「幼犬の振る舞い」と「問題行動」を区別しよう
最近お知り合いになった2匹のトイプードルのお話をします。
この2匹のプードルは飼い主が別々でそれぞれは知り合いではありません。どちらもオスでまだ1歳未満の幼犬です。そしてどちらの飼い主も、自分で犬を飼うのは初めてだそうです。
まず1匹目のテリー君について。
最初こそ少し怖がってはいたものの、私が何日か接していると自分から近づくようになり、うちの犬の対しても怖がらないようになりました。
飼い主さんは、「犬を飼うのが初めてでいろいろ分からなくて」と少々不安げで、いろいろと聞いてきます。
「怖がる」
「噛んでくる」
「暴れまわる」
このブログの読者さんには説明不要でしょうが、これは健康な幼犬である証拠です。実際接してみても、問題行動に繋がるような様子は一切ありませんでした。
久しぶりに書きますが、犬がプロレスを仕掛けてきたらそれに応じてやるというのが正しい接し方であって、「甘噛みを許してはいけない」なんていうしつけ論を信じてはいけませんよ。
「問題行動」とは何か
で、その飼い主さんには、
「この子には何も問題がありません。将来、よその犬や人を噛むような犬にもならないので心配は不要です」
と教えてあげます。
すると飼い主さん、
「え?じゃあドレアムちゃんやムドー君(うちの犬)みたいになりますか?」
と聞き返してきます。
となると、少しばかり厚かましい話で、うちの犬たちはめちゃくちゃ賢いのですよ。この育て方を言葉で説明するのは結構困難です。
そもそも犬をしつける時に何を目標にすべきかというと、「問題行動」を起こさないようにすることです。
この問題行動は2つに分けることができて、まずは周囲への問題行動です。これが、攻撃性や無駄吠え。
次に犬自身への問題行動で、これが「怖がり」「神経質」という、要するに精神的ストレスです。
以上の問題行動の根っこは同じでなので、正しいしつけで全てが同時に解決できます。
そしてここで言う「正しいしつけ」は、概ね言葉で説明できるものです。
しかし、うちの犬のように育てたいとなると、ちょっと言葉で説明するには限界があるし、説明できたとしても実行はさらに難しいんですよ。後に説明する、「叱る時は厳格なオーラを放て」と言うのも実にアナログ的な話で、ある程度以上の強さのオーラは元々の性格や犬好き度に依拠する話です。教えてもらってマネできるものではありません。
とりあえずウザいくらいに犬と触れ合いなさい
とは言え、もう一歩踏み込んだしつけ法を。と言っても、これも当ブログで度々書いてきたことです。
それまで、手が届く程度に距離を置いて愛でていたのですが、リードを引き寄せます。
「こうやってリードを引き寄せようとします。するとこの子は抵抗して踏ん張りますね。ここで人間側が遠慮して控えてしまうと、犬は逆に神経質な子になってしまいます」
といって私はグイと引き寄せ、勢いで抱っこしてしまいます。そして顔を密着させます。
するとテリー君はペロペロペロペロ~~!!!と顔を舐めまわしてきます。
顔を舐める=愛情表現とも限らないのですが、テリー君の場合は明らかに愛情表現でした。その証拠に、一旦地べたに降ろした後、名前を呼ぶと私に近寄ってきます。その様子を見て飼い主さんは「すごい、テリーがこんな風にするの初めてです」と驚いていましたが、過去に何度か書いているように、よくあるパターンです。
「犬の都合や感覚を無視して、人間都合でいろんな触り方をしてください。苦痛さえ与えなければ、犬は『人間は安全、人間は楽しい、人間はやさしい』と学習して、うちの犬みたいに誰にでも自分から近づくようになるし、仰向けで抱っこしても一切抵抗しなくなりますよ。爪切りだって家でできるようになります」
と説明。すると飼い主さんは「心に刻んでおきます!」と向上心を見せてくれました。
犬が攻撃的になるのはよその犬や人を信用していないから
一方、2匹目のジェロニモ君。
この子も一件、トイプードルの幼犬らしく、落ち着きなくはしゃぐんですが、テリー君とは違うということが私には見てとれました。その動き方にトゲがあるのです。
どういうことかと言うと、接する犬によって、あるいは人間も触り方によって、突然攻撃的になるのです。
一度その子を連れて私の車でお出かけしましたが、車に乗せる際に足を拭こうとしたら噛み付いてきました。予想通りです。ま、私はトイプードルに噛まれたくらいでやめませんけどね。
このジェロニモ君は感覚が鋭敏で神経質なんです。で、その原因は基本的によその犬や人間を信じていないことにあります。
じゃあどうすればいいか?については過去の記事に何度も書いてありますので読んで頂くとして、この記事の主題に。
飼い主の性格がそのまま犬に出る?
この2人の飼い主さんには決定的に違うところがあります。
それがコミュニケーション能力です。
テリー君の飼い主さんは朗らかで社交的です。私も遠慮なくお話できて、話していて楽しくなるタイプの性格の持ち主です。
一方のジェロニモ君の飼い主さんは、中度以上のコミュ障です。人間嫌いとか、性格が悪いとかではなく、「自分から話しかけられない」「感情表現ができない」というタイプの人なんです。
犬のしつけに際して【感情的】になってはいけませんが、【理性的な感情表現】は必要です。何だか滅茶苦茶なことを言ってるようですが、要するに、かまってやる時は究極のデレデレ感を、叱る時は厳格なオーラを出さなくてはいけないということです。ところがジェロニモ君の飼い主女性の感情は常に平坦でメリハリがありません。犬は極めて学習しづらいのです。
彼女のこういう性格は生まれつきのものでしょうし、治すのは極めて難しいでしょうね。できるものであればその性格を修正できればいいのですが、無理でしょう。そして、ネコならともかく、犬を飼うには全く向いていない性格なのです。
以前に、
こういう記事を書きました。
犬は人間同士のコミュニケーションを見ていて、飼い主が人間に対してちゃんとした挨拶ができていれば犬も挨拶ができるようになる、という主旨です。
ましてや、
ここで書いたように、プードルは頭が良くて活発なため、飼い主の影響を最も受けやすい犬種のひとつです。
犬を飼ってはいけない性格の人がいる
身バレしてないブログだから言えるのですが、ハッキリ言って飼い主さんの性格と犬種の相性は最悪なのです。
これが毎日のように会う犬であれば、私が直接改善する手立てもあるのですが、残念ながらジェロニモとはたまーにしか会えません。テリー君の飼い主さんのように、ご本人に聞かれたわけでもなく、当人に問題意識が生まれない限り改善もしようがないので、指導するというのもおかしな話です。親しい共通の友人がいるので、その人を通じてまずは問題意識を持ってもらうことが大事だと思っています。このまま成犬になってしまうと、死ぬまで「問題犬」になってしまう可能性があるので。
というわけで、これから犬を飼おうと思っているあなた。
自分が犬を飼うに相応しい性格かどうか、客観的に評価してみてください。カメか何かの方がいいかもしれませんよ?
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