犬関連のキーワードでネットサーフィンしておりましたら、このようなブログに。優良記事として紹介させて頂きます。
記事の趣旨は、「最近は『犬は群れを作らない。だから飼い主はリーダーになる必要がない』と言われるが本当か?参考元となっている論文を読んでみた」というもの。
参考論文:Population and social biology of free-ranging dogs M.Bekoff/T.J.Daniels
感服致します。英語の論文なんぞ、私なら1週間かかりますよ。
で、ブログ主さんがこの論文を読んで要約されているものをさらに私が要約しますと、
「人間によって食事が与えられることも多い都市部では単独行動の犬が多く、人家から距離のあるところにいる野犬は群れることが多い。つまり、『犬は群れない』わけではない」
ということです。
(こんな要約ではなく、是非ブログを読んでください)
同様の指摘は当ブログでも過去にしております。
この弥一郎ブログのブログ主さんが、
集団に属する機会があるのなら、それは「群れを作る動物」ということであり、群れの規律やリーダー格に従う本能があることは、確かじゃないか。
と仰るように、犬には群れの本能があるという点が重要なのです。
私が俎上に載せて批判したブログでは、別の論文を引用して「人工的に犬を集めた場合を除いて、犬は群れを作らない」と、何だかよく分からない結論を導いていましたが、まあとにかく「群れ」が嫌いってことなんでしょうね。
でもこの手の人達、同じ口で「犬の社会化トレーニング」なんてことを言うんですよ。
これ、実におかしいんです。
「犬の社会化」は、生来犬が持っている本能的な社会性をあてにしているわけで、犬が本能的に社会性を持っているということは、「犬は群れる」(犬は複数の個体で共同体を作る)ということの証左に他ならないのですよ。
そしてその社会性は、決して「高度な血縁家族の繋がり」ではなく、相手が親だろうが兄妹だろうが他人だろうが協調や秩序を作る行動を取ろうとします。このことは、犬を飼ったことのある方なら誰でも経験的に知っているでしょう。
ところが一部の自称トレーナーは、
「主従関係なんて要らない」でも「家族みたいな関係」
「群れは作らない」でも「社会性はある」
と言います。それぞれ矛盾してるんですよ。
家族関係は主従関係だし、群れを作るから社会性を持つのです。
彼らはキーワードに脊髄反射するだけですから、概念を掘り下げて考えるなんてことはしません。
「“主従関係”という言葉は冷たくて嫌い!」
「“家族”という言葉は温かくて大好き♪」
というノリなのです。
犬と猫の根本的な違いは、高度な社会性を持つかどうかであり、それは群れを作るかどうかに起因するものです。
猫だって一見群れているように見えますが、犬ほど高度な秩序はそこにはありません。どちらかと言うと、「群れ」というよりは「たむろ」ですね。
猫はどこまでも個人主義で、その瞬間の損得でしか動きません。
多くの猫が、飼い主が名まえを呼んでもなかなか近づいて来ないことにもその性質が表れています。ちなみにうちでは、犬と猫を同時に飼ってた時期もありますが、猫は本当に勝手です。「お座り」と「お手」はしてくれましたが、こちらから近づかないとしてくれませんでした(*´з`)
一方の犬は飛んできますからね。そして、飼い主のアクションをじっと待つ。教えれば教えるほど、芸と言葉を覚え、飼い主の感情を読み取り、共同体に馴染もうとする。
↑で紹介した過去記事にあるように、自分は関係のないよその犬同士のケンカに割って入り、公園に新顔が来れば吠え立てる。その吠え立て方も、「皆が同時に」ではなく、誰か1頭が吠え始めたらそれを合図に協調して吠え始める。彼らは共同体だから。
しつけとは、犬の群れの本能を良い面を助長し、悪い面を抑制すること、だとも言えます。
「群れを作る」という意識は、同時に「群れではない個体」を作り出すことであり、その個体は村八分として吠えられたり攻撃されたりしてしまいます。これはダメなことなので、抑制する必要があります。
正確に言うと、「全員群れ」ということにしてしまうのです。そのためには、自分の主人である飼い主がまず対象となる犬に堂々と朗らかに接し、互いに仲間だと認識させてやることです。私がこうしているので、うちの犬は吠えもしないし、ケンカもしません。
一方で、犬は「この人」と認めた主人に対しては忠実で従順になりますから、強さと秩序を持って接してやると、非常に高度なコミュニケーションが取れるようになります。
こういった犬の群れの習性を理解せず、あるいは見て見ぬふりをする自称トレーナーは、群れ本能に起因する問題に対処ができません。
何かあると「ストレス」ってことにしたり、「ケンカするなら近づけなければ良い」などと本気で言い出す人がいるのですから、困ったものです。
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