こんな「犬のしつけ論」は絶対に読んではいけません。

ラブラドール犬 しつけ

以前、当ブログでは『わんちゃんホンポ』というサイトが犬の情報専門サイトのくせにデタラメだらけ、と批判しましたが、今回俎上に上げるのは、同じく犬の情報サイト『いぬのきもちWEB MAGAZINE』です。さてさて、どのくらい“いぬのきもち”が分かっているのか、見ていきましょう。

もし、「お母さんの言うことは聞くけれど、妹の言うことは聞かない」など家族への対応に違いがあるのだとすれば、それはお母さんの言う通りにすればごほうびがもらえ、妹にはもらえない、などといった理由から。

違います。もしそうだとすれば、「ごほうびなしに犬のしつけをすることはできない」ということになりますが、それこそとんでもない話。

公園に行けば、おやつなどあげたこともないのに、私に飛んでくる犬はたくさんいます。むしろ、毎日ご飯をもらってる飼い主より私の言うことを聞く犬も複数います。

犬は高度な社会性とコミュニケーション欲を持ち、人間が無意識のうちにそうしているように、常に自分と関わる人間や犬を“査定”しています。だから、子供にはなかなか寄り付きません。

もし同時に複数の家族から名前を呼ばれるようなことがあったら、その時誰かがおやつを持っていたら犬がそちらへ行く可能性は高いですね。でも誰もおやつを持っていなかったら?その時犬の「査定」結果が出ます。

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「母犬は子犬の口を噛んで叱ったりしない!」

犬はマズルを強く押さえて叱る飼い主さんの手に嫌悪感を抱くようになり、口を触らせなくなり、しまいには信頼関係も崩れます。

「嫌悪感を抱くようになり」とありますが、そもそも「叱る」とは、間違った行動に対し嫌悪刺激を与えることによって、それが間違いだと教えることです。

また、「マズルを触らせるから信頼関係がなくなる」のではありません。度の過ぎた嫌悪刺激を与えた時や、人間が確固たる規律を持って犬に接しない時に信頼関係がなくなるのです。

 

「そもそも犬を叱ること自体ナンセンス」

そもそも犬を叱ること自体ナンセンス。絶対にしてはいけないしつけ方なので、注意しましょう!

これ、どこから湧いて出た理論なんでしょうか?人間の子供も叱っちゃいけないとか考えてるタイプの人なんでしょうかね。その前に、犬同士でも叱ってますけど、そこはどういうわけか犬を参考にしちゃいけないでしょうか。不思議です。

 

「人より先に歩いても「自分が上」とは思わない!」

単にお散歩が好きだったり、行く先に気になるものを見つけてわれ先にと進んでいるだけなのです。

私自身の経験と長年の観察、さらにはシーザー・ミランの理論から言えば、これもとんでもないデタラメです。

そもそもこのライターさん(だけではないけど)は、「上下関係」を物凄く単純化して捉えています。社会性を持つ犬と言う動物の場合、前を歩かされると、「先生、何かあったらお願いします!」と言われているのと同じなんです。

ま~、よその犬を観察していると、これは本当に見事に当てはまりますよ。

凶暴性や無駄吠えが治らないと相談してくる飼い主は、ほぼ100%リーダーウォークをしていないんです。そしてリーダーウォークを利用して私が指導すると、早い子は5分で治ります。特定の犬に咬み付かんばかりに吠えてた犬が、5分で仲良く遊べるようになったりするのです。

「犬を引っ張るなんて可哀想!」なんて人が現実にいるわけですが、ギャンギャン吠え倒していた犬が、仲良く遊べるように変化させることが「可哀想」なことでしょうか?敵でもない相手に際限なく吠え続けることが犬にとっての幸せなんでしょうか?

『いぬのきもち』には監修者がいる

わんちゃんホンポと違って『いぬのきもち』が偉いのは、専門家たる監修者を付けていることです。

ただし、その監修者が正しいかどうかは全く分かりません。少なくとも、私からすればデタラメだらけです。

まあ、「専門家」と言ったって、「学者」「研究者」なんて名乗るのは自由ですから、私だって今日からセンモンカでーす!と言ったらもう専門家かもしれませんね。

それに、権威ある学校や研究機関や業者の「専門家」の中でも意見はパックリ分かれますから、結局どれを信じるかは読んでいるあなた次第です。中には権威を利用して好き放題デタラメ書いてるヤカラだっているかもしれないし。

(<しつけ編>監修:Can!Do!Pet Dog School代表 西川文二先生)

(監修:東京農業大学農学部バイオセラピー学科教授 増田宏司先生)

気になる方は、上のお二人の名前をググってみるのも面白いかもしれませんね。

 

やっぱり言ってた「主従関係ではなく親子関係」

ちなみに、西川文二先生のサイトを覗いてみると…

犬と飼い主との間に必要なのは主従関係ではなく親子間のような信頼関係です。

飼い主が叱りつけたり暴力を奮ったりして無理に主従関係を作らされたような犬は、一見すると問題行動がなくなってよかったと思うこともあるのかもしれませんが、単に力でねじ伏せられているだけですから恐怖政治で支配しているようなもの。

はいはい、出てきましたね。どこかで見ましたよ。「主従関係ではなく、親子のような信頼関係」というフレーズ。大好きな人、たくさんいますよね。

そして私は何度かこう指摘しています。

「親子関係こそ主従関係だ」

と。

ピットブル

問題は理論構築が不完全であることと排他的な理屈

ここで重要なことを書いておきます。これはほぼ同じ主張をするドッグトレーナーのサイトについて書いたことと同趣旨です。

この西川先生はおそらくちゃんと犬のしつけをできる人であろうとは思うんです。問題は、その手法の一般化=理論化がいい加減であるということです。自分の手法を言語で再表現する際に失敗しているから、自分と違う見解をグロテスクに歪ませる必要が出てくるんですよ。←これが排他的な理屈。

その分かりやすいものが「パックリーダー論」「主従関係」と言った単語なのです。これらを物凄く単純な概念としてしか認識していないため、「親子関係は主従関係ではない」とか「主従関係=恐怖で支配する手法」みたいなアホなことを言うようになるわけです。

 

具体的に主従意識のない犬をどうやってしつける?

「主従関係なんて要らない」
「褒めてしつける」

だったら、外に出てもリードなしで犬を歩かせることになりますよ?リード付けた時点で主従関係になってしまいますからね。

道端に食べ物が落ちていて犬がそれを食べても、「褒めて修正」するわけですよね?どうやるか知らないけど。

凶暴な犬は?どうやって褒めて治すんでしょうか。

 

いやいや、あなただってリードはするでしょう

多分、この先生だってリードは使ってるんですよ。行動抑制してるんですよ。するとそこには「主従関係」もあるし、行動としては「叱っている」ことにもなるんです。

でも「自分のはそうじゃない」と言うのがこの手の論者の不思議な論法なんですよね。「お前の屁は死ぬほど臭いが、オレの屁はミントの香りがする」ってなもんです。

「主従関係」に分かりやすい悪のイメージを付けて、自分が犬にリードを付けたり指導したりすること、さらには親が子の手を引こうが、勉強しろと命令しようが、親子関係も「主従関係」ではないと主張する。

まことに幼稚な自己中心的論法なわけです。

 

「叱る」「褒める」勝手な線引き

リードで誘導することも、それは決して快感ではないのですから、ベクトルとしては「怒鳴る」「叩く」のと同じ「叱る」ことになるんです。

問題は、そのしつけ行動がどういうタイミングで発動されるかということと、そのベクトルの長さです。「ベクトルの長さ」とは度合いの問題ということ。「ダメ」という信号を送る意図があっても、首を吊るような強さは虐待です。

 

なんでアンチパックリーダー論者はテレビに出てこないの?

早い話、「パックリーダー論」や「主従関係」がそんなに酷いものなら、ムツゴロウこと畑正則さんやシーザー・ミランのやり方のどこが間違ってるかを指摘してくれりゃ良いんですけどね。

その前に、なんで主従関係のないしつけ論の人ってテレビに出てこないんでしょうか?

犬ハーネス

 

犬の前に人間のしつけ方を教えて!

親子関係が主従関係でなく、褒めるだけでしつけることができるなら、褒めるだけで子供のゲーム中毒をやめさせたり、命令なしで勉強させたりする方法を世の中のお母さん方に教えてあげてほしいものです。まずは人間の学力を上げれば、飼えもしない犬猫を飼うバカも減るだろうし。

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