ムツゴロウさんはシーザー・ミランを認めていない?

ムツゴロウさん2 その他

コメントを頂いていたのに、返信するのをすっかり忘れてしまっていました。

ムツゴロウさんはシーザー・ミランのしつけ論に否定的だがどう思うか。

とのこと。

添えられたリンクはこちら。

かいつまんで要約すると、

飼い主が自分を責めて泣いている時、そばにいた犬が飼い主の肩に手をかけた。これは、犬が、弱っている飼い主のより上の立場に立とうとしている意識の表れだ。

というのがシーザーの理論で、「んなこたないよ」というのがムツゴロウさんである、ということのようです。

 

えーーーっとですね、別に私がこの両氏どちらも尊敬しているから辻褄合わせのために言うのではなく、この2人の言っていることは矛盾していると思わないのですよ。

恐らくこの犬は「飼い主を慰めている」のでしょう。

ではこの「慰める者」と「慰められる者」の立場の上下関係はどうなっているでしょうか。

 

はい、聞こえてきましたね。

慰めると言う行為に上も下もあるものか!

なるほど。

 

では、貴方が子供だとして、親が泣いているところを見たいと思いますか?その時の感情って、自分の友達が泣いているのを見た時と同じですか?

「同じだ」と答える方には、話はここまでです。

「同じではない」と思われた方に向けてここからは説明します。

 

親が泣いているところを見た時のあの変な感覚って何でしょうか。

それは、本来めちゃくちゃ強い存在であるはずの自分の保護者が弱っている姿を、被保護者である自分が見てしまったという混乱なんです。その混乱が落ち着いたところで、何をやるかと言えば、「慰める」わけですよ。

飼い主と飼い犬、あるいは親と子の関係は、主従関係にあるべきで、文字通り、前者、つまり飼い主や親が生活のあらゆる行動において主導権を握っています。ところが、このようなイレギュラーなケースでは、関係の反転が起こります。慰める側と慰められる側では、前者が主導権を握っているのです。

これを「犬は常にボスの座を狙っていて、今がそのチャンス」という物語にしてしまうと、本質を見誤ります。

「今ボスが弱っているなら、自分がしっかりしないと」と言い換えれば、「犬の方が上に立とうとしている」と「慰める」は何も矛盾しません。

つまりは、犬は能動的にボスになりたいわけではなく、自分のために、あるいは群れ全体のために、ボスにならざるを得ない状況に陥ったと見ればいいのではないかと思います。

そもそもの話、上に立つ人間は弱さを見せるべきではありません。飼い主なら犬のいないところで、親なら子のいないところで泣くべきです。

 

さて、ムツゴロウさんとシーザー・ミランの対比と言う話をしますと、例えば「犬が噛んではいけない物を噛む」という“問題行動”が発生した場合、シーザー・ミランは「噛まないようにしつけをする」わけですが、ムツゴロウさんは「噛んでもいい家具を買ってくる」というちょっと常識では考えられない対処法を取ります。

これ、私からすると、どちらが正解とか間違ってるとか、そういう話ではないのですよ。

犬が物を咬むのは本能的に必然的な行動であり、何かしら噛むアイテムは必要です。ムツゴロウさんの場合、家具を持ち出すので一見変人にも見えますが、単にそれは「噛んでも良いアイテム」でしかありません。一方で、何でもかんでも噛まれたら困るのも事実。そこでムツゴロウさんがどういうしつけをするのか、あるいはしつけそのものをしないのかは知りませんが、シーザー・ミランなら何かしらの方法で噛まなくなるしつけを施すでしょう。しかしシーザーだって、噛むためのおもちゃが要らないと言っているわけではありません。一見、切り取られると対比的に見えるような光景でも、実は矛盾しているわけではないことがあります。

また、引用ブログでは「人間がリーダーになることの是非」は語られていませんが、以前当ブログで書いた通り、犬が悪いことをしたらちゃんと怖い声で叱らないといけないとムツゴロウさんは言っています。叱るという行動は言うまでもなく、「上から下」に行うもので、ムツゴロウさんが人間と犬との間の主従関係を否定しているとはちょっと考えにくいところです。

 

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コメント

  1. 野次馬 より:

    ミランさんは「犬が不安定になるから(飼い主は)させるな」
    ムツゴロウさんは「犬の習性としては自然だから(犬がそうするのは)問題ない」
    ということを言いたいのでしょうね。

    前者はベタ甘なアホ飼い主への(多少誇張を含んだ)戒め、後者はまともな飼い主への(犬の性質に基づく)助言なのでしょう。
    どちらの教えも、相応しくない人間が間に受けると碌な結果にならないです。

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