ナイトスクープ「炊飯器にケンカを売る犬」
先日(1月11日)放送のナイトスクープで、犬のネタがありました。
「炊飯器とケンカするボストンテリアを何とかしてほしい」というもの。
TVerでまだ観ることができるので、まだの方は是非。
1歳7か月のボストンテリア・ボンスケ君は、飼い主女性が引き出しを開けた途端、そこに入っている炊飯器に向かって物凄い勢いでケンカを売ります。うるさい上に炊飯器は傷だらけ。それをしつけて下さいという依頼でした。
違う機種の炊飯器を並べても、いつもの炊飯器を見分けてケンカを売り、ルンバに乗せて動かしても関係なくケンカを売り、伝説の土佐犬ヨウ君を連れ出しても効果なし。
結局解決したのは、石田靖探偵の「叱責」でした。
石田探偵の「間違った行為」
これは、本題とは関係ないのですが、割と重要なとこです。
ボンちゃんが炊飯器にどんな反応をするかを見せる時に、石田探偵がボンちゃんを抱き上げて待機してたわけです。その抱き上げ方が、肩のまで抱き上げて、そのまま直立したわけですね。
で、炊飯器が現れるや、ボンちゃんは人間の頭の高さから自分から落下、炊飯器めがけて走りだしたわけです。
これ、当ブログでも書いたことがありますが、絶対にやってはいけません。ボストンテリアでも命が危うくなるほどのケガをする可能性があります。
抱っこしてそのまま立ち上がっていいのは、基本的に飼い主だけと認識してください。うちの犬はそれで、死にかけたことがあります。
次に石田探偵の「正しかった行為」
もう単純に、ボンちゃんに対し「毅然と叱った」というところです。この依頼では、シナリオがあったかのように上手く行ってましたが、ボストンテリアは基本的にコミュニケーション能力が高く、常に人を意識するタイプの犬種です。叱れば、叱られたと認識し、何が悪かったのかを学習します。
効果はテキメン、石田探偵の一喝で大人しくなり、その後石田探偵の首を舐め始めました。この、叱られた後に相手の頭付近を舐める行動は、概ね「ごめんなさい、もうやらないから許してね」という意味だと思って間違いないでしょう。
その後、飼い主女性もマネして訓練をするのですが、3時間かけて、見事ボンちゃんは炊飯器にケンカを売らなくなりました。
女性は犬のボスになれない?
これもかねてから主張していますが、女性が犬のボスになるのって本当に難しいんですよ。
犬をたくさん触れ合う機会のあった人は、「この子は男の人はダメなんですよ」という犬に会ったことが一度や二度はあったかと思います。ところが、その逆で「この子は女の人がダメで」なんて犬は、少なくとも私は1頭も会ったことがありません。
それは散歩デビュー間もない子犬でもそうです。
どういうことかと言いますと、犬は本能的に人間のオスとメスを見分け、かつしっかりと区別しているのです。「男は怖い、女は優しい」と。
で、「怖い」と思われている男の方が圧倒的にしつけがしやすいんですね。
男と女を犬はどう区別しているか
もう少し具体的な話をします。
男と女では、まず犬の触れ方が違います。女性はまず頭やあごを、それこそ「触れる」だけから始めますが、男性の場合、すぐに顔をくしゃくしゃーとやったり、お腹に手を回して持ち上げようとしたりします。この時点ではどちらが正しいという話ではありません。
問題は叱り方で、女性が教えられた通りに、犬に「コラ!ダメでしょ!」なんて言っても、犬は全く怖がらないんですよ。なぜか?
犬は知っているからです。こちらの出方次第で相手は引っ込む、ということを。
女性は犬を叱る時に、「怖い」とか「可哀想」という感覚が必ず伴います。簡単に言うと「迷いがある」んです。
一方男性は、叱ると決めたら叱ります。犬がどういう態度に出ようが、「予定より強く叱る」ことはあっても、「引っ込む」なんてことはありません。犬はそこを見極めているから、女性の言うことは聞かないのです。
飼い主女性のよかったところ
番組では1日かけてやってたことを15分足らずのVTRにまとめているので、大幅にカットされていますが、少なくともしつけの終盤で見せた飼い主女性の犬への対応は良かったと思います。
ボンちゃんが炊飯器を見て不穏になった際、飼い主女性はすぐさま首輪を持って動きを制御していました。(欲を言えば、あのタイミングもちょっと遅いんですけどね)
あれ、要するに、女性が男になりきってしつけをしているんです。
あの女性、今までも叩いて叱っていた、と言います。でも、叩いても効果ないんですよ、犬って。しかもその叩き方も緩いしね。
大事なのは、飼い主の迫力
私の場合、犬を叱る時はどうするかというと、首輪やあるいは犬の体を直接持って動きを制した後、自分の顔を犬に顔にすりつけます。例えば、鼻と鼻をこすり合せて「おい、わしの言うことが聞こえんかったか?」とドスを効かせて迫ります。
顔を近づけるという行為は「お互い、いつでも攻撃できる状況」を作り出します。それを向こうからやってくるとなると、相手はそれなりの覚悟で来ているということになります。
こっちは、「やるならやってみろ」という心構えでいきます。言っておきますが、本当に噛まれるリスクもありますよ。ただ、そのリスクって子供の頃から飼ってる犬だとほとんどないはずです。怖いのは、ある程度成長してから預かったような犬で、うちがまさにそうなんですが、これについてはまた後ほど。
顔を近づけると言う行為は、ポジティブにしろネガティブにしろ、相手に感情を伝えるための一番効果的な手段です。例えば、ヤンキーのメンチの切り合いはそのままキスするんじゃないかというところまで顔を近づけます。そこから実際にキスするのが上島と出川ですね。
一方で、ラブラブのカップルも顔を近づけます。
ラブラブのカップルもヤンキーのメンチも、実はやってることは同じで、「こちらは今こう考えてるから理解しなさい」という感情伝達行為であるわけです。
私がよその女性飼い主に教える場合
「うちの犬が私に唸る」なんてことを相談された場合、私は半分無理だと分かった上で、
「男になりきってください」
「問題症状が起きた場合、とにかくマッハの速さで犬の首を持って動けなくしてください」
というアドバイスを送ります。
実際にこれで、唸りがなくなった犬もいました。しかしその先の、「仰向け抱っこ」を嫌がって攻撃してくるという行動は治りませんでした。その飼い主さんも女性だったのですが、そこまでの迫力もなければ、犬との遊び方も知らなかったのです。その「遊び方」も教えましたが、これは教えたからできるというものでもありません。
最終的に大事なのは、「自分が犬になりきること」でして、自分が犬になりきれば、犬が何を喜び、何を嫌がるかも分かるようになるので、しつけが物凄く楽になる上に、犬が人と接する喜びを分かるようになるんです。だからうちの犬は物凄く人懐っこいわけですよ。
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