過剰なマーキングは精神疾患である。

犬の散歩 しつけ
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過剰マーキングは精神疾患

以前に、かなり神経質な犬を少しの間預かったことがあって、その子を庭に出した途端、マーキングがすごかったんですよ。ぐるぐる回ってマーキング、ぐるぐる回ってマーキング。

マーキングをしている間、次のマーキングポイントを目で探してる感じで、あまりまともではありませんでした。

慣れない場所だからかもしれないと思って飼い主に確認すると、普段からそんな感じなんだとか。

これ、異常なんですよ。精神的に不健康なんです。

マーキングを人間目線で考えてはいけない

「マーキング」「させない」「しつけ」みたいな単語でググってみると、マーキングさせないしつけみたいな情報は無数に出てくるんですよ。ところがその趣旨というのは私が思っているのと随分違うわけです。

「家でマーキングして困る」⇒「こういう方法で改善できます」⇒「よかったよかった」

「外であちこちにマーキングして困る」⇒「じゃあこんな風にしてください」⇒「よかったよかった」

結果としてマーキングしなくなるのであれば、とりあえずはよかったということになるのでしょうが、この問題発生とその解決のプロセスには、あるものが欠如しています。

それが犬の精神的な健康という視点です。

「家でマーキングして困る」とか「あちこちの電柱やよその玄関先にマーキングして迷惑をかける」というのは、飼い主視点の話なんです。

犬の視点に立てば、「ではなぜそこまでマーキングをしようとするのか」というところに着眼しなければいけません。

過剰なマーキングは、膀胱や腎臓に疾患を抱える場合もあるかもしれませんが、少なくとも冒頭の例に挙げた犬の場合、明らかにストレスなんですよ。もう飼い主が異常なほどの不安症で、それが犬に移ってしまってるんです。

そもそも犬はなぜマーキングするの?

専門家の間でどう認識されているかはよく存じ上げませんが、過剰マーキングのメカニズムはいろいろな形で説明ができます。

1.縄張りの主張

マーキングの本来の意味です。よその犬の匂いがする。いや、ここはオレの土地だ。よし、マーキングしておこう、ですね。

2.不安により膀胱を収縮する

アセチルコリンが分泌されてどーのこーのという理屈ですが、そもそもなぜ緊張が排泄に繋がるかと言うと、これまたいろんな説があるんですよね。「そこに匂いをつけて敵の注意を引く」とか「身を軽くして逃げやすくする」とか。

1.と2.を分けましたが、実は1.にだって不安や緊張が伴います。何しろ、マーキングは「敵」を想定してのことですから。結局のところ、排泄そのものを目的としない排泄は、「穏やかでない」ということは言えそうです。

解決法:マーキングさせない

「なんじゃそれ!」と思われるかもしれませんが、実は解決法はこれなんですよ。

「不安要素は残ったままにするのか?」

いえ、不安要素もなくなります。詳しく説明しましょう。

犬がマーキングするのは、マーキングできる条件が揃ってしまうからです。その条件とは、

(1)電柱や木、その他よその犬の匂いが残ってるポイントがあること
(2)マーキングするに足りる時間的余裕

です。

空間的条件

(1)は空間的条件と言い換えても構いません。

そういうポイントのそばを歩くからマーキングしたくなるのです。

「そば」と言うのは、この場合、ものすごく近いという意味で、さらに正確に言えば、リードが届いてしまう距離のことです。

飼い主がリードを調節して犬がポイントに近づけないようにすれば、犬はそもそもマーキングできません

時間的条件

(2)大事なのはこちら。時間的余裕とは何かと言いますと、犬だってポイントを見つけたら間髪入れずにおしっこをかける訳ではありません。

多くの場合は数秒間クンクンと匂いをかいで、何かしらの判断をした後にマーキングをします。

これが最近投稿した「賢い犬は考えない犬」に繋がるんですが、そこで犬に判断させる余裕を与えてはいけないのですよ。飼い主がわざわざ待ってやる必要なんてないのです。

だから、結局どうすりゃいいのよ!

と思われたあなたは以前からの当ブログ読者ではないということですね。是非当ブログをブックマークに入れて愛読サイトにしてください

あなたがやることは簡単。目的地に向かって真っすぐスタスタ歩くことです。これだけです。

あなたが犬の前を大股かつ速歩きでスタスタ前を歩けば、犬は途上の安全確認をあなたに任せます。当然、道の途中で“ポイント”を見つけてしまいますが、そこで立ち止まったらダメです。リードを軽くクイっと引っ張って、犬を歩かせてください。

これで不安要素がなくなるってか?

なくなります。

犬が不安に陥るのは、考える余裕を与えてしまうことが原因です。

それに対して、上記のようなリーダーウォークは、判断を飼い主に委任し、自分は何も考えなくていいという意識を持たせることになります

結果、犬は飼い主と歩くことのみに集中できるようになります。

マーキングくらい犬の自由にさせてあげたい!(キラキラ)

いいえ、あなたの言う「自由」はあなたから見たものであって、マーキングをさせるということは犬にある種の「囚われ」を強いることになり、「不自由」なのですよ。

マーキングをさせないということは、囚われから解放してやることに他なりません

その「囚われ」とは以下に書く「所有意識」です。

犬の所有意識を捨てさせる

そもそも犬のしつけ手法の根幹のひとつは「犬の所有意識」です。

犬が所有意識を持ってしまうと問題行動を起こすようになります。

その所有意識は「物」と「空間」に分けることができます。マーキングは空間の方のお話。

寝床にしているソファーやケージにいる時に近づかれると、相手が家族であっても唸ったり噛んだりする犬が結構いますが、まさにそれは「所有物(空間)を侵された」からに他なりません。

犬のしつけの大きな柱の1本が「お前が所有する物や空間なんぞこの世に存在しない」ということを教えることです。飼い主が「お前の物はオレの物だし、オレの物はオレの物だ」というジャイアン主義を通さなくてはいけません。

と言っても本当にジャイアンのように暴力的になってはいけません。「お前の物なんてないが、ルールの範囲内でお前の好きに使っていい」という共有を認める優しいジャイアンになればいいわけですよ。

道路だって皆のもの。所有権を主張する必要なんてないと犬に教えるべきなのです。

この辺はこちらの記事にも詳しく書いてありますので、是非ご参照ください。

なぜ犬はドッグランではマーキングしないの?

ドッグランを観察していると、マーキングする犬がほとんどいないことに気づきます。

普段病的な過剰マーキングをする犬でさえ、ドッグランでは排泄そのものが目的の排泄しかしなかったりします。

これ当たり前でして、そもそもマーキングは「そこにはいない敵を想定して」の行動であって、目の前に犬がたくさんいる状況で縄張りもクソもないのですよ。

そこにいる犬を友達だと認識すれば遊ばなければいけないし、敵だと認識すればマーキングなんてやってる余裕もありません。

そしてドッグランに連れて来られるような犬は、そのほとんどが社会性において問題のない個体です。あるいは多少問題を抱えていても、ドッグランに連れて来ると大人しくなってしまう場合がほとんどです。

だから私は、しつけのできない人は中途半端なしつけ論を勉強するくらいなら、とっととドッグランに放り込んでしまえば良いと主張するわけですよ。

現実の犬を知れば知るほど、そこにいもしない仮想敵を想定して悪いことばかり考えるような犬にはなりづらくなるのです。

 

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