https://mattari-dog.com/walkingfordogs/
↑このブログがキテレツなこと言ってますという話の続きです。
で、なぜ犬に運動は必要ないの?
このブログを読むとですね、「犬に運動させなくて良い」という根拠が「ストレスになるから」以外に何もないのですよ。これって相当むちゃくちゃな話で、ではなぜ「運動不足」という概念が存在するのか、その説明がないと理論としては成立しないんです。
人間であれば、運動は筋肉と骨の増強と維持、基礎代謝の向上による免疫力向上といったメリットが挙げられます。これらは常識的な話であって、ここに疑問を持ちつつ当該ブログを読んだ人も多いでしょう。「運動は必要ない」という理論はすなわち、この常識を打ち破る根拠が必要なんです。
それ、書いてましたか?
私の読んだ限りではどこにもなかったはずです。「まったり散歩」とやらで、骨も筋肉も免疫力も十分作れるんだと?
大型犬はなぜ短命なのか
大型犬は中・小型犬よりも平均寿命が短いのですが、その理由には諸説あります。その諸説それぞれに説得力を感じるのですが、さらにもう一つ、運動不足はないか?とかねてから私は疑念を抱いています。
ラブラドールの癌罹患率が高いのは、「元々大型犬はそういう遺伝子を持っているから」というのはあるでしょう。「体が大きいと癌ができやすい」それもそうかもしれません。人間もそうらしいので。でもそれだけか?と。
しかるべき運動をさせてやらないことが、内蔵の筋力を弱めたり、免疫力を低下させたり、あるいは精神的なストレスを溜め込んでしまったりといった理由で寿命が短くなる……という説明もついてしまうのですよ。
「体が大きい(背が高い)ほど癌ができやすい」というのだって、血流の問題は多分に考えられます。人間がやたら「ふくらはぎを鍛えろ」なんて言われるのは、メインポンプの心臓だけでは血流が不十分で、血液が体の隅々にまで行き渡らないからです。その結果、細胞は劣化し、癌をはじめとする様々な病気にかかるんだと。特に背が高い(縦に大きい)人の場合、マンションに補助ポンプが必要であるように、意識して血を巡らせないとあちこちに不具合が出るのは当然でしょう。馬が骨折しただけで安楽死させられるのは、まさにそういった理由からですしね。
犬に運動が必要なら自ら運動する?
当該ブログでは、
人間は健康のためにとウォーキングやランニングを始める人もいますが、動物でわざわざそういったことをするものはいません。
といった記述があります。なんともアバウトな書き方ではありますが、これを脈絡から意訳するならやはり「犬が自分からしない運動は必要のない運動だ」ということになるでしょう。だとしたら、これまた無茶苦茶な話です。
犬が自分から動こうとしないのは、当たり前なのです。
なぜか?自然界においては、用事もないのに運動するのはカロリーの無駄遣いになるからです。
自然界においては、人間や犬を含め、全ての動物にとって栄養は貴重です。カロリーは足りなくなることはあっても足りることがありません。ほんの一瞬、お腹がいっぱいになったとしても、次に同じだけの栄養が獲得できるかどうかなど保証はどこにもなく、得られるとしても相当なコスト(つまり、運動)が必要になるのです。
人間と人間に保護される動物をのぞくと、動物は常に飢えがそこにあるという環境に生きています。そういう環境下において、「健康のため」に動物が自分から動くわけがないのです。
本能には「健康のため」という原理はない
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャーIII』において、100年前のアメリカ開拓時代に飛んだマーティが、地元民から「100年後の人間は走らないのか」と聞かれて「健康のために走る」と答えたところ失笑を買うというシーンがあります。
当然ながら、動物の本能には「健康のために運動する」なんて行動原理はありません。動物の本能は、動かざるを得ない環境下で最適化されたものであって、動かなくても生きていける環境を想定していないからです。
これは肥満も同様。動物が空腹に敏感で満腹に鈍感なのは、そもそも飽食という状態を神様が想定せずに作っているからです。だから我々は本能に抗って食べる量を制限し、それなりに運動をする必要があるわけです。
「犬のやりたいようにさせる」のが正しいことであれば、犬が食べたいだけ食べさせることが正しいということになります。もちろん正しいわけがありません。
同様に、本来十分な運動(人間が思っているような運動量とはけた違いの)を前提に健康でいられるよう設計が為されている肉体に、「動きたくないんだったら動かすな」で運動もさせないでいることが健康に繋がるかどうか、誰でも分かりそうなものですね。
つまり、このブログは都合よく野生の行動原理を持ち出しているわけですよ。
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