からの続き。
人間に飼われる犬の「去勢」の意味
このブログではかつて、「犬を飼うということは、人間社会の中で、人間の都合の良いように犬を共生させることだ」という趣旨のことを書いています。
違う動物に飼われるという時点で、犬に「不自然」を強いているわけですよ。
その条件下において、「可能な限り犬を幸せな状態にする」というのが飼い主の使命であって、去勢しないという選択はその真逆なのです。
やはりこれも「共感力」が生み出す罪
本当、毎度女性批判をするようで心苦しいのですが、「画的に」幸せそうとか、「画的に」可哀想、なんて感覚はどうか捨てて下さい。
犬に必要なのは、あなたの上っ面の感覚ではないのです。
子供を作らせないと決めたら、そのまま動物病院に電話して予約を入れて下さい。犬に、解消しようのない性欲を持たせたまま、無暗に凶暴な状態にさせる権利などあなたにはないのですよ。
本当に犬の気持ちが分かるならともかく、ずれた共感は犬にとっては大きな迷惑になります。
去勢を嫌がる人ほどしつけスキルが低い
先述した通り、去勢をすると犬の性格は相対的に穏やかになり、しつけが楽になります。
このことは逆に言えば、未去勢だとしつけも大変になるということです。
私ならできますよ、多分。子供の頃は去勢をしていない犬を飼ってましたが、それなりにしつけはできていましたし。でも今大人である私は「去勢はすべき」と考えています。
では「去勢なんてさせたくない」と考える人はしつけはできるか?と言うとほとんどの場合、できないんですよ。
しつけに必要なのは理性であって表層的共感ではないのです。
逆に共感性が優位に来る人は、「欲しそうな顔をしているから」と余計にエサを与えてしまうような人であって、しつけスキルがないのです。
つまり、「去勢させたくない」と考える人ほどしつけスキルは低く、去勢させないためにしつけのハードルを著しく上げてしまうというバカバカしい話になってしまうのです。
他の犬への影響
しつけが完璧な飼い主さんであっても、よその犬には悪影響を及ぼします。凶暴性がゼロになっても?そうです。
その犬に凶暴性が全くないとしても、未去勢の犬はオス犬のフェロモンを出し続けます。
すると、周りの犬はオス/メス・避妊手術をしている/していないに関わらず、度合いの大小はあれど、緊張度を高めます。
しつけが良く出来たすごく社交的な犬であっても、金玉付いてるってだけで近づくと怒られたりするんですよ。これが実に切ない。
「怒る犬の方が悪い」というのは人間目線の話で、人間よりはるかに本能がビビッドに表に出てしまう犬の場合、互いにしつけができていても、いつその本能部分にスイッチが入ってしまうか分かりません。
だから必要がなくなったらその時点で手術をしてしまうべきなのです。
去勢のタイミングが遅れるほど効果は薄くなる
「この犬に子供は作らせない」と決めたらその時点ですぐ獣医に相談してください。概ね月齢が6か月を過ぎていたら去勢手術は可能です。
メス犬の避妊手術の場合、その適性タイミングについては議論のあるところですが、オスはとにかく「なるべく早く」。
犬は1歳~1歳半で肉体が完成し、私の見立てではさらにそこから1年から1年半ほどかけて性格も固定化されます。正確に言えば、肉体と同時に性格も8割がた決まってしまうけど、そこから変動があるとしてもせいぜい3歳まで、です。
つまり、「三つ子の魂百まで」ではありませんが、(遅くとも)3歳の犬の性格は一生モノと心得るべきです。
で、吠え癖や凶暴な性格になってしまった未去勢の犬がある程度齢を取ってしまった場合、その問題行動は治るか?という疑問を持たれる方は多いと思いますが、答えは「やってみないと分からない」です。
治る犬もいれば治らない犬もいます。
間違いなく言えることは、去勢手術が遅れるほど治りにくい、ということです。
もちろん治らないにしても、先述のように相手(周り)に与える影響は小さくなりますから、ケンカなどのトラブルが深刻化することを防ぐ効果はかなり高いとは言えます。
もっとも、この話はしつけスキルの低い飼い主さんのケースであって、未去勢でもちゃんとしつけが出来ていれば問題ありません。
去勢手術もしつけも、大人になるまでが最も重要な期間です。
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