アジリティー競技に出る犬なのにバカ?~しつけと調教の違い~

アジリティー しつけ
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おやつがなくても私にだけ懐いてくれる犬

散歩仲間に、おやつを与えても絶対に食べようとしない子がいるんですよ。おやつを食べないし、シャカシャカするわけでもなく、いつも落ち着いている子。

私がこの子の名前を呼ぶと、テクテク近づいてくるんです。もちろん、おやつはなし。食べないんだから。

「この子は賢いですね。おやつもないのに、名前を呼べば来てくれて」

そう言うと、飼い主のおじさんは、
「名前呼ばれて行くのはアンタだけや。よその人のところには行かん」
とのこと。

実に光栄な話です。

そして、私が理想とする【犬との関わり方】がまさにこれなんですよ。

その犬にとって、私と触れ合うことは「嬉しい」「楽しい」「幸せ」ってことです。

 

では私とその他の人間では何が違うのか?って言うと一言では言えないのですが、私自身は感覚で分かっています。

まず犬の触り方が違います。細かい説明は過去にも書いていますので読んで頂くとして、大雑把に言うと、私は遠慮しません。顔を触ることを許してくれたら、今度はその顔をクシャクシャにし、それでも大丈夫なら胸からお腹をうどん粉のようにこね、さらにチンチン、去勢してないオス犬なら金玉までモミモミします。そうやって、高性能マッサージチェアのようにセンサーを働かせ、犬が気持ち良いと思うポイントを探します。プロレスに応じる子は遠慮なく甘噛みさせます。

このような行為をよその人がしないのは、私とは犬に対する観念や意識の持ち方が違うからで、多くの場合、犬は触られる前からそれを感じ取っていると思われます。だから逆に、私の顔を見るなり狂ったように逃げようとする子もたまにいます。「金玉握られるー!」って分かるんでしょうね。

 

「しつけ」と「調教」の違い

さて、動画の話に戻ります。

私から見ると、この動画のやり方は「しつけ」ではなく「調教」なんですよ。

これが直ちに悪い事かと言うと、そうとも言えませんが、少なくとも私はこういうやり方をしません。人に懐こうとしないよその犬がいても、とにかく無理やりにでも触ることを試みます。おやつを与えるのは、それができないと判断してからのこと。

こういう「間断なくおやつを与える」というやり方は、それこそアジリティーやドッグダンス、サーカスの犬などが調教される際にも使われるスタンダードな手法です。

私が自分の犬のその手のコンペティションやショーに出すとなったらやはり同じことをするでしょうが、私は一切興味がありません。芸をさせたり、人に見せたりするために犬を飼っているわけではないので。

となると、「食べ物で釣る」というやり方は、幼犬の間のほんの一時期を除いて(あるいはそれすらも要らない)私には全く必要ないのです。

大雑把な区別をするなら、

何かをさせたいなら「調教」

何かをさせたくないなら「しつけ」

ということになりそうです。

つまり、アジリティーやドッグダンスなど、本来犬には必要のない行動をさせる場合は「調教」なんです。盲導犬、介助犬、警察犬も「調教」を施されます。

それに対し、「しつけ」は問題行動を起こさせないために施すものです。「何かをしろ」ではなく「これ以外なら何をやってもいい」という、犬の自由を規定するためのネガティブリストがしつけなのです。

「ネガティブリスト」とは、「やってはいけない」ことを決めて、それ以外なら何をやっても良いというポジティブな考え方なので、ちょっとややこしいんですが…。

犬の場合だと、
「どんな状況であれ飼い主に敵意を見せてはいけない」
「ケンカをふっかけてはいけない」
「意味なく吠えない」
などですね。

大事なことなのでもう一度言いますが、この動画は「優良」です。甘噛みに対する対処も私と概ね同じで、かなり珍しい。

ただ一点、食べ物で釣るというやり方を私はしないし、この方法で調教されたアジリティー犬にはバカもいるということです。

このトレーナーさんと犬の間の信頼関係も良好だと推測します。動画でおやつを使っているのは、犬の反応をビビッドにするためのツールでしょう。あくまで推測ですが。

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