「名前を呼んだ後に犬が嫌がることをしてはいけない」は本当か。

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呼び戻しをきかない犬

私が日ごろ、犬の散歩でよその犬を見て物凄い違和感を覚えるのが、「名前を呼んでも来ない犬が多い」ということ。いわゆる「呼び戻し」です。飼い主が呼んでも来ないんですよ。

今このブログを読んでる人の中にも、「あー、うちだってそう」と困り顔をしている人は多いでしょうね。

中には、「死んでもリードは離せない」とすごい緊張を伴いながら散歩する飼い主さんも多いようです。実際、言うことを聞かない犬、凶暴な犬なんかではリードが離れてしまったりハーネスが外れてしまったりして大騒ぎになったりすることもあります。

名前を呼んだ後に犬が嫌がることをしてはいけない?

で、巷間のしつけ論を見ると、ほとんどがこう書いています。

「名前を呼んだ後に、犬が嫌がることをしてはいけない」

これ、かなりスタンダードな「やってはいけない」事項になってるんですよね。

でも私から言わせると、これは正解でもあり不正解でもあります。

 

「やってはいけない」派の理屈は、「名前を呼ばれた後に嫌なことをされると、自分の名前と悪いことがリンクされてしまい、その後名前を呼ばれても飼い主のそばへ行こうとしなくなる」というもの。

たしかにその通り。

でもそれは幼犬の期間の話。

ジャックラッセル

うちの犬は、嫌がることでも来るぞ

例えばですよ。貴方がお父さんお母さんに名前を呼ばれる際、良いことばかりではありませんでしたよね。声のトーンで説教だったり「勉強しろ」だったり家の手伝いだったり、決して本意ではないことのために呼ばれることは多々あったはずで、それでも顔を向けたり近づいたりしたはずです。

それは人間だからだ。犬は違う!

と、普段「犬だって家族だ」って言う人ほど矛盾したことを言うんです。

私が今まで飼ってきた犬は、それが犬にとって嫌なことでも、私が呼べば嫌々ながらもちゃんと来ましたからね。

何か袋をガサガサ言わせながら、「ピサロ!」と呼べば、まさに弾道ミサイルのごとく飛んできます。

私が先に風呂場に行って、シャンプーの準備を整えた後に「ピサロ!」と呼ぶと、一転してリハビリでもしてるのかというくらいの遅さで、マンガのごとく眉毛と尻尾を下げながらとぼとぼ歩いて風呂場まで来ます。シャンプーは嫌いですから。でも、来るんです。

 

これが犬の理性・知性の成長であり、犬と飼い主の間に信頼関係ができているということなんです。

 

これができない人というのは、風呂場まで犬を抱っこして連れて行かないといけないわけですよね。

なんと不便なことでしょう。多頭飼いのうちでは考えられないことです。

いや、ちょっと待って、その前に。

嫌なことをする時は抱っこってことなら、今度は抱っこを嫌がるようになりませんか?

犬は「何が起こるか」ではなく、人を見ている

私のお友達で犬を2匹飼っている人がいるんですが、片方の成犬は「抱っこしようとすると唸るんです。どうもブラッシングが嫌だったらしく…」と。

その犬を私が抱きあげてみると、全く唸ったりしません。

2匹目の幼犬。毛に絡まったひっつき虫をブラシで取ってあげようとしたら、「すごい声で唸ってきて咬みますよ」と。

ところが私がやると、やはりこれまた全く唸ったり咬んだりせず、おとなしく手入れさせてくれました。飼い主さんは「?」となります。

さて、ここから分かることは一体何でしょうか?

獣医

もう一度言いますが、冒頭で紹介したしつけ論は、間違っているわけではないのです。が、正しくもありません。飼い主のAという行動に対し、犬がA’という反応を見せる。これを良いリンクとするか悪いリンクとするかという考え方自体は正しいのですが、そもそも「呼び戻し」はそれほど機械的なインプリンティング(刷り込み)で教えるようなものではないと私は思っています。

「抱っこすると怒る犬」の例を紹介したのは、機械的なインプリンティングより人間がいかに自信を持ち、犬に対して「大丈夫だ」というメッセージを送ってやれるかの方がはるかに大事かを知って頂くためです。

シャンプー嫌い、ブラッシングも嫌い、でもボスが言うんだから自分に損はない。嫌だけど我慢する。

これを理解するだけの知性を犬は十分に持ち合わせています。

紹介した飼い主さんの場合、それが犬にとって得であるということを理解させるに至らなかったのですよ。

最も大事なのは、人間の精神状態

もう少し詳しくその飼い主さんと私の違いを説明すると、その飼い主さんは犬に「交渉」したり「提案」したり、あるいは犬の「要望」を聞いたりする人なのに対し、私は犬と一切「交渉」も「提案」もしないし、犬がどういう態度に出ようが自分の行動を変えたりもしないのです。

「唸ったり咬んだりしても無駄」と犬は分かります。もちろん、こちらは怒鳴ったり殴ったりなど一切しません。犬が見ているのは人間の「落ち着き」(安定)「力強さ」「気」みたいなもの。こちらに迷いがあれば犬は不安と恐怖にかられて反発しますが、こちらが安定していれば犬も落ち着けるのです。

獣医やトリマーはこの態度で接するから犬を相手に仕事ができるのです。

 

呼び戻しも同様。「名前を呼ばれたら良いことがある」というパターン学習はほんの初期だけのもので、その後は「名前を呼ばれたらとりあえず飼い主のそばに行く」のが当たり前にならなければいけません。

 

最も大事なのは、飼い主の精神状態です。

 

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コメント

  1. 野次馬 より:

    勉強になりますし、概ね同意なのですが一点だけ。
    「交渉」という言葉の使い方には少し引っ掛かるところがありました。

    私個人の感覚としては、犬の躾とはまさに交渉そのものだと感じています。
    関係を破綻させない範囲で犬の本能的な振る舞いを否定し、
    段階的に妥協させることでこちらの要求(人間社会への適応)を押し通す。
    根気強く向き合って犬の気持ちを「しぶしぶ」から「まんざらでもない」に、
    さらに進めて「これが普通」だと納得させる行為は
    交渉という言葉が一番しっくりくるというのが私の考えです。
    (ご機嫌とりや媚を売るような意味合いで否定的に使われていると推察しますが。私もそういった行為は論外と思います)

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