去勢したらかえって凶暴になったですって!?

檻の中の犬 攻撃性
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ある大型犬の異様な散歩風景

先日、久しぶりに会った犬の話です。

例によって犬種は明かしませんが、しつけのしにくいタイプの大型犬で、以前よりご夫婦で散歩をさせていました。しかしその姿は異様で、とにかく同じ公園内によその犬を見つけるやいなや、ほぼピッタリと体を密着させ「あっちを見るな」と視界を遮ります。ご夫婦は常に自分の飼い犬を凝視し、要人のSPのような立ち回りで“散歩”をしておられました。

その理由は、以前によその犬に攻撃された経験、よその犬を攻撃した経験の両方があるからだそうで。

しかしながら、このブログの読者さんならお分かりのように、こんな散歩の仕方は全くの逆効果で、犬はどんどん神経質になり、よその犬や人に攻撃する可能性が増していくばかりです。

それとなく、正しい散歩のやり方をお教えしたのですが、全く治る気配はありません。

去勢したら凶暴になったですって!?

で、数か月ぶりに会ったその子は、いつもと何かがちょっと違う。目つき、ちょっとした所作、うむ、何かが違う。

そしてご夫婦の歩き方も、いつもにまして異様です。

見かねて、自分の犬を人に預けた上で私は近づきました。

すると、30kを超えるその犬が飛び掛かってきたのです。

「これ、ダメでしょ!」と奥様。

「いえいえ、僕なら大丈夫ですから、遠慮なくやらせてください」

そう、飛び掛かってはきましたが、そこに攻撃意図など全くなかったのです。

「実は、この齢になって去勢したんですよ。そしたら逆に暴れん坊になっちゃって、どうしたものかと……」

なるほど。

その飼い主夫妻からすると、「去勢したら大人しくなる」と聞いていたのに、逆にアグレッシブになっちゃって、どういうことなのか?と疑問だと言うわけですが、私からすると極めて自然な姿です。

その子の年齢は4歳で、人間で言えば青年から中年の域に入ろうかと言うあたりです。

去勢しなければいけない理由

幼犬の頃から知っている私は、当然昔から「それだけ飼い主さんが神経質で心配するなら、早めに去勢した方が良い」と忠告し続けていました。

去勢の重要性については過去の記事にも書いてありますが、要点だけ挙げておくと、金玉をぶら下げていることによって、その犬の攻撃性が先鋭化される可能性も高いし、仮にその子が大人しくても、その子が発する男性ホルモン(フェロモン)が、雌雄を問わずによその犬の神経を尖らせさせてしまうことになり、そこから無用の喧嘩が発生してしまうことが多々あるのです。

なぜ早めに去勢しなかったのか。その事情は聞いていませんが、4歳にもなってからオスの象徴を取り払ってしまうと、心身ともに、その変化がどういう感じに表れるか予測しにくいところがあります。それは人間で言うところの「更年期障害」に近いでしょう。

更年期障害とは、加齢によって性ホルモンの分泌量が減り、心身に不調をきたすアレです。分かりやすく症状が出るのは圧倒的に女性ですが、男性にも更年期障害はあって、原因不明の体調・精神の不調の際には男性ホルモンを調べられることはよくあります。

 

去勢によって遊び欲求が解放されたのかも

ではこの子の場合は?

犬の更年期障害、さらには去勢によるホルモンバランスの変化で更年期障害のような症状が出るかどうかなど、獣医でない私には分かりませんし、あまり聞いた事もありません。しかし、ホルモンバランスの変化によって直接的に精神面での変化があったとしても何も不思議ではありません。この子の場合にも、ホルモンバランスの変化が性格に影響したのでしょう。

ただし、この子の場合の変化は、どちらかというとポジティブなものです。

というのは、以前のこの子はとにかく動かなかったのです。いつも何かを注意深く観察し、何をするか分からない不気味さがありました。それは先述の通り、飼い主が常に不穏なオーラを出し続けていたせいでもあります。

その子に近寄って、体を触りまくって、ようやく「嬉しい」というリアクションをしてくれる、という感じでした。

しかし、その日は違いました。もう近づく前から、飛び掛かり、飛び掛かったと思ったら逃げる。簡単に言うと、「幼犬化」してしまっているのです。

これ、私の分析では、幼い頃から飼い主の「指導」もあってずっと神経質で何かを警戒しながら散歩していたのが、オスの象徴が撤去されたことによって自らの警戒心もなくなり、それまで抑圧されていた遊びたいという欲求が小さな爆発を起こしているわけです。

どうすればいい?

まずは言うまでもなく、「去勢は子供のうちに」です。心身共に完成してしまった後のダイナミックな変化はどんな影響があるかしれません。

そして今回のように、大人になって時間が経ってからの去勢で遊びたい欲求が出てしまった場合、対処はシンプルです。とことん遊んでやればいいのです。

もちろん、体重30kgを超える大型犬と遊ぶのは大変ですが、当然ながら分かってたことですよね?

冒頭に書いた、私のその犬への対応はお手本です。怪我をする覚悟で遊んでやるしかないのですよ。

先日もよその大型犬が突然テンションが上がって走り出し、女性の飼い主を転倒させていました。さらにその犬は、私と遊ぶ際に私の顔を目掛けて突進。半日片目が見えなくなるという状態になりました。もちろん私はそういう怪我も覚悟の上なので何も文句は言いません。転倒させられた飼い主さんは文句を言う先もありません。

大型犬を飼うとはそういうことなのです。

雑感

繰り返しますが、正しい散歩の仕方も「幼犬のうちに去勢を」ってことも、昔から教えていたんですけどね。

いや、相手の立場になってみると分かりますよ。私が何者かよく分からないわけですからね。付き合いの長いお散歩仲間の間だと、「とりあえず小ライスさんに聞いてごらんなさい」と紹介されて犬に慣れていない飼い主さんの指導をすることもありますが、そもそも私はプロのトレーナーではないので、そういうコミュニティーの口コミでしか信頼が確立されていません。

今回の飼い主さんのように、そもそも付き合う人を限定していると、少ライスが信頼に足る人物かどうかも分からないわけです。

散歩の仕方はネットでもデタラメ書いてることが多いのでともかくとして、せめて、去勢について、そしてその犬種についてくらいはネットで調べてみましょうよ。こんな時間が経ってから去勢するなんてアホらしい。

幼犬期に去勢を勧めた時、なんて言ってました?

「やっぱり自然な姿のままで……」

って夫婦で声を揃えてましたよね?

その果てが、極めて不自然で不自由な愛犬の姿なのですよ。

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