インスタのおかずにされる犬
私の直接の知人で、ある小型犬を飼っておられる方がいて、毎週(あるいは週1以上のペースで)日帰りないしは1泊のお出かけをしては高級ランチを召し上がり、それをインスタグラムに投稿されているんですよ。
そしてそのランチには必ず犬も映っている。これが素人さんなのにすんごい数の「いいね」が付いていて驚きます。
本当に女性って、セレブ・ランチ・可愛いものが好きですよね。
私はと言うと、知人としての義理でフォローはしていますが、「いいね」など付けたことがありません。
自分がお出かけしたくて犬をそれに付き合わせているのか、犬をいろんな所に連れて行きたくてやっているのか、「いいね」をもらうネタにしているのかは分かりませんが、これって犬にとっては本当にろくなことがないんですよ。
なぜなら、犬にとって長時間の移動も見知らぬ土地へのお出かけも大きなストレス源だからです。
「犬は旅行に連れて行かない」が第一の選択肢
うちが家族旅行に出かける際、まず考えないといけないのは「犬をどうするか」です。
「愛犬家」を自認する人のほとんどは、「犬は家族なんだから一緒に連れて行くのが当たり前でしょ!」と考えているようですが、それ、とんでもないですよ。
「犬を連れて行く」のはあくまで選択肢のひとつであり、しかもその選択肢は下の方にあるべきなんです。
うちの場合だと、親戚宅への宿泊なら連れて行くし、そうでないなら近所に住んでいる親族に旅行の間、預かってもらえるか、わが家へ泊ってもらえるかどうか確認して、可能なら犬の世話をしてもらいます。
それも叶わないならそこでようやく犬を連れて行ける目的地を探し、場合によっては旅行そのものをやめます。
つまり、親戚宅以外への外泊には、犬は連れて行かないのが前提なんです。
そもそも犬を連れて行くと、人間の行動が著しく制限されることになります。
観光目的地が犬OKと言うのは限られていますし、何かしらの遊戯施設で犬の預り所があったとしてもただの狭いケージで、そこにずっと入れっぱなしにしておくなんて考えられません。
犬がOKだとしても、「ケージに入れられる」という最悪のケースが回避されるだけであって、犬が楽しめるかどうかは分かりません。
「犬は人につき、猫は家につく」?
犬にとって最も大事なのは飼い主サマであることは間違いありません。
と言って、飼い主さえいれば良いのか、家じゃなくても良いのか、と言うとこれも違います。家も大事なのです。
犬にとって最も幸せなのは、【飼い主と家にいること】であり、いつもの場所いつものお椀でご飯を食べ、いつもの布団で寝ることであり、お出かけは【いつもの公園に散歩】することです。
旅行は知能の高い人間だから「娯楽」になるのであって、犬が金閣寺を観たって何も有難がることはありません。秋の紅葉を眺めようが、海の夕焼けを見ようが、それを美しいと感じる感性も持ち合わせません。
何にも分からない犬にとっていつもと違うシチュエーションは、いつどこから敵が出てくるかも分からないという警戒心が働くだけで、大きなストレスにしかならないのです。
人間主観の、明後日の方を向いた「犬の幸せ」
「美味しそう~♪」
「ココアちゃんも可愛い~♪」
「ココアちゃん、いろんなところに連れて行ってもらえて幸せですね♪」
バカ飼い主インスタに付くバカコメントです。
「私が幸せだと思ってるんだから犬にとっても幸せに決まっている」という主観に囚われて、マイルドな虐待をしてしまう形ですね。
直接の知り合いなんで、その犬に触れることもあるんですが、私から見るとこの犬はもはや不感症になってるんですよ。
感情の抑揚がなくて、人や犬をひどく怖がることはない代わりに、やんわり避ける。
犬が近づけば不機嫌になり、人が呼べば近づいてくることもあるけど触ってると唸る。
迷惑をかけることはないけど、何も楽しそうじゃないのです。
黙って車に乗せられて、目的地に着けばランチを目の前にテラスのベンチに座らされる。
ただただ、これを黙ってこなすことが賢い選択だと悟っているのでしょう。
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