なぜ多頭飼いはトラブルを起こすのか?

攻撃性
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「単独」と「群れの一員」でスイッチを切り替える犬

うちの近所に、庭に放し飼いされている大きめの中型犬(仮に名前をタローとします)がいまして、このタローは人や犬が通ると色めきだって時々吠えるんですが、基本的に社会性のある犬だってことは、私には一目で分かるんです。

一見凶暴で普通の人なら近づこうとは思わないでしょうが、私は自分の犬を連れたままズカズカ近づき、柵から手を差し出します。タローは警戒心が強いので、すごく恐る恐るですが、私の手をペロっと舐めて家屋の方に引き戻します。

このやり取りが朝のルーティーンになってるんですよ。

実はこの家、同じく中型犬をあと2頭飼っているんですが、彼らは普段ほとんど庭に出してもらえません。詳しい話を聞いたことはありませんが、1頭は口輪を装着させられているところから、無駄吠えや噛み癖などがあるからでしょう。たまに見かけても、暴れ倒してますからね。

で、私がいつものようにタローと挨拶を交わしていると、庭のひとつ内側の柵に残りの2頭がいて、私に気づいた彼らが物凄い勢いで吠え始めました。すると尻尾を振りながら私の手を舐めていたタローが突然咬み付いてきたのです。

私は残りの2頭が吠え始めた瞬間にそれを予測できたので、「袖」で済みましたけどね。

 

「犬は群れを作らない」???

何が言いたいかと言うと、これが犬が本能的に持つ「群れ」の観念なのだってことです。

かつてこういう記事を書きました。

キラキラ系(自称)ドッグトレーナーの「犬は群れを作らない」という主張に反論したものです。

群れを作るかどうかは直接的な問題ではありません。大事なことは、犬が本能的に持つ群れの観念です。

 

タローの例は、ものすごく分かりやすい形で「群れ」の行動原理を示してくれました。

庭で一人でいる時はおとなしいのです。ところが近くに「家族」(群れの仲間)がいて、その家族が吠え始めるやいなや自分も同調。自分が群れの一員であるという再認識のスイッチが入ったわけです。

 

犬が見せる「群れ」行動あれこれ

こういった群れの行動はいろんなシーンで見られます。

紹介した拙ブログの過去記事にも書いたように、いつもの公園でいつもの仲間といるところに、新参者の犬が入ってくるとギャンギャン吠え始める犬がいて、その他の犬まで同調して吠え始めるのも、群れ行動です。

うちの犬なんかは面白くて、ある犬Aが、別の相性の悪い犬Bに吠えると、うちの犬はBに向かって突進します。この場合のBは概ね、不規則な動きをしたり落ち着きがなかったりすることがほとんどなのですが、うちの犬とは別段仲が悪いなんてことはありません。でもAが吠えるとBに突進するのです。突進して咬み付くわけではありません。「ワン!」と言いながら突進してそのまま走り去り、Uターンして帰ってくる。これが毎回面白くてしょうがないのです。

うちの犬のこの行動は、単純な敵対意識やなわばりの主張などではありません。秩序を作ろうとする高度な社会性によるもので、いわば風紀委員を買って出ているわけです。群れる動物ならではの、非常に面白い行動です。

 

多頭飼いが引き起こす「群れ」本能

さて、多頭飼いによくトラブルで、犬を1匹飼っていた人がもう1匹飼い始めたら、どちらかの犬がよその犬に対して凶暴になる、という現象があります。

お宅の犬がそうでないにしても、そういう多頭飼いをちょいちょい見かけるのではないでしょうか。

これ、理屈は簡単です。

SNSやブログで熱心に発信するような意識高い系愛犬家にはものすごく嫌われる喩えをこれから書きますね(*´з`)

 

なぜ動物が群れを作るかと言うと、群れを形成した方が生存において有利だからです。

狩りをする時も単独でやるより複数の方が成功率が上がります。

防御面では、言うまでもなく、自分より強い敵と遭遇してもこちらが多勢であればそうそう襲われないし、襲われても撃退できる可能性がぐっと上がります。

これを国家の軍事力に喩えるなら、先進国だと概ねGDP(その国の生産力)の2%と相場が決まってまして(日本は特殊なので1%ですが)、要するにどの国もその国の規模に比例して軍事力を持ってりゃとりあえず安心ということです。

1人当たりの生産量が同じだとすれば、人口=国家規模ということになりますが、人口が増える程に「防衛力」と同時に「守らなければならないもの」も増えるわけです。当たり前ですね。

多頭飼いにおいて一方が不穏になるのは、

実際に持っている防衛力? <? 群れを守るのに必要な防衛力

になってしまう(犬がそう認識する)からです。

つまり、「守らなければならないもの」が増えたのに、防衛力が足りないと判断してしまうと、「自分がもっと頑張って守ってやらないと」と気を張って凶暴化してしまうわけです。

 

これを数式にしてみると…

1人(匹)当たりに必要な防衛力が100とすると、飼い主1人+飼い犬1匹なら、200ということになります。

大型犬の性格が穏やかなのは、最初から単独で180くらい持っているからで、飼い主は20あれば足りることになります。

これが小型犬でその防衛力が50くらいだとすると、残りの150は飼い主が1人で賄わないといけないわけですよ。

あるリーダーに相応しくない飼い主の防衛力が80だとして、飼っている犬の防衛力が70だとします。

(80+70)ー100×2=ー50

と出ます。このー50が問題を引き起こします。仮に重大な問題を引き起こすボーダーラインがー100だとすると、次に飼う犬の防衛力が50であるとするなら、

(80+70+50)-100×3=-100

レッドゾーンに入ってしまうことになります。

 

多頭飼いの一方が凶暴化する具体的な原因は?

と言うと、答えは簡単。「飼い主が弱っちい」のが原因です。

もちろん、この場合の「弱い」は飼い主がケンカが弱いなんて言う意味ではありません。

「お前たちを守ってやるのはオレ様だ」という意識や態度のことです。

 

このブログの読者であればすでにお分かりでしょうが、このことは1頭飼いでも同じであり、多頭飼いになるとそれが増幅されるわけですよ。

飼い主は弱い方だけど、1頭飼いならまだ何とかなっていたものの、多頭飼いになった途端、ラインを下回って1匹に過剰な防衛意識が生まれたりするのですよ。

 

だったら対策も1頭飼いの時と同じ。

リーダーウォークを実践し、犬には規律をもって接する。これが基本です。

 

身近な例

私の身の回りの例。

小型犬を飼っているあるご夫婦がその犬が1歳半くらいになって新しい犬を迎え入れました。

先住犬も少し問題があるんですが、去勢し、成犬になったら、1匹だと何とかという感じ。しかしながら2匹目を飼い始めたのは私から見れば問題で、抱っこを要求したら迷わずに抱っこしてあげてるんです。

この行為は新入り犬に良くないのはもちろんのこと、「弱い存在」が増えたことを意識することによって、先住犬の性格の悪いところがぶり返す可能性があります。

どちらにしろ、抱っこ癖など何も良いことがないので、アドバイスしておきました。

 

まとめ

ドッグトレーナーを自称したければ勝手にすれば良いんですが、自分の好みに合うように歪な理論を作ってはいけません。客観的な事実は事実として認めない限り、まともなしつけなんてできないのです。

そしてドッグオーナーは、こういった自称ドッグトレーナーのポエムを信じてはいけません。

多頭飼いをしたいと思ったら、今の犬の飼い方を一旦振り返ってみて、自分が複数の犬を飼うに相応しい能力を持ち合わせているかどうか、身近な多頭飼い経験者に聞きながら考えてみるべきでしょう。

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