですよね。

もはや地震そのものは怖くない。本当に怖いのは津波

木造でもちゃんと作れば倒壊しない

ということは、地震そのものって本当はさほど怖くないということになります。建物本体さえ無事であれば、あとは家具の立て付けだとか個人の努力次第でどうにかなる問題ですからね。

問題は津波です。

東日本大震災の場合、犠牲者はざっと1万8000人。そのうち実に90%以上が「溺死」とされています。つまり、ほとんどの人は津波が原因で亡くなっているわけです。

そしてこの津波の対策ですが、地震と大きく違うのは「事前告知」があるという点。東日本大震災での大津波の場合、その認識の“不全”により大きな犠牲が出てしまいました。問題は、その「お報せ」が、地域によっては津波到達の直前になってしまうというところ。こればっかりはどうしようもありません。津波の高さ以上の防潮堤を建設?これ、景観が悪くなるだけではなくて、漁業にも深刻な影響が出るんですよね。南海トラフ地震で壊滅的ダメージが予測されている和歌山でも同じことをしますか?

和歌山県串本町では、南海トラフ地震が起きるとその4分後には10m級の津波が到達するのだとか。これが本当なら、もし夜中に地震が起きたとして、目を覚まして4分以内にどこか津波の到達しない高さの建物まで避難するという離れ業を要求されることになります。それでも本当にそこに住み続けたいなら、沿岸部付近の家屋をどんどん最低でも7階建てのマンションにしていき、いざとなったら住民が上層階へ避難できるという感じにしないといけませんね。いずれにせよ、大津波に対しては抜本的な変革への覚悟が必要でしょう。

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