日本は3日と空けずに違うタイプの大停電を2度経験したことになります。
1度目は台風21号による近畿地方を中心とした大停電。
2度目は北海道を襲った震度7の大地震による大停電。
前者は電線網が損壊されたことにより、後者は電源そのもの=発電所が不全に陥ったのが原因です。
前者に関しては、私はそのど真ん中にいて、都市が電源を消失して麻痺に陥る光景を目の当たりにしました。うちは幸い、5分もせずに復旧しましたが、うちの周りではまる2日以上停電が続きました。これを書いている今でもです。
電柱は必要か?
さて、ここで注目したいのは、「電柱」です。
台風21号は上陸前から「20数年ぶりの大型台風」として警戒されていましたが、なんのなんの、上陸してみれば半世紀以上前の「室戸台風以来」というレベルの台風で、兵庫・大阪という大都市を暴れまわりました。
地域住民がスマホで撮影した、屋根が吹き飛ばされ、車が横転し、コンビニの看板が走り回る姿はまるで映画のCGのように異様なものでした。
その衝撃的な光景のうちのひとつが、折れた電柱です。
車が横転したり、屋根が飛ばされたりするのは、ある意味でしょうがないところがあります。我々が今の文明を維持しながら生活するためには必要で、より安全にという課題は残るものの、ある程度はやむをえないのです。
しかし、電柱はどうでしょうか。
電線は空か地中か
国によっては(日本国内でも地方によっては)地中に埋められる電線ですが、日本ではなぜわざわざ電柱を立てて空をはわせているのでしょう。
…と思ってネットを眺めていたんですが、どうやら「拡張性」を優先させた結果こうなったようです。
ご存知のように、日本は第二次世界大戦敗戦後、猛烈な勢いで発展してきました。その発展とは、「生活レベルx人口」という乗数的な発展で、電気の需要と電話の普及が電線を増やしてきたわけですね。
爆発的発展段階においては、やっぱり電柱立てて、次から次へと建つ家に電線を派生させるというのが手っ取り早くてコストも安かったのでしょう。いちいち道路掘り返してたら、遅い上に金もかかるし、「これいつまで続けるんだ?」ってことになります。
今の日本で電柱はデメリットの方が大きい
ただ、電柱によるメリットはあくまで急速な発展段階においてのみであり、経済的には成熟しきり、人口も減少傾向にある今の日本においてはデメリットの方がはるかに大きいと私は思うんですね。
その理由は2点。
「安全性」と「不動産リソース」です。
地中電線の安全性
まず安全性については特に説明も要らないと思いますが、大地震でも大型台風でも電柱は折れます。そういう災害がなくても経年劣化で折れます。犬がかける小便で折れた、なんてこともありました。
折れた電柱は当然、地べたに向かって倒れてきます。これ、人間にとっちゃ凶器なんてものじゃないですよね。当たったら即死ですよ。
先日の台風では、倒れただけでなく、途中で折れてましたからね。そもそも日本のような災害国家で電柱は無理があるんです。
電柱は不動産の無駄遣い
あの道の端っこからわずか数十cmから生えた電柱のおかげで、車道の有効幅は著しく狭められてるわけですよ。我々は当たり前だと思い込んでますけど、このことによる経済損失って相当な額にのぼるはずですよ。
あの電柱さえなければどれだけスイスイ走れるか分かりませんし、ちゃんとした路肩だって作れるだろってなもんです。
というわけで、電線は埋没化せよ
ってなわけで、今の日本に電柱は相応しくありません。
電線の埋設化にはたしかにコストはかかります。しかしそれはほとんど初期費用であって、一度やってしまえばその後のメンテナンスは逆に楽になるでしょう。
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