【犬のしつけ】リーダーウォークの重要性とお勧めの拘束具

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首輪?ハーネス?スリップリード?どれがいいの?

以前、首輪かハーネスかって記事を書いたんですが、その内容について今はちょっと反省し、書き直しの最中です。と言うか、以下の内容を注釈として入れる予定だったのですが、書き出したらこれだけでも相当長いので、一つの記事とさせて頂きます。

んで、何を反省しているかと言うと、あまりに単純に書き過ぎたというところです。

私個人の話だと、今いる犬に限って言えば、1号犬はスリップリード(しかも最も原始的なタイプで首に負担がかかりやすいもの)、2号犬は首輪、3号犬はハーネスと、実に節操ありませんでした。それでも、3匹ともリーダーウォークの実践によって(まあ、「リーダーウォーク」なんて言葉を知ったのは2号犬を飼い始めた後のことですけどね)、何の問題もありませんでした。

でもそれは、飼い主が私であり、犬が小型犬であり、元々しつけがしやすい犬種(だと思います。雑種だけど)であり、といろいろな条件がそろった上でのことであって、その条件が違えば首輪の選び方も変わってくるんですよね。

 

首輪だろうがハーネスだろうが、しつけはできる

しつけのスキルを持つ人なら子犬から飼っていれば、大きさ・犬種・性格がどうであれ、どのタイプの首輪を使ってもしつけはできると思います。でも残念ながら、そういう人はほとんどいないのが実際のところですね。

これ非常に大事なことなんですが、拘束具にどんなものを使おうが、物理的に繋がってさえいればリーダーウォークは可能で、一旦リーダーウォークを覚えてしまうと、その後は何を使おうが全く関係なくなります。

問題は、活発な性格の犬を飼う飼い主のうちリーダーウォークを実践できていない人が多く、そのまま成犬になって慢性化してしまうということです。体が覚えないまま成犬になってしまうと、その後の修正は非常に難しくなります。

 

改めてリーダーウォークのやり方

これも以前に書いたものについてはちょっと反省しています。条件を細かにして改めて書きます。

犬の散歩

(1)幼犬の場合

「犬を前に歩かせてはいけない」これをあまり強く意識する必要はありません。しかし、「犬に引っ張らせない」は厳守です。犬が飼い主の力に抗って前に進もうとしたら、止まってください。面倒くさくても毎回必ずやってください。

「進路を犬に選ばせない」これは当然のことです。どの道を行くかは飼い主が決めます。目的地が公園だとして、公園までのルート上曲がる回数が少ない場合は、敢えて遠回りして曲がる回数を増やしてください。

「犬を見ずに真っ直ぐ歩く」これも基本。犬を見ると言うのは犬を心配するということ。その心配は不安であり、不安は犬に伝わって落ち着きがなくなります。犬はさりげなく観察しましょう。どこに行くか相談したりしないように。

拘束具は何でも構いません。

(2)リーダーウォークができなかった場合

例えば月齢4か月で買い始めて6か月になっても先行癖が抜けない場合、あるいはよその犬への攻撃性が出始めた場合はこちらのやり方。

「犬を前に歩かせてはいけない」これを厳守してください。リーダーウォークに失敗しているということは、飼い主の存在感が薄いまま成長してしまったということです。飼い主のラインから前に行かせないようにすれば、犬の視界から飼い主が消えることはありません。犬の視界に必ず飼い主がいる、これすごく大事です。

「マーキングをさせない」これを言う人はほとんどいないと思いますが、オス犬の場合かなり有効です。正確に言うと、飼い主が決めたポイント以外で小便をさせないということ。理由は別の記事に書きましょうか。

あとは(1)と同じ。

拘束具はスリップリードヘッドカラーがお勧めですが、その際はこの記事を最後までちゃんと読んでください。

 

シーザー・ミランがスリップリードを使う理由

シーザー・ミランの番組を観ていたら、必ずと言って良いほどスリップリードを使っています。そしてあっという間に問題犬を手なずけてしまいます。さらに、飼い主に引き渡す際はヘッドカラーもよく使ってますね。

ではなぜ、ハーネスや普通の首輪より、スリップリードやヘッドカラーが効果的なのでしょうか。

犬のプライドはマズル(口周り)に集中しています。マズルは、食べるだけでなく、舐める、臭いを嗅ぐ、吠えて威嚇する、危険を知らせる、そして攻撃する機能を持っていて、ここを抑えられると犬は何もできなくなってしまいます

スリップリードをなるべく上の方に巻くと言うのは、犬の尊厳を抑えつけて、人間の存在感を大きくすることができるからです。

加えて、ちょっとでも首より離れていた方が、てこの原理によって、小さな力でも制御しやすくなります。そして、犬の動きも飼い主に伝わりやすくなります。

何度でも言いますが、リードは拘束具ではなく通信ケーブルです。

 

リードの持ち方次第で意味は180度変わる

シーザー・ミランいわく、スリップリードを繋いで垂直方向に力を加えれば「ショードッグの持ち方」、普通の首輪やハーネスを後ろ方向に引っ張ると「闘犬の持ち方」になるとのことですが、これはよその犬を観察してみればよく分かります。飼い主に怒鳴られながら後ろに引っ張られており、半分立ったような姿勢になっている問題犬はいくらでもいます。一方でドッグショー(私は一度しか見たことがないのですが)の犬は、頭に近いところを上方向に持たれています。

 

それでもスリップリードをお勧めしなかった理由

当ブログでは頻繁にシーザー・ミランの名前を挙げ、そのしつけ手法に何の文句もないのですが、それでもスリップリードをお勧めしていなかったのは、多くの飼い主はシーザーのようには上手くできないであろうからです。

これも犬種やその犬の性格次第の話ではあるんですが、10kg前後の犬であっても凶暴性が出てしまうと、女性では力負けしてしまいます。多くの場合、飼い犬をそういう性格にしてしまったのは、飼い主の「不安」が原因であって、慢性的な不安症を持つ人は、スリップリードになるとなお不安になるのではないかと懸念します。

本当であれば、犬が飼い主の言うことを聞かないほど、そして身体能力が高いほど、自然と首が締まる構造のスリップリードはその有効性が高まるのですが、そもそも不安症の飼い主が「怖い」とか「可哀想」などと思わずに使いこなせるのか、という大きな疑問があるんですよね。先述したような理屈が感覚として身についていないと、機械的にこうやれと言われてもなかなかできないのではないかと。

 

身の回りの実例

最近も柴犬を飼うある飼い主(おばさま)にしつけ指導をしているのですが、そのおばさまはハーネスと首輪のハイブリッドで繋げています。「しつけをしたい場合は、首輪の方のリードを持って、上に引っ張ってください」と指導したところ、後日観察してみたら、「首吊り」状態にしているんですよね。

えっと……上方向に引っ張れとは言いましたが、持ち上げろとまでは言ってないんですよ……。犬が暴れる時は、おとなしくなるまで力を加え続ける必要もありますが、それ以外は短く鋭く「信号を送る」だけで良いんです。短く送ってダメな場合に長い信号を送ればいいのであってね。

でもそういう飼い主さんに限って、よその犬におやつを与えたがる。問題犬だから、片手で首吊り状態にしてもう片方の手でよその犬におやつ。よその犬におやつをあげるのは、自分の犬のしつけができてからにしましょうよ。

幸いその犬は、会うたびに私が直接リードを持ってしつけこともあって、急速に大人しく社交的になってはきてるんですがね。

というように、犬のリードさばきには力も運動神経もしつけのセンスも必要になってきます。少なくとも、その場で実演を見せてくれる指導者がいない状況では、スリップリードを無条件にお勧めはしづらいんですよ。

 

それを踏まえた上でスリップリードの使い方

では、スリップリードを使うという方のためにポイントを整理しておきます。

締まるタイプのものなら何でも良い

スリップリードとは構造が違いますが、「ハーフチョーク」と呼ばれる、普通の首輪とリードがセパレートでありながらもスリップリードと同じように機能する首輪もあります。理想はスリップリードですが、ハーネスよりずっとマシですし、スリップリードに精神的抵抗を覚えてしまう人でも使いやすいでしょう。

 

「首が締まって可哀想」なんてことはない

スリップリード(どの首輪でもですが)での首の締まりは、犬の不規則な動きと連動するので、それで犬が不快感を覚えれば犬自身で解決できる問題です。苦しくなれば力が抜け、力が抜けると楽になる。それで犬は落ち着いた方が得だと覚えていくわけです。

それにそもそも、犬が抗った時に犬にかかる負担は、首輪でもスリップリードでも基本的には「喉」であって、スリップリードだからと言って手で首を絞めるように首全体360度からが締め付けられるということはないのです。

スリップリードの特性は、首から抜けにくいということと、頭に近いポジションで付けることができるということです。

それでも可哀想と思ってしまうようであれば、自分での訓練は諦めてください

 

意識は「体」ではなく「頭」に

当たり前のようにハーネスを使おうとする飼い主は、【体全体】を抑制しようという意識が働いているものです。リーダーウォークにおいて大事なことは、犬の意識が向かう方向をコントロールすることであり、スリップリードを使う際は【頭】を制御するという意識が肝要です。だから、なるべく頭に近づけるわけです。

さらに言えば、くどいようですが、リードは犬からの信号をキャッチし、飼い主から信号を送るための通信ケーブルでなければいけませんから、不規則な動きをする犬を物理的な力で制御するという考え方がそもそもの間違いなのです。

犬が不穏になるその瞬間を見極めて、軽くキュッとリードを上に引っ張れば、それが「落ち着け」の信号となって犬に伝わります。でもこれ、こうやって文字だけで教えてもなかなか習得できないんですよね、残念ながら。

 

ハーネスとの二重掛けもOK

理想はスリップリード1本ですが、それだけでは不安という人も多いでしょう。その際は、ハーネスの併用もOKです。とにもかくにも、絶対にあってはならないことが「飼い主が不安を覚える」ことですから、それで不安感が拭えるならそうしてください。ただし、その際もハーネスは保険であって、メインはあくまでスリップリードです。ハーネス側のリードは腰に巻き付けるなりして、意識しないようにするのもいいかもしれません。

 

念のためにもう一度

くどいようですが、しつけの目的で首輪(リード)を選ばなくてはならなくなった時点で、失敗だと思ってください。何かの事情で成犬を引き取ったのならともかく、子犬から育てているなら、犬はどんな首輪をしていようがどうとでもなります。

また、リーダーウォークは犬のしつけにおいて非常に大事な手法のひとつですが、リーダーウォークだけでしつけができる訳ではありません。感覚で分かっていない人に説明するのは結構難しいですが、自然にリーダーウォークができる飼い主は、他の場面でも主従関係を築ける振る舞いをしているんですよ。それがプロレスであったり、玄関での「待て」であったりするのです。

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