ドッグランを「社会化」の場にしてはいけない?その前に「社会化」って何?

走るプードル しつけ
スポンサーリンク

すごくエライ人がいるんですねー(棒読み

「犬の社会化期」についてググってみたら、いろいろ興味深い話が出てきました。

まずはYAHOO!知恵袋の質問から。

質問主旨は、

「ドッグランに連れて行くとうちの犬がよその犬と互いに甘噛みを始めるが、相手方の飼い主はそれをやめさせようとする。こちらとしては社会化トレーニングだと思っているんだけど、こういう飼い主さんは多いのか」

というもの。

質問掲示板には、結構な割合で香ばしい回答者が出てきます。それは「愛犬家」でも同じ。

その回答のひとつ、sekai_no_owariさんという方の回答がなかなかのものです。

趣旨はともかくとして、

あんたは勘違いしてると思うが、ドッグランは子犬の社会化のための場ではない。
あくまで他犬と一緒に走ったりする場であると。

他の質問に対する回答も同じ口調です。

知り合いでもなんでもない相手に「あんた」呼ばわり。根拠のない断定。

なんてかっこいいんでしょう!

「カテゴリーマスター」になるほど回答しているので、きっと犬を飼ってらっしゃるんですね。

言いたくはないけど、犬を飼ってる人にはおかしいのが多いんですよ。プロのブリーダーやってて、他人の犬見るたび飼い主の前で悪口言い始める人とかね。「専門家バカ」とでも言うんでしょうか。そこばっかり見てて常識的感覚を喪失してしまってるんでしょうね。あんたもどこかで社会化訓練されて来いよ、と。

 

そもそも「犬の社会化」って何よ

さてさて、本題に入りましょう。

「犬の社会化トレーニング目的でドッグランに連れて行くのはアリかナシか」

……の前に、「社会化」って何ですか?って話をしないといけません。

用語を整理しておかないと、話が雑になってしまいますから、きっちりしておきましょう。

ポメラニアン

巷では、犬の成長過程の中に「社会化期」というのがあるらしく、論者によって多少のブレはあっても、それは概ね生後3週間~3か月くらいまでの期間をそう呼ぶのだそうな。

私はこの呼称に納得がいかないのですよ。

確かにその期間中「社会に適応するための成長」はしていますよ。でもそれ言い出したら、産まれたその日から「社会化」ってことになりませんか?

「社会化」を「犬が社会性を身につけること」と定義するのであれば、生後3か月までというのは、いくらなんでも早すぎます。

生後3週間~3か月って、もっと基礎的な知能と運動能力の発達が認められる期間であって、3か月経ったあたりでやっと自己と他者、身内と他人の区別がつき始めるのが普通です。

例えば、よそのオッサンである私が、生後2か月の子にリードをつけて持たせてもらうと、テクテク付いてくるんですが、その同じ子が3か月になると、今度は嫌がる(分離不安)ようになるんです。

 

本当の社会化は生後3か月頃から

これは、「飼い主」と「飼い主でない人」の区別が明確になり、未知の事物に対する不安や恐怖という感覚が芽生え始めたからです。そして、吠え癖のつく子はこのあたりからよその犬に対して吠えるようになります。これは、その相手が自分と同種族である犬であること、そしてそれは他人であることを認識できるようになったからです。生後3か月というのは、社会化が終わる時期ではなく、基礎的な知能の発達が済んで社会化が始まる時期なのですよ。

私の言うこの「社会化期」は、早ければ2週間で終える子もいるし、1歳まで続く子もいます。1歳を過ぎて終わらなければ、それは「障害」であり、飼い主のしつけが悪かったということになります。同じ飼い主が同じ接し方をしていては、その後にまともな社会性を身につけることはまず無理です。

この本当の社会化期に飼い主がしなければならないことは、第一に飼い主との犬との間に縦の関係=主従関係を築くこと。犬同士の諍いの主たる原因は、犬の間で縦の関係をどう作るかという問題なのですが、飼い主と犬の間に明確な主従関係ができていれば、犬同士の間では序列をさほど意識しなくなります。徳川家が強い間は大名同士もケンカはしない、ということです。

そして、

「強いオレ様がいるんだから、お前は何も心配いらない。お前の所有物などどこにもないが、その分お前は自由だ。何かを守るためにケンカをする必要もない。道路も公園も共有スペースなんだからルールさえ守れば自由にしていい。よその犬も人も、オレ様が近づくならそれは安全ということだから、安心していい」

ということをとことん教えます。

ちなみに、私が飼った犬は、生後7か月まで売れ残った子や生後3か月まで犬の拾い屋さんの家で無秩序で育った犬を含めて、完璧な社会化ができています。怖がり・無駄吠え・ケンカ、一切なしです。

 

ドッグランは社会化のトレーニング場か

では本題の本題。

ドッグランは社会化トレーニングの場なのか?という話を。

この問いに「ハイ」か「イイエ」のどちらかで答える人を信用してはいけませんよ。

こんなの「そうだ」とも言えるし「違う」とも言えるんですから。

 

私が過去の投稿でもちょいちょい書いてるのは、

「ろくなしつけスキルもない人間があれこれ介入するくらいなら、子犬のうちからドッグランに放り込んだ方がよほど良いしつけになる」

ということ。乱暴に書いてはいますが、本質的なことです。

もちろんこれは極論であって、産まれてすぐ、あるいはワクチン接種が終わってすぐドッグランに放り込めば良いということではありません。(その方が良いというケースもありますが)

ドッグランが社会化トレーニングの場かどうかなんて、その犬がどういう地域で育ち、そのドッグランにどんな犬が来るかによっても変わってきます。

 

じゃあ「社会化」ってどうやるの?

「ちゃんと社会化させてからドッグランに連れて来い」なんて偉そうに言う人は、具体的にどうやって社会化させるのかも教えてあげるべきでしょう。

基礎的な社会化は犬と飼い主の間でできますが、犬との社会化はよその犬がいないと話になりません。小さな日本と言っても広いので、田舎の方に行くと、自分とこ以外になかなかよその犬と会わないという地域もあるでしょう。犬の絶対数はそこそこいるけど、公園に集まる慣習がないという地域もあるかもしれません。

そんな状況では、よその犬と会わせて社会化させるために車でわざわざ遠いドッグランに連れて来るなんて飼い主もいるはずです。そこで「社会化できていないなら帰れ」なんて言われたら、もうその犬は社会化できないってことになりますよ。

プードルとダックス

ドッグランの持つ魔力

公園に行けば、特定のよその犬に対して狂ったように吠える犬がかなりの割合でいます。これは明らかに飼い主のしつけが悪く、社会化に失敗しているということ。

そんな犬でもドッグランに連れて行くと、人が…いや、犬が変わったようにおとなしくなり、よその犬と仲良く遊べるということがよくあるんです。

これどういうことかというと、まずその数に圧倒されるんですね。目が散ってしまうので、凶暴な犬でもターゲットを決めかねる訳です。

仮にその時にいる犬が少なかったとしても、ドッグランには無数の犬の匂いが染みついています。多少問題のある犬でも、まともな脳さえ持っていれば「ここは共有スぺースであり、自分が所有権を主張すべきところではない」と理解します。

これが「行き馴れていて、メンバーが固定されている」公園と大きく違うところで、ドッグランの持つ魔力なのです。

 

「社会化させてから来い」論の身勝手さ

自分で言うのもなんですが、「社会化させてから来い」と偉そうに言う飼い主より、多分私の方が犬のしつけスキルは上です。少なくともどれほど犬が少ない地域でも犬の社会化を完璧にできる自信があります。

が、

だからと言って「社会化できた犬だけがドッグランに来い」なんてことは絶対に言いませんよ。現実的にそこには代案がないからです。

私も普段から、しつけのできない飼い主に対して上から目線で偉そうに言ってますが、自分のプライドを満たすのが目的ではありません。偉そうには言いますが、「選択肢を奪う」ということはしないんです。なぜなら、(飼い主はどーでもいいけど)犬が被害を被るからです。

YAHOO!知恵袋の偉そうな回答者には、よその犬への愛が全く感じられません。自分さえ良ければそれで良い。それでもわざわざ時間を割いて犬カテゴリーに何百件もの回答を投稿するというのは、自身のプライドや承認欲求を満たしたいだけでしょう。

 

 

社会化させるためのドッグラン利用法

このブログだけではなく、私はオフラインでも、飼い犬の問題行動に困っている飼い主がいれば、「ドッグランに連れて行ったことはあるか」を確認し、なければ「連れて行きなさい」と指導します。

まさに、社会化目的の「ドッグラン効果」の利用ですね。

と言っても、皆が自由に遊んでいるところに噛みつくかもしれない危険な犬をそのまま放り込むというのは無謀な話。

しかし、先述のように、基本的な部分がまともであれば、犬はいつもと表情を変えるはずです。中には借りてきたネコのようになってしまう子もいます。

まずはリードを繋げたまま、よその犬のそばを歩いてみて様子を見てみましょう。この際も大事なことはあなたが堂々とすることです。犬に判断させてはいけません。飼い主自らずかずかとよその犬に近づき、その側を歩き去る。よほど大きな問題を抱えていない限り、これを幾度が繰り返せば、犬は落ち着くでしょう。

大丈夫だというある程度の確信が持てたら、短めのリード、あるいはリードを途中で結んで短くして繋げたまま放してやりましょう。このリードはいざという時の制御用です。

 

「マナー真理教」?

この偉そうな回答以外にも気になるのが「マナー」論。

「マウンティングはマナー違反」だの、「甘噛みを嫌がる飼い主さんもいます」だの、人間が勝手にルールを作るなっつーの。

ペットショップで買われる犬は、相当早い時期に親兄弟のもとから離されてしかるべき社会化ができずにいるんです。

マウンティングや甘噛みを美しくないと思うのは、あくまで人間の感覚であって、犬にとっては自然なことであり、成長過程にも必要な行動です。

人間が介入するとすれば、サイズが極端に違う個体同士のマウンティングやケンカに発展した時くらいのもので、あとは放っておけば良いんです。

犬の習性や生態も知らずに勝手なマナー論を展開するなんてことは愚かですよ。

まとめ

情報サイトの類ではその3か月までがしつけをする上で最も重要な期間とも取れるが、それは全く違います。生後から3か月までは母親の傍にいる期間で「基礎発達期」とでも呼ぶべきもの。飼い主が意識して社会化を施せるのはそれ以降のこと。つまり、しつけが始まるのはそこからです。

本来、ドッグランに行く前に基本的な社会化は施すべきだと私だって思っています。

でもかなりの割合の飼い主さんはできずにいるんです。少なくとも100点の社会化ができる飼い主さんはごく僅か。これはもう仕方がないことで、「だからドッグランには来るな」なんてことは言っちゃいけないんです。

自分本位の愛犬家が勝手にルールを決めることに血道を上げるというのは何とも馬鹿らしい。そんなことより、ドッグラン増やして!って声を上げましょうよ。

ドッグランの近くに住んでいる人は、最低限やるべきことはやった上で、積極的にドッグランを利用しましょう。マナー厨に負けるな。

 

にほんブログ村 犬ブログ 犬 しつけ・訓練へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました