目下、IR事業での汚職をきっかけに野党が張り切って「カジノ反対」キャンペーン中ですが、まともな頭を持っているツイッタラーから「先にパチンコどうにかしろ!」の大合唱。
ってことで、以前のブログで書いたものですが、移動し忘れていたので持ってきました。ついでに加筆。
「パチンコはギャンブル」とテレビで言ってはいけない?
これ、何かと話題になる『ニュース女子』での話ですが、勝手にパチンコだと決めつけられながら、パチンコはギャンブルではないからと言ってカットされてしまうってすごい話ですよね。
カジノに反対している衆議院議員・江田憲司氏は、パチンコとの比較論に対し「パチンコなんて1000円2000円のレベルだ」と擁護していました。
いやぁ、これすごいことですよ。
本気で言ったとしたらよほどの世間知らずか、頭が悪いってことです。パチンコなんて大学生でも1万2万のレベルで金がなくなっていきます。1日負け続けていたら0が一つ増えます。
これ、私は常識と思っていたんですが、どうやら違うようですね。
厚生労働省の調べでは「ギャンブル依存症≒パチンコ依存症」
厚生労働省(国家の行政機関ですよ!)の調べでは、全国に320万の「ギャンブル依存症」が存在し、その約80%がパチンコ・パチスロに最も多くお金を使っていたとのこと。
つまり、ギャンブル依存症のほとんどは「パチンコ依存症」なんです。
江田憲司センセーによれば、パチンコなんて1000円2000円程度の物。でもギャンブル依存症の80%がパチンコ。
?????
1000円2000円って「依存症」なんですか?これが依存症なら、競輪・競馬・競艇やる人ってどのくらいのお金を使ってるんですか?1日数百円???
言うまでもなくそんな訳ありませんでして、江田憲司の言ってることは妄言なのですよ。
そして、こんなのデータを見るまでもなく、あなたの周りにも実例があるはずです。私の知人にもパチンコ依存症になって借金を作った挙げ句、パチンコをやるためにネグレクト(育児放棄)に陥ってしまった主婦がいました。まだ幼稚園児のその子供が家に1人にされて、その間に借金取りが来て恐怖に怯えていたそうです。うちの親戚が見るに見かねて夕飯時にその子を家に誘ってやったりもしたんだそうです。
ところが江田憲司にはそんな現実も見えておらず、1000円2000円の遊びだと言うのです。MXテレビに至っては、「パチンコはギャンブルではない」と断言します。
これ、中国や北朝鮮ではなく日本の話ですよ。言論の自由もなければ、庶民のために世間の状況を観察しようとしない(あるいはあえて無視する)政治家が存在するんです。
まあこれらは「事実誤認」というよりは、特定団体の代弁をしているように見えますけどね。
国民はアホだという前提のとんでも理論
加計騒動の際の玉木雄一郎氏の説明はここで何度か取り上げました。
すなわち、過去半世紀以上に渡って獣医学部が新設されていない事実について、玉木はこともあろうに、わざわざ過去10年間の飼育ペットの数の推移をパネルにして「ほら、ペットは増えるどころがむしろ減少傾向だ」だから獣医学部は要らない、というとんでもない論理を展開したのです。
過去50年間の話をしているのに10年間のデータを持ってくる。これつまり、「俺たちを支持しているような年寄りにそんな細かいことは分かりゃしない」とバカにしているんですね。そしてそういうインチキな言説に乗って安倍政権は実際に支持率を落とすことになります。(と言って野党の支持率が上がるわけでないのが滑稽ですが)
江田憲司も所詮同じなんでしょう。いくらなんでも、このギャンブル依存の実態を知らないはずがないんですから。
なぜパチンコは依存症になりやすいか
なぜパチンコ(パチスロ)が依存症になりやすいかというと、私も経験者だからよく分かるんですが、パチンコって始まりも終わりもないんですよ。とりあえず金を入れりゃ玉が打ててスロットが回る。そして最近のパチンコは「あー、もう少しで大当たりだったのに~」みたいな演出を連発します。頭の弱い人は「もう少し続けたら大当たりが来るかも!」と期待して、終わりのない地獄にハマっていきます。
そんな施設が普通に街を歩いてたら何件でもあるんですから、主婦がハマるのも全く不思議ではありません。
ちなみに、私がパチンコにハマったのは四半世紀も昔の学生時代で、いわゆる羽根物が大好きだったんですよね。羽根物は内部でのインチキができない実力勝負で(磁気によるコントロールが為されていたとも言われますが)、台を選ぶ意味があったし、フィーバー台ほど金が動きません。つまりパチンコ屋にとっては全く美味しくなく、どんどん数が減っていきました。
同時にフィーバー台も打っていたんですが、初期のフィーバー台って過剰演出が全くなかったんです。正確に言うと、「演出がなかった」です。ただ数字がクルクル回って揃うかどうか、の淡白な世界。これが好きだったんですよね。
ところが液晶やコンピュータの発達によって、フィーバー台はどんどんグラフィカルに、音も派手になっていきました。「ただのハズレ」も「あ~惜しい!」という演出によってプレイヤーの射幸心を煽ります。
このフィーバー台革命の時に現れたのが、『大工の源さん』や『海物語』といった名作と言われる台でした。
中途半端に知性を持ってしまう私は、そんな風潮に辟易してすぐさまパチンコを卒業してしまいました。「こんなのはウソッ“パチ”だ」と。最もそういう演出があろうとなかろうと、経営者側が必ず得をするようにできているのがギャンブルなので、嘘っぱちもくそもないんですけどね。
蛇足終わり。
カジノでギャンブル依存症が増えることはない
まとめます。
ギャンブル依存症のほとんどはパチンコで、その特性は、
「街中に普通に存在する」
「1プレイに区切りがない」
「1000円でもできる」
というもの。
ということは、逆にこの要件が揃ってないと依存症にはなりにくい(少なくともパチンコによるギャンブル依存症は減る)だろうということ。
カジノができるにしたって、駅前や商店街そばにはできないでしょう。
入場料を設定する予定なので、入店自体にハードルがあります。
マイナンバーカードなどによる個人認証も計画されています。
特に個人認証は良いですね。いくら使っていくら儲かったか分かれば、パチンコで常に問題になる脱税もやりようがなくなりますからね。
パチンコを禁止する必要はない
個人的にはパチンコが好きって人もいるんだし、それで金が回るんだったらいいんでないの?程度に思ってるんですよ。
が、しかし。今のままはだめ。
ギャンブルの中でもパチンコが特殊なのは、「民営」であり「還元率が不明」であることです。
まず民営についてですが、パチンコがギャンブルであるにも関わらず経営を続けられているのは、いわゆる「三店方式」という理屈があるからです。三店方式とは、パチンコの運営を「パチンコ屋」「景品交換所」「景品問屋」の3つに分けて、パチンコ屋はあくまで「景品」としてメダルだかライターの石みたいなよく分からないものを客に渡す。それをあくまで別事業者という体の景品交換所に持っていくと、その得体の知れない景品を現金で「買い取って」くれます。買い取った景品は景品問屋を経由してまたパチンコ屋に戻ってきます。
だから、「パチンコ屋は現金を出していないのでギャンブルではありませんよ」という理屈が成立する……ということになっています。でも、だったらこの三店方式さえ使えば、民営カジノだってそこらじゅうにあって良いのにありませんよね?実に不思議です。
そんな道理としても法律としても大きな矛盾の生じるパチンコ屋は、ゴチャゴチャ言わずに公営化すれば良いんです。そして還元率を明示する。「吸い込んだ玉」と「吐き出した玉」の数を常に電光掲示板で表示させときゃ良いんです。
いや、やっぱりパチンコを公営にしたとしてもだな…
パチンコが金を生み出す産業であることは間違いないのですが、それが実質的な生産かどうかは大いに疑問です。正確なデータを知らないのですが、海外にあるカジノと日本のパチンコ、その利用者の収入を比べたら、その差は歴然のはずで、カジノで遊ぶ人ってやっぱり金持ちでしょ。金持ちから金を吸い上げて、それが国営だとしたら税金として庶民に還元できる。カジノはそういう役割を持つわけです。一方で、パチンコの利用者は低所得者のイメージ。
もしパチンコを公営にするとしたら、例えばマイナンバーカードとか使って、その人がその月にどれだけ使ったかとか管理すべきってことになると思います。要するに利用制限ですよ。すると今度は、事業として採算が合うか?って問題が出てくるんです。公営だろうが民営だろうが赤字であれば意味がないわけで、だったらやっぱりパチンコってなくすべきなんだろうなと思います。
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