可哀想なラブラドール

ラブラドール犬 犬種
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おばあちゃんが連れたラブラドール

うちの近所のラブラドールレトリーバーの田吾作(仮名)。多分今は2歳だと思うんですが、この田吾作が問題なのです。

最初に出会ったのはうちがいつも行く公園で、連れていたのは70歳に絡もうかと思われるご婦人でした。はっきり言うとおばあちゃんです。

田吾作はその時まだ6~7か月だったと思うのですが、体格が良く、すでに“大型犬”でした。典型的アメリカンタイプのようで、体格が良いのに加えて、物凄く活発。犬も人も大好きで飛び回ります。その都度、よその犬達は怒ってギャンギャン吠えまくります。おばあちゃんは田吾作に振り回されながらどうして良いか分からず、目が回っている状態。

そこへ私が飛び込みます。これは犬が大好きで接触したいから……ではなく、いや、それもありますが、とにかくホールドして、犬に好きなだけ触らせてやり、少しでも落ち着かせるのが目的です。

ところがおばあちゃんはそれを「行儀が悪い」「迷惑をかけている」と認識して、「これ、やめなさい!」と叱ります。叱れてませんが。

私は「良いんです。私は大丈夫ですから」と、おばあちゃんが抑制しようとするのを抑制します。それでも田吾作は不規則な動きをなかなかやめようとしませんから、結局のところおばあちゃんはヘトヘトになり、早々に退散することになります。

こんなことが3回ほど続いたでしょうか。その後、おばあちゃんは来なくなっちゃったんですよ。

そりゃ高齢のご婦人がアメリカンタイプのラブラドールの幼犬を散歩するなど、物理的に不可能ですからね。

どうやら犬が好きな家族はいない?

次に田吾作を見たのは随分と期間が空いてからのことでしたが、どうやらおばあちゃんの息子さんと思われる若い男性が乗る自転車に引かれての散歩をしているところでした。「この子のお名前は?」と聞くと、男性が「田吾作です」と答えるので、「やっぱり田吾作!前にも一緒に遊んだんですよ。おいで田吾作」と接触を試みると、その飼い主男性は「そうですか。ほれ、行くぞ」とそっけない態度で間髪入れずに立ち去っていきました。

 

これで凡その全体像が見えました。

どういう経緯かは分からないけど、この家族に「犬好き」はいないということ。

おばあちゃんの健康のため、犬でも飼うか、ほらあのラブラドールの子犬可愛いな、ラブラドールってあの「ほねっこ」のゴン太やろ、頭が良いって言うし誰でも飼えるに違いない、ハイ購入。

大方こんなところではないかと思います。

田吾作を息子さんが散歩するようになって、田吾作に触った私の友達はいないそうです。挨拶すらできず。

 

人間嫌いは犬を飼うな

予備知識なしに犬を飼うこともけしからん話なのですが、それでも犬への愛情と責任感があるなら良いんです。これから勉強すれば取り戻せます。

しかしこのご家族はそんな風には見えません。そもそも犬に興味がなく、散歩はただの「義務感」でしかやっていません。加えて息子さんは人間嫌いと来ていて、これが実にタチが悪い。

かつても「犬が好きで人間が嫌いな飼い主」のことを散々に書いたことがありますが、人間の人間嫌いを犬に押し付けるべきではないのです。よその犬が常に人間と一緒にいる以上、人間を避けるということは犬をも避けることになります。ところが犬はよその犬や人間と触れ合いたいのです。

ラブラドールはよその犬や人とコミュニケーションを取ろうという欲求が最も強い犬種だと言っても過言ではありません。

 

近所に住んでいるので、今でも時々ニアミスすることがありますが、もうこちらからも挨拶はしなくなりました。しかし、離れる時に田吾作はこちらに視線を残していくのです。「あ、あのおっちゃんや」と。ラブラドールの飛びつきを体で受け止めてくれる人ってほとんどいませんからね。その眼を見ると何とも切なくなります。

実に可哀想な話ですが、ラブラドールと言う朗らかで活発で身体能力の高い犬種に生まれながら、よその誰とも接触させられず、自転車でスポーツジムのような運動をさせられるだけで、今後の十数年の人生を過ごさなくてはならないのです。

ラブラドール犬

実はアクセス数が多い「飼ってはいけない犬種」シリーズ

ラブラドールは、当ブログで「飼ってはいけない犬種」として挙げている犬種のひとつです。

実は当ブログの中で、この「飼ってはいけない」シリーズのアクセス数が桁違いに多いのですが、これは実に喜ばしいことです。

よその犬のブログやイワユル専門サイトが「虚構のポジティブ」ばかりを喧伝する中、当ブログは「リアルなネガティブ」を主たるテーマに書いております。読む方の気分が悪くなることも多いでしょう。殺処分の話なんて目を伏せたくなるのも分かります。わざわざこんなブログを読む人なんてどれほどいるかを考えると、人気になるわけがありません。

が、それでも「飼ってはいけない犬種」に関心が集まり、読んで頂けるというのは、このブログを書き続けていてよかったと思えるのですよ。

ちなみに「飼ってはいけない犬種」でググってみると、どうやら個人運営のブログとしては当ブログが最初に出てくるのですが、おそらく個人のブログでこういうことを書く人がほとんどいないということでしょうね。



犬を知るための材料ならいくらでもある

さて、「飼ってはいけない」と言うのはいわゆる煽りタイトルというやつで、趣旨として書いてあることは「この犬種を飼うための条件」です。

「ほねっこ」のゴン太だから?

盲導犬に使われるほど大人しくて賢いから?

そんなテレビの上っ面のイメージだけで犬を飼い始めてはいけないのです。

「人間社会で犬を飼うと言うことはどういうことか」という基本から、飼いたいと思う犬種の特性を理解し、何が必要かを把握した時に初めて【選択肢】に挙げるべきなのです。

 

残念ながらお金儲けが目的であるペットショップの店員やブリーダーはネガティブな情報を教えてはくれません。しかし、今はネットと言う無尽蔵に情報を持つインフラがあります。検索すればいろんな情報が出てきますし、Youtubeでは動画を見ることもできます。

これだけ情報が溢れているのに知ろうとしないのは【怠惰】であり、倫理にもとると言えます。

今、犬を迎え入れようとしている人は、どうかそれがモノではなく、感覚を持つ動物であるということをよく認識して勉強してください。

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