からの続き。
犬の運動について、このブログがめちゃくちゃなこと書いてますという一連のお話です。
嬉しい興奮もストレスになる?
当該ブログいわく、犬にとっては「嬉しい興奮もストレスになる」んだとか。
こりゃあなかなか凄い主張ですよ。嬉しい興奮がストレスなら嬉しくない興奮はもっとストレスになるでしょうから、要するに「興奮させるな」ということですね。
公園に行くと、人が大好きで、見つけるなり飛びついて顔を舐めまくってくるような犬もいますが、もちろんかなりの興奮状態なので、ストレス状態にあるわけですね。
嬉ションなんてしようものなら、寿命に響いてくるレベルのストレスがかかるのでしょうね、きっと。
もちろんドッグランなんて絶対ダメ。追いかけっこなんて興奮の極みですから、とんでもないストレスになります。
私のようなプロレスを強く推奨するような愛犬家はもう悪魔ですよ。噛ませては噛み返し、飛びつかせたら次はこっちが飛びついて馬乗り、なんてもうメチャクチャやってますからね。脈拍・血圧上がりまくりのアドレナリンつゆだくです。完全に虐待ですよ。
……というわけで、こちら側の解説を始めます。
ではシーザー・ミランのやっていることは…?
この瀧澤さんというトレーナーさんは、とことん興奮も運動も避ける犬の飼い方を提唱しているわけです。「運動は逆効果」だし「興奮させたらさらに興奮させることになる」と。
シーザー・ミランの視聴者だと「?」となっているはずですよね。
彼が問題犬の対処をする時にやることは?リードを持って暴れるような犬は、まずそのまま微動だにせず待つこと。よく見る場面ですね。
その時目の前にいる人間の態度次第で、時間が経過すれば犬は疲れて興奮も収まっていきます。
もし運動不足が発覚すれば、自転車やローラーブレードに乗って犬に引かせます。
その結果、興奮グセみたいなものがついて手に負えなくなったりしているでしょうか?
そんなことはおそらく一度もありませんでしたね。ひとしきり運動したら、犬は穏やかになるのです。
私が何年か前に初めてシーザー・ミランの番組を観た時がまさにそれでした。
犬種は忘れましたが、活発な大型犬ですごく凶暴。それをローラーブレードに乗って散歩に連れ出して戻ってきたら、もう違う犬のようにおとなしくなってしまうというケースでした。
「そうだよな~」と膝を叩いて賛同したものです。
持ってるエネルギーを解放してあげよう
シーザー・ミランを観る前からうちではこういうしつけ手法を実践していて、「どうやったらそんなに落ち着いた犬になるんですか?」とよく聞かれて相談には乗っていました。
皆散歩している時のうちの犬しか知らないから、さぞ上品なしつけをやっているのだろうと思い込んでいたわけです。
「真逆ですよ」と教えます。
犬が落ち着きなく動きまくる⇒じっとさせたい⇒だから動かさないようにする
という人間都合で、犬の習性を無視した考え方では、どこまで頑張っても犬が落ち着く訳がありません。
これは「抑えつけ」の考え方であって、ストレスを溜め込むばかりです。犬は動きたいし、他の犬を知りたいし、戯れたいのですよ。
興奮はエスカレートするばかり?
一度興奮させると興奮がエスカレートする?
いや、そりゃするでしょうよ。ごく短期間にはね。
で、その興奮がエスカレートする一方で収集つかなくなると?
とんでもない!
少なくとも飼い主主導の「管理された興奮」の場合は、興奮度の制御は簡単だし、さらに興奮する前よりも穏やかになるんです。
だからシーザー・ミランも犬に運動をさせるんです。
その簡単な制御すらできないのであれば、犬を飼うべきではありません。
当たり前ですが、犬の方だって興奮はいつまでも維持できません。飽きるし、疲れるのです。犬同士で物凄く激しいプロレスをやっていても、自ら止める時が来るのです。
「興奮させない」のではなく「興奮を制御する」
興奮の制御訓練もプロレスでできます。
どれだけ興奮していても指をパチンと鳴らせば、表情は一転。瞬間的に平常モードに戻ります。
もちろん犬の内側では脈拍や血圧、アドレナリン分泌量がすぐさま元に戻るわけではないでしょうが、ある程度の時間差で速やかに落ち着いていくでしょう。
その様子はボクシングにおけるゴングや、サッカーにおけるホイッスルのようなもの。
カン!と鳴れば、あるいはピーーッ!と鳴れば、たちまち選手達は動きを止めてしまいます。
理性による制御の効いた興奮であるわけですね。
そういったスポーツによって人は性格が粗野になるのでしょうか?
落ち着きのない性格になるでしょうか?
少なくとも一般的には逆ですね。
むしろスポーツ(部活)経験はある程度人格を保証するツールにすらなっています。
オリンピックが戦争を中断させる役割を負っていたことからも、運動は穏やかさを生み出すものだと言うのは少々大げさでしょうか。
でも、私がこれほど犬のプロレスを重視するのはまさにそこがポイントなのですよ。
運動させると同時に、相手の表情を読み、ルールを重んじる意識を養う。
だからこそ指パッチン一つで犬の行動が制御できるようになるのです。
自説を反証する実例や理論について言及しないのは非科学的
まあ、前にも書いたことですが、何にせよこのブログの著者さんは、実に分かりやすいサンプルであるシーザー・ミランの手法のどこが間違っているのかを示せば済む話なのですよ。
あれが編集による賜物だとか、実は成功例の何倍ものお蔵入りVTRがあるはずだとか、そういう主張をすれば良いのです。
なぜしないんでしょうね???
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