改めて、柴犬は飼ってはいけない(3)~「柴犬は飼い主には忠実」という大ウソ~

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続きです。

 

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「柴犬は飼い主に忠実」という大ウソ

「柴犬は本当は賢い犬」とともによく聞かれるデタラメが「飼い主には忠実」です。しかしこれ、真逆です。「飼い主に忠実」なら呼び戻しくらい簡単にできそうですが、私の知る限り、呼び戻しができる柴犬はほとんどいません。察しも悪いし飼い主に忠実でもないのです。

ではなぜこんな嘘が信じられてしまうのでしょうか。

これは、何となくいい感じに話をまとめたいというバイアスによる装飾でしょう。

例えば、「犬種差」について語ろうとするとそれだけで嫌がる人がいます。これは犬種差=人間で言うところの「人種差」であり、差別に繋がるという短絡思考回路がバイアスを作ってしまっているからです。そういう人には、「それは犬種差ではなく、個体差だ」と言うと、科学的根拠など極めて薄弱でも何となく「あー、そうなんだ」と受け入れられてしまうものです。

「柴犬は人に懐かない」これだといかにも悪口っぽくなるので、「柴犬はよその人には懐かないが、飼い主にだけは忠実だ」とすることによってバランスが取れます。私から言わせれば、「飼い主には忠実」なのではなく、「飼い主にだけはまだ少しはマシ」と表現すべきと思います。

「鳥取にはスタバがない」だと寂しいけど「鳥取にはスタバはないけどでっかい砂場がある」なら鳥取県民もウンウンと頷いてくれるのと同じです。

実際は、柴犬は飼い主だろうと他人だろうと懐きにくいという特性を持っています。そもそも自分とは違う誰かを信用しようとしないのが柴犬なのです。(今後いちいち断りを入れませんが、「という傾向がある」というフレーズを脳内で追加しておいてください)

また、こういうことも言えます。
「飼い主に忠実でよその人には懐かないのは、飼い主の飼い方がおかしい」
柴犬に限らず、飼い主や家族以外の人間に近づこうとしない、近づかれたら威嚇したり怯えたりするのは、飼い主を信用していない証拠です。飼い主に然るべき強さと判断力があれば、飼い主が仲良くする人は自分にとっても「利益をもたらしてくれる存在」であるはず。そうならないのは、飼い主を信頼していないからであり、それを「忠実」と呼ぶのはおかしいのですよ。

これってつまり、「飼い主を信頼していない」というネガティブな事実を「飼い主に忠実だから必死に守ろうとしている」という物語に挿げ替えてしまっているわけですよ。

 

“ポリコレ”に騙されるな

これは今、「犬種差」を語っているのですが、犬種差を語ると嫌がる人が多いから不思議です。先述のTogetterでも「犬種差より個体差」を主張する人が何人かいました。私が「犬種ごとにしつけ方は変わってくる」と言えば、「大事なのは愛情です!(キラキラ)」とトンチンカンな主張をするトレーナーさんもいましたね。

この不思議な力の正体を「ポリティカルコレクトネス(ポリコレ)」と言いまして、ちょっとでも差別的な匂いがすれば、それが科学的であっても否定されるべきという思想です。

「犬種差より個体差」「しつけの問題」と主張する人に、「じゃあアンタはチワワとゴールデンも、ガワが違うだけで中身は同じだと思ってるのか」と問うてみたいですね。これまた不思議なことですが、こういう聞き方をすれば「チワワとゴールデンは違う」と答えるものなんです。なぜなら、これ自体に差別の匂いがしないから。本質的には同じことなんですけどね。

 

無責任な流説で犬が飼われることがあってはいけない

私が懸念するのは「無責任なことを言うな」ということなんです

「性格が悪い」という表現には確かに棘があり、それが自分の犬のことではなくても自分の犬が柴犬であれば、ムカっと来るのかもしれません(「かもしれません」という表現は、自分が同じ立場でも全くそうは思わないからですが)。

しかしそこで冷静さを失って「犬種差などない」「しつけの問題だ」なんてことを言っちゃったらダメなんですよ。「表現方法はどうかと思うが、言いたいことは分かる」と言うくらいの余裕のある大人でなければ犬なんか飼っちゃいけないんです。

だから反論の中に「犬だって突然触れたらびっくりして咬むこともある」なんてアホな主張も出てくるんです。「突然触られたらびっくりする」のは良いとしても、飼い主がそばにいながら全く何の気配もなく突然触られるなんてケースはまずないし、仮にそうだとしても犬は咬んじゃダメなんです。それこそ犬種など関係なしにしつけることができるんです。

お気づきですか?安易に「それは犬種の問題じゃなくしつけの問題だ」なんて言う人は、その同じ口で「触られてびっくりして咬むのは触る方が悪い」と言って飼い主の責任を放棄しているんです。

一方、「犬種差は間違いなくある」という私は、1年半で(ネガティブな)犬種差を極限まで小さくできる自信があるんです。

犬を飼う人間が知性を捨ててそんな甘えたことばっかり言ってるから、愛犬家とそうでない人の間に溝ができるんですよ。

 

『マツコの知らない世界』に文句をつける人がいないのはなぜ…?

奇しくもこの原稿を書いていたちょうどその日の夜中に『マツコの知らない世界』で「柴犬の世界」が放送されていました。柴犬を飼っている愛犬家が「呼んでもだるそうにして来ない」「散歩の途中で止まる」といった「柴犬あるある」を披露していましたが、どういうわけか、これについて「そんな犬種差はない!」と異論を唱える人は見当たりません。

なぜかというと、番組全体がポジティブな雰囲気で満たされていたからです。あっちで「犬種差がない」という人は、こういう「柴犬あるある」にも同じことを言わなければならないのに言わない。それどころか自分も一緒に「あるあるw」なんて言ってるんですよ、多分。

では私は、テレビのああいう柴犬を見て可愛いと思わないのかと言うと、思ってるんですよ。ひょっとしたら誰よりも思ってるかもしれません。

でも、だからこそ気を付けないといけないのです。

ツイッターやテレビから流れてくる可愛い柴犬の姿を見て「一目惚れ~♪」とか「運命感じた~♪」なんてノリでペットショップに走ってはいけないのです。これらは柴犬の一部の姿であり、ほぼ100%ポジティブなところだけを切り取られているのです。現実世界では、毎日どこかで柴犬がしゃれにならないような噛み方で人やよその犬を傷つけたり、飼い始めたと思ったら子供がアレルギーを発症したり、そんなことが起きているのです。

 

まとめ

以上のようなネガティブなポイントをぜーんぶ並べて理解した人だけが柴犬を飼ってください。

「こんなはずじゃなかった」
「咬むのはしつけの問題じゃない」
こんな醜い言い訳などしないように。「思ってたのと違う」ことはいくらでも出てきます。柴犬は特に。

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コメント

  1. こいけ より:

    はじめまして。
    すみません、質問なのですが、柴犬もリーダーウォークが出来るようになるのでしょうか? リーダーウォークしている柴犬を見たことが無いので気になりました。

    • 小ライス より:

      コメントありがとうございます。
      仰る通り、柴犬はほかの犬種よりリーダーウォークが難しいと思われます。
      この件についてはいずれまたブログで書くかツイキャスでもやろうかと思っております。

      • こいけ より:

        そうでしたか!ご返信ありがとうございます!
        ブログ、とても面白く読ませていただいています。実は柴を飼ってまして、、、2歳なのですがワンプロ大好きなオスです(⌒-⌒; ) 他のブログでの「成犬になっても幼さが抜けてない犬」というのに当てはまるのかな?と思いました。このままチャラいオッサンになっていくのかなー?
        こういうチャラいオッサンは、人間で言う「発達遅滞」的なかんじなんですかね?

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